IoTを駆使したビル管理、マイクロソフトのスマートビルディング

 2020.08.13  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

AIやIoTといった技術は、IT業界だけでなくさまざまな業界で活用が進んでいます。建設業界では、ビル管理において省エネや効率化を実現するマイクロソフトのスマートビルディングにその技術が活用されています。そこで本記事では、スマートビルディングとは何か、どのようなメリットがあるのか、また具体的な事例も紹介します。

IoTを駆使したビル管理、マイクロソフトのスマートビルディング

ビル管理の生産性を向上させるスマートビルディングとは

スマートビルディングとは、電力や水道などのインフラや各種設備をネットワーク化して一元管理し、遠隔管理や自動制御、エネルギーの最適化などが可能なビルのことです。こういったオフィス内のあらゆる製品、機器をIoTで連携させることで、効率良くビル管理を行えます。

「スマート」とは、対象に情報処理能力や管理能力を持たせて高度な運用を実現することを言います。 

IoT、AIといった技術のほかに、ビルの空調や照明などの設備機器をネットワーク経由で一元管理するBAS(Building Automation System)や、ネットワークに接続した機器のエネルギー利用状況を可視化して効率化・最適化するBEMS(Building Energy Management System)といった技術が使われています。

スマートビルディングの機能と効果

スマートビルディングのメイン機能は、機器およびエネルギーデータの一元管理です。それぞれの機器はネットワークに接続せずに、ばらばらに管理・運用されるのが一般的でした。サーバー上にデータを集約して一元管理することで、遠隔から機器の稼働状況を把握したり監視したりできるようになるだけでなく、収集したビッグデータを分析・傾向を把握することでエネルギー利用を最適化できます。

さらに一元管理することで、インターネット上で事前予約した会議室の情報をビル側で把握して管理に反映したり、一度入退室管理を行えば何度も同じ操作をしたりしなくて済むなど、利用する側にとってもより便利な機能を提供することができるようになります。スマートビルディングにより省人化、省エネルギー化、業務の効率化、セキュリティ強化など複数の効果が期待できます。

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Smart Buildings & Spacesの3つのソリューション

マイクロソフトでは、建設業界でのニーズが高まっているスマートビルディングの実現に向けて「Smart Buildings & Spaces」というコンセプトを提案しています。これは従来施設管理を中心に考えていたビル管理を、利用する人や管理する人、所有する人の目線で満足度を高めるソリューションを提供する考え方です。パートナー企業と連携しながらIoTなどのテクノロジーを活用し、3つのソリューションを提供しています。

オフィススペース向けソリューション

「人」向けに、個人の最適化や能動的な提案、利用しやすさなど、「人」中心のソリューションの提供を行っています。たとえばキャッシュレス決済やバーチャルコンシェルジュなど、個人が施設を利用しやすい環境を提供し、満足度を高めます。

ファシリティ管理ソリューション

利用者の利便性向上やスペースの有効活用、ファシリティマネジメントの生産性向上など、「設備」と「人」双方の課題を解決するソリューションの提供を行っています。たとえば無人で対応するスマート受付、AIが個人を識別するセキュリティ認証、リアルタイムでパーソナライズ化された情報を表示するデジタルサイネージなどにより、入退館管理の効率化や管理コストの削減を実現します。

ビル設備管理ソリューション

ビル所有者向けに、エネルギー管理や設備管理といった「設備」中心のソリューションの提供を行っています。

たとえばBASやファシリティ管理といったエネルギー・施設利用状況を可視化することで各種データの一元管理、故障予測、エネルギー管理の最適化などを図り、保守管理の最適化が図れます。

Smart Buildings & Spaces導入後の発展にむけた取り組み

マイクロソフトはスマートビルディング分野のパートナー企業に対して「サービス連携リファランスアーキテクチャ」を無償提供しています。これは機能マップ、アーキテクチャマップ、実装サンプルの3つの機能から成り立っています。パートナー企業はこれを活用することでセキュリティやユーザー認証基盤、データの管理などを個別開発しなくて済むようになります。パートナー企業にとっては、土台部分を最初から開発せずに済み、浮いたリソースを自社オリジナルのソリューション開発に注力できるようになります。マイクロソフト側にとっては、自社技術を利用してもらうことで技術の標準化が図れます。

