ツールを使って社員の位置情報を取得するメリットと注意点

 2020.11.27  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

スマートフォンの普及により、社員の位置情報をGPSで把握し、仕事の成果につなげる動きがあります。しかし、社員の位置情報を把握しても、法律上問題はないのでしょうか。また、社員の位置情報取得にどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。社員の位置情報がわかるサービスの紹介とともに解説します。

ツールを使って社員の位置情報を取得するメリットと注意点

社員の位置情報を把握するのは違法?

スマートフォンやカーナビなどに導入されているGPS機能。人工衛星からの電波で人やモノの現在地情報を取得できるこのシステムを使って、社員の位置情報を把握することは適法なのでしょうか。答えは「イエス」です。ただし、「目的が労務管理であり、業務時間内に限ること」が条件です。くわしく解説します。

適法になるそのほかの条件

社員は業務時間内、職務に専念する義務があるため、会社が社員の位置情報を取得することに違法性はありません。ただし、業務時間外はGPSで位置情報を取得しないように注意しましょう。社用の営業車に関しても業務時間内に利用することが想定されるため、GPS機能の導入に問題はありません。もし、営業車でパチンコや買い出しなど私用に使った事実がわかれば、職務専念義務違反として処罰の対象にできます。

また、社員の位置情報を適法に取得するには、プライバシーを侵害しないようにしなければなりません。法人携帯を貸与する時などに位置情報を取得する旨を周知し、社員の理解を得ることが大切です。

社員の位置情報を取得するメリット

社員の位置情報がわかると、どのようなメリットがあるのでしょうか。労務管理以外に勤怠管理や緊急時の対応などが挙げられます。

正確な勤怠管理

スマートフォンやタブレットのGPS機能を使えば、社員の勤務状況を管理するのに便利です。オフィスと別の場所で勤務する直行直帰型の業務でも、社員の位置情報をリアルタイムで収集し、確認できれば、勤怠管理を正確に行えます。

例えばイベントの運営業務で開催時間が10:00~18:00だとすると、イベント中に社員がその場所に確実にいたかをチェックできます。あるいはマンションやビルなどの清掃業務の場合、いくつも現場をかけもちする社員の勤務状況をつぶさに確認することが可能です。社員自身も勤務時間を会社に連絡する必要がなくなり、報告の負担を減らせます。

緊急時の対応

東日本大震災の教訓から、社員が災害や事故に巻き込まれた場合に備え、位置情報を確認するニーズが高まっています。特に建設現場で働いている技術職や外回りが中心の営業職などは、予想外の事故や災害に遭うリスクが高いため、緊急時に位置情報を把握できることは大変重要です。

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社員の位置が特定できれば、被災状況を確認したり、近隣の交通状況を知らせたりも可能。社員がどう行動してよいかわからない場合も、位置情報から救助や避難所への誘導、または帰宅させるなど安全確保につながる情報を引き出せます。

社員の位置情報を取得するデメリット

社員の位置情報を取得するメリットがある一方で、当然デメリットもあります。GPS機能を有効活用するために、以下のようなリスクに注意しましょう。

社内の反発を招くことも

社員の位置情報を過剰に確認するのは、プライバシーの侵害であり、「ロケーションハラスメント」にあたるという見解もあります。「ロケーションハラスメント」とは、携帯電話やスマートフォンの位置情報を不当に利用し、特定人物の居る場所や移動状況を常に把握し、プライバシーを侵す行為です。社員の立場になれば、四六時中監視され、人権が無視されている気分になります。1日の行動に対していちいち細かく注意を受ければ反発を招きます。

従業員のモチベーション低下

常に監視されることは人間にとって気持ちがよいものではなく、落ち着きません。社員の会社に対する心象が悪くなり、仕事に対するモチベーション低下も起きるでしょう。外回りや現場勤務の社員もあまり厳しく勤務状況をチェックしないことが大切です。

