小売業なら抑えておきたいオムニチャネルとは?

 2020.03.11  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

「オムニチャネル」は、小売業においてよく聞く言葉であり、最近ではビジネス成功に欠かせない要件とも言われています。本稿では、小売業が押さえておきたいオムニチャネルについて解説していきますので、気になる方はぜひ参考にしてください。

 

小売業なら抑えておきたいオムニチャネルとは?

オムニチャネルとは?

企業と消費者の間にはさまざまな接点(チャネル)が存在します。リアルなら店舗や電話対応など、ネットならWebサイトやSNSなど多種多様なチャネルが存在する中、それらは分断的に存在し、異なるコミュニケーションを提供するものでした。

つまり、Webサイトに置かれている商品はWebサイトでしか購入できず、店舗にある在庫は店舗でしか購入できない、といった状況です。オムニチャネルは「それら多数のチャネルを1つに統合した上で、一貫性の高いサービスを提供する思想」となります。

たとえば単純なオムニチャネル戦略を挙げると、「Webサイトで購入した商品を店舗で受け取る」「店舗でWebサイトの在庫を調べ、その場で決済して後日自宅に届けてもらう」などです。さらに高度になると、リアルとネットの行動を紐づけて消費者が今求めているものを、最適なチャネルから提供するようになります。

東京ディズニーランド/シーにおけるオムニチャネル戦略例

オムニチャネルのイメージをつかんでいただけるように東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが打ち出した、オムニチャネル戦略をご紹介します。

2018年夏以降、東京ディズニーランド/シーを訪れたことがある方なら、「東京ディズニーリゾートアプリ」を使った経験があるかと思います。このアプリは、来場処理済みのパスポートを登録することで、ファストパスチケット(優先的に乗り物を利用するためのチケット)の取得やショー抽選がアプリ上で行えるようになります。

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それだけではありません。パーク来場者は当日23:30までなら、パーク内で販売されているすべてのグッズの購入と配送手続きがアプリ上で行えます。購入金額が税込み10,000円以上ならば送料は無料です。

東京ディズニーリゾートアプリは、本来は自らの足で取得しに行くファストパスチケットやショー抽選などをアプリ上で行え、かつ手持ちのパスポートで認証が行われるので、ショー開催時もスムーズに入場できます。

オムニチャネルが必要な理由

オムニチャネルを最初に提唱した企業は、米大手百貨店のメイシーズです。2011年当時、営業不振に悩んでいたメイシーズでは、大幅な在庫圧縮と販売促進の戦略としてオムニチャネルを提唱し、実店舗とWebサイトの在庫を、RFIDを用いて統合しています。さらに、店舗スタッフには専用端末を貸与し、その場でWebサイト在庫を確認できるようにしたことで、消費者の利便性向上を目指しました。

そこからオムニチャネルブームに火が付き、今では有名企業をはじめ多くの企業がオムニチャネル戦略に取り組んでいます。では、なぜオムニチャネルが必要だと考えられているのでしょうか?

その最たる理由は、「スマートフォンとSNSの普及によって消費者の購買行動が大きく変わった」ことです。商品の検討から購入までのプロセスは、リアルを介さずにスマートフォンだけで完結できる時代です。しかも、ネット上で販売されている商品は実店舗と違って中間マージンがかからないので、比較的安価に手に入ります。

そこで起きたのが「ショールーミング」と呼ばれる現象です。実店舗で販売されている商品を実際に手に取り、さまざまな商品を比較検討してから気に入った商品をネット上で検索し、より安く購入する行動を指します。もちろん、小売事業者がショールーミングを阻止することなどできないので、その波は徐々に大きくなっていきます。

ショールーミングを受け、小売事業者は特定のチャネル(特に実店舗)にとらわれるのではなく、WebサイトやSNSなど幅広いチャネルを活用して、ユーザーを囲い込む戦略が必要になっていきます。つまり、たとえ実店舗で商品が購入されなくても、自社運営するWebサイトに誘導してネット上で購入してもらえば、トータル的に売上をあげられます。

マルチチャネル、クロスチャネルとの違い

オムニチャネルの変遷を振り返ると、マルチチャネルとクロスチャネルがその前身になっています。ただし、マルチチャネルとクロスチャネルが廃れた思想というわけではなく、現在でもこれらの考えにもとづいた販売戦略を取っている企業も少なくありません。

マルチチャネル

簡単に説明すれば、消費者に対して複数のチャネルを提供する戦略であり、チャネル同士のつながりは考慮していません。小売業ではチャネルが多いほど販売機会は増します。

複数のチャネルはあるものの、それぞれが独立して運営されているので、消費者視点で見ると「別のサービス」と捉えられます。マルチチャネルは初期投資こそ低いものの、運用負担が増すという難点もあります。

クロスチャネル

マルチチャネル戦略を取ることで消費者との接点は増えますが、多様化したチャネルごとの在庫管理や情報管理が難しくなります。過剰在庫や機会損失のリスクは無くなりませんし、問題点は多いのです。そこで登場したのが、クロスチャネルという新しい思想です。

クロスチャネルでは在庫管理や情報管理などのシステムを後方で連携させることで、複数のチャネルにまたがっている情報を最適化させます。これによりマルチチャネルの問題を解決しようとするのがクロスチャネルです。

統合されたチャネルをさらにシームレスに連携し、すべての情報を一元的に管理した上で消費者1人1人に最適なサービスを提供することがオムニチャネルの特徴であり、そこにクロスチャネルとの違いがあります。

オムニチャネル戦略に成功すると、複数のチャネルで提供されているサービスが1つのブランドのものと認識することができ、消費者自身もオムニチャネルサービスを利用する姿勢が出来上がります。

ちなみに、オムニチャネルと混同されがちな「O2O(Online to Offline)戦略」ですが、これはネットからリアル、あるいはリアルからネットへ消費者を送り込むための戦略なので、必ずしもチャネルがシームレスに統合されているとは限りません。

オムニチャネルで新しいビジネスモデルを創出できることも

もともとオムニチャネルはショールーミングなど、小売業特有の問題を解消するために考案されたビジネス戦略です。しかし今では、事業成長を戦略的に進めるための施策として取り組まれることが多く、「守りの戦略」ではなく「攻めの戦略」だと考える企業が増えています。

オムニチャネルを推進することで新しいビジネスモデルを創出する事例もありますし、企業本来の事業を大幅に強化したという事例もあります。大切なのは「オムニチャネルとはこういうもの」といった固定概念を持たずに、柔軟な発想で新しい戦略を打ち出していくことにあります。オムニチャネルについて理解したら、次は自社にとってどのような戦略が打ち出せるか?を考えてみましょう。

この機会に、ぜひオムニチャネル戦略の立案と実行を検討してみてください。

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