パートナー企業との連携によるソリューションの提供

Smart Buildings & Spacesを活用したパートナー企業との協力により数々の問題解決をしたソリューションを紹介します。

施設情報プラットフォーム「ARCHIBUS on Azure」

ビル運用・管理システムの導入・構築サービスを行うアイスクウェアドでは、不動産・インフラ&設備管理ソフトウェア大手のアイスクウェアド社とパートナー契約を結び、ソフトウェア販売を行っています。同社が提供するファシリティ・マネジメントソリューション「ARCHIBUS」は、建築情報や地図、IoTと連携し、業務情報や技術情報、業務のプロセスをわかりやすい形で提供する施設情報プラットフォームです。190ヶ国、3万以上の企業で採用されている世界で最も有名なIWMS/FMシステムです。

アイスクウェアドでは、今まで難しかったデータの一元管理を実現するために、マイクロソフトが提供するクラウドサーバーのMicrosoft Azureを活用したARCHIBUS on Azureとしてサービスを提供。ARCHIBUSが管理する業務情報や技術情報のデータとBASやIoTによってリアルタイムに取得したデータとを組み合わせることでさまざまな検証や洞察ができるようになりました。その結果、業務効率の改善やファシリティ運営コストの削減に繋がっています。

BACnetゲートウェイ装置「BACloud-GA」

ビル業界向けの機器製造会社であるユニテックでは、Microsoft Azureを活用したゲートウェイ装置BACloud-GAを開発・提供しています。ゲートウェイ装置とは、ビル設備の機器とサーバーを接続する専用機器のことです。機器とサーバーを接続するためには異なるプロトコルを変換する機能が必要になります。

変換のためのプロトコルとしては、ビルネットワークのための通信規格であるBACnet(Building Automation and Control Networking Protocol)が利用されています。機器とMicrosoft Azureを接続することで、いつでもどこでもクラウド上から遠隔操作でビルの設備を監視、制御することができるようになります。既存システムの運用方法の変更なしに導入できるメリットに加え、収集した設備情報をビックデータとして活用することも可能になります。

Smart Buildings & Spacesの導入事例

では実際にSmart Buildings & Spacesのソリューションを活用した導入事例を紹介します。

高砂熱学工業株式会社 

空調設備工事を中心にさまざまな建築設備の設計・施工を手がけている高砂熱学工業株式会社では、設備の運用状況や問題などを把握、分析する情報基盤として「高砂スマートプラットフォーム」の運用を2019年より開始しました。これは自社が施工したビルの設備データをクラウドに集め、それをAIが学習することで空調負荷の予測を行い最適化、さらに分析して得た知見をコンサルティングにも活用することで、従来の工事事業だけでなくソリューションビジネスへと展開しています。

鹿島建設株式会社

大手総合建設会社の鹿島建設では、ビル管理を行うグループ会社の鹿島建物総合管理と共同で、建物の消費エネルギーの予測や、設備機器の異常などが検知できる建物管理プラットフォーム「鹿島スマートBM(Kajima Smart Building Management)」の提供を開始しています。

現在あるビルのほとんどはAIやIoTが普及する以前に建設されているため、スマートビルディングの機能を備えていません。しかし施設管理の最適化ニーズが高まっていることから同社ではプラットフォームとして既存建物でも利用できるシステムを開発しました。IoT技術を使い、センサーが取得した建物に関するデータをMicrosoft Azure上に蓄積、ビッグデータとしてAIが分析します。このシステムによって故障検知やランニングコストの削減、機器の異常、故障の早期発見が可能になりました。

既に累計約60件を既存の建物に導入しており、今後は100件以上の本格適用を目標に掲げて導入を進めています。

まとめ

IoTやAI、BEMSといった最新テクノロジーを活用してビル管理の効率化・自動化を実現するマクロソフトのスマートビルディングは、ビル管理側にとっても利用する側にとっても多くのメリットがあります。既存の建物に機能を追加できるソリューションも登場しており、より高度なビル運用が実現します。

次世代スマートオフィス/ビルディングソリューション wecrew

Smart Buildings & Spaces 総合カタログ
MicrosoftにおけるSmart Buildings & Spacesへの取り組み

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