小売業

COVID-19環境下でマイクロソフトが行っている小売業界への支援

新型コロナウイルス感染症の流行があらゆる業種に大きな影響を及ぼしている中、マイクロソフトは小売業界を支援するための各種プロジェクトに取り組み始めています。マイクロソフトが行う支援策には流行が沈静化した後を見据えたものも含まれており、その全容が大いに注目されています。

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コロナ時代における小売業界の課題とマイクロソフトの取り組み

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行は世界中の小売業界に大きな影響を与えています。小売業が現在抱えている課題と、小売業界の支援としてマイクロソフトが行っている取り組みについて紹介します。

従業員ニーズの進化

巨大企業マイクロソフトにとっても新型コロナウイルス大流行の影響は深刻なものになりました。流行が世界中で本格化した2020年3月、マイクロソフトも全世界に80店舗以上設けていた直営店「Microsoft Store」の実店舗の休業を決め、店舗スタッフ約2000人をリモートワークとしていました。そういった状況の中、Microsoft Storeには、同様にリモートワーク体制に移行した多数の企業から、バーチャルトレーニングやバーチャルサポートの提供を求める声が寄せられました。

これを受けマイクロソフトはリモートワークによるサポート体制「Emergency Remote Operations」を打ち出し、すべての顧客がどこからでも製品についてのアドバイスやサポートを受けられることなどを目標に掲げました。このプランを通してマイクロソフトは行政や教育機関、医療機関などに従事する6万5000人の顧客にグループワークツール「Microsoft Teams」の使用方法を指導するなどの成果を上げています。

その後、マイクロソフトは営業の再開を待たず全実店舗を閉鎖し、小売り事業をオンラインに移行することを6月26日に発表しています。

ライフラインとしての小売業

英国でも新型コロナウイルスの流行が本格化した2020年3月上旬、英国最大手のスーパーマーケットチェーン「Tesco(テスコ)」の各店舗では、除菌ジェルなど衛生用品やパスタや缶詰など保存食の買い占めが発生し、急きょ購入可能数を制限する対策を講じるなど大きな混乱が生じたのです。テスコのような大型店舗で大混乱が起きたことによって、ライフラインとしての小売業の役割と課題が改めて認識される結果となりました。

この混乱に対処するために、テスコは従業員の適正な配置や、従業員の雇用維持、採用手続きの負荷軽減などの課題を抱えることになりましたが、マイクロソフトはこの事態を受けて「Project ZAP」を発足しテスコの雇用マッチングの支援を行っています。

このプロジェクトでマイクロソフトはクラウドプラットフォームの「Microsoft Azure」などの技術を使って、テスコの人員状況の情報を一元化しました。企業側は従業員が不足している店舗と人手が足りない時間帯、業務内容を入力する一方で、従業員側はリストから自分が勤務可能な案件を選択し応募するという方法をとり両者のマッチングを可能にしています。

日本マイクロソフトのパートナーソリューションを紹介

日本マイクロソフトでも、小売業のビジネスを支援するための様々な取り組みを行っています。また、日本マイクロソフトのパートナーとのソリューション開発も進んでいます。ここではいくつかのパートナーソリューションをご紹介します。

オンラインでの店舗=本部コラボレーション

日本国内でも、新型コロナウイルスの流行で2020年4月7日に東京都、大阪府など7都府県に緊急事態宣言が行われ、4月16日には宣言が全国に拡大したことを受け、リモートワークに切り替える企業が一気に増加しました。

ただ、実店舗を抱える小売業では全面的にリモートに切り替えることは難しく、各店舗で勤務開始前の検温を義務付け体調に異常がない従業員のみ勤務させることと、その状況について本社が把握するという新たな人事管理のプロセスが必要になりました。

日本マイクロソフトでは、こういったニーズに対して本社と店舗のコラボレーションをオンラインで実現する支援策を公開しています。「Microsoft Azure」とアプリ簡易作成ツール「Microsoft Power Platform」を組み合わせた社員の感染状況を把握するためのアプリなどもその一つです。

店舗運営継続と完全確保

コロナ禍以降の小売業において、実店舗の運営ではマスクを着用していない顧客の入店を制限したり、店内の環境を保つために混雑時に入り口で顧客を待たせるなどの対応が必要になっています。

日本マイクロソフトは日本の小売業の特色に合わせた独自の統合プラットフォーム「Smart Store」の提供を始めています。この「Smart Store」にはスマホやタブレット形式の端末にインストールしてAI機能を利用できる「AWL Lite」というツールがあり、カメラがとらえた画像をAWL Liteに解析させて、顧客のマスク着用の有無や、鼻がきちんと覆われていないなどのマスク装着不備を感知して警告をタブレット画面などに表示することができます。

AWL Liteを通して店舗の混雑状況も推定できるため、店舗内が過密になりソーシャルディスタンスが保てないとAIが判断した場合は、入り口で顧客を待機させるという対応をとることもできます。

コロナウイルス沈静化後の市場対応

今回の新型コロナウイルス大流行で社会のありかたが大きく変化し、さまざまな課題が浮き彫りになっています。これを受けマイクロソフトでは流行が沈静化した後の新たなスタンダードに対応する施策も提案しています。店頭に設置したカメラとマイクで来店客をモニタリングし、遠隔から接客するという「店頭業務のデジタル化」もその一つです。

このデジタル化では、店舗内に従業員を配置する代わりに店舗内に設けたデジタルサイネージ上に従業員のアバターを表示し、このアバターを通して顧客を案内することになります。

感染予防策としてのソーシャルディスタンスを確保するための有効な施策として、デジタル技術を駆使したこれらの「リモート接客」も注目を浴びています。

サプライチェーンの高度化

また、今回の流行ではトイレットペーパーや各種衛生用品など物資の流通が間に合わず、ニーズがある場所に届けることが困難になり、各地で混乱が起きる結果となりました。

このような状況への対策として、流通業界専門の米ソフトウエア企業「Blue Yonder(ブルーヨンダー)」社は、Microsoft Azureをベースに、新型コロナウイルスによるサプライチェーンへの影響を最小化するサービスを構築しています。

「新型コロナウイルス・サプライチェーン・リスク・リスポンス」もその一つです。これは、米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)が公表する新型コロナウイルス関連のデータを取得し、顧客の需要や供給・在庫のデータと重ね合わせて、各サプライチェーンが契約先に届ける製品の数やタイミングに関して予測しアドバイスを行うシステムで、需給バランスを適正にすることを目指しています。

まとめ

新型コロナウイルス感染症の流行で影響を受けている小売業に対し、マイクロソフトは様々な支援策を打ち出しています。事業者間のコミュニケーションを援助するツールや、人員管理や店舗運営を合理化するためのプラットフォームなど、流行収束後の小売業のありかたも見据えた施策を次々と打ち出しており、今後の動向が注目されています。

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