ある程度自由時間も認めながら、社員の自主性を尊重した方が、会社から自分は信頼されているという気持ちになり、仕事へのモチベーションも維持できます。結果的に業務効率化につがなり、業績を向上させることも可能です。

「みなし労働時間制」無効のおそれ

会社の外で働いている社員で、労働時間の算定が困難である場合は「事業場外みなし労働時間制」を適用し、所定労働時間を働いたことにできます。ところがGPSで社員の位置情報がわかれば、労働時間を把握可能となるため、「みなし労働時間制」は適用できません。もし、会社がGPSを利用しながら、「みなし労働時間制」だからと残業代を支払っていなければ、未払いとして請求されるリスクがあります。

社員の位置情報把握のポイント

では、社員の位置情報を問題なく取得するにはどうしたらよいでしょうか。位置情報を取得するメリットを活かすためのポイントを解説します。

目的の明確化

社員の反発を招かず、不快感をなるべく与えないようにするには、目的を明確にすることが大切です。そして、社員の位置情報を取得するのは適法であることを説明する必要があります。何に使うのか利用範囲についてもきちんと説明し、社員の理解を得る努力をしなければなりません。

必要以上の監視はNG

外回りの営業職が勤務時間中に公園や喫茶店で休憩ばかりしていないかを監視し、きちんと仕事をしているかチェックするのは正当な目的と言えます。しかし、行き過ぎた監視は社内の反発を招きやすいので控えるべきでしょう。トイレやタバコ休憩、昼食後のコーヒー休憩など、ちょっとした休憩まで口うるさく注意すると、プライバシーの侵害と取られかねません。休憩を取っていたことがわかったとしても、細かく注意しないようにしましょう。

あらかじめ就業規則に規定する

社員の位置情報を取得するのであれば、就業規則に記載し、社員全員がわかるように周知しておきましょう。位置情報を取得できるよう規則を変更する場合も、周知が必要です。就業規則で定めているなら、社員の理解も得やすくなります。黙って就業規則に記載、変更すると、発覚した場合に反発や違反のリスクが大きくなるため注意しましょう。

社員の位置情報がわかるサービス

最後に、社員の位置情報を把握するサービスシステムを3つ紹介します。これらのサービスを活用し、社員の位置情報を有効活用してください。

cyzen

「cyzen(サイゼン)」は、あらゆる業種で1,300社以上の導入実績がある、位置情報サービス付き社内コミュニケーションツールです。スマートフォン操作で、訪問先履歴の自動化や写真付き報告書の作成・共有、チャット機能など、さまざまな機能が使えます。会社の規模や業務内容に応じてプランが選択可能です。交通費の算出や安全走行支援サービス付きプランもあります。

Linkit® エリア探索

「Linkit® エリア探索」は、携帯型ビーコン(無線標識)と、屋内に設置した専用ゲートウェイ(受信機)を活用した位置情報サービスです。スマートフォンを支給する必要がなく、社員の位置情報や移動履歴をリアルタイムで把握し、クラウド上に記録・管理します。業務効率だけでなく、職場内で新型コロナウイルス感染のクラスターが発生しないように抑制することも可能です。

ナビタイム動態管理ソリューション

「ナビタイム動態管理ソリューション」は主に運輸業界で、移動の最適化に貢献するクラウド型勤怠管理サービスです。独自のルート検索技術を採用したカーナビ機能により、交通網の状況を逐次判断しながら、到着時間を正確に予測。車両の位置情報を追跡できるので、本部から配車や到着時間など的確な指示が出せます。倉庫管理システムと連携可能なので、作業負担も軽減します。

まとめ

社員の位置情報を把握するのは適法で、勤怠管理が正確になり、緊急時の対応なども可能になります。ただし、位置情報を取得する際は、社員の理解が得られるように目的を明確にし、事前に説明するようにしましょう。また、必要以上に監視しないといったポイントを守ることも、位置情報を有効活用するうえで重要です。

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