自動車の設計プロセスについておさえておきたいポイント

 2021.01.15  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

自動車の企画から販売に至るまでには、いくつものプロセスを踏まなければいけません。自動車開発における設計プロセスが大きく変化してきている中で、企業にとって各設計プロセスを理解することは必要不可欠です。本記事では、自動車の設計プロセスの流れと、押さえておきたいポイントを解説します。

自動車の設計プロセスについておさえておきたいポイント

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自動車の設計プロセス

設計とは、何らかの目的を達成するために具体的な方法・手段を考え、統合的に課題を解決していく作業です。自動車の設計プロセスは主に5つのフェーズに分かれています。それが「市場調査」「コンセプト・デザイン設計」「製品レイアウトの定義」「適合性検証」「詳細設計」です。以下では各設計プロセスの詳細について、具体的に解説していきましょう。

市場調査

企業とは、事業活動を通して顧客やユーザーに価値を提供し、利益を得て発展していく組織です。したがって、事業における最重要事項とは、顧客満足度の向上であるといえます。顧客ニーズを満たすために不可欠なのが、市場調査です。見込み客が求めている自動車とはどのようなものなのか、自社製品との関連性を考慮して徹底的に調査する必要があります。

具体的な手法として一般的なのが「販促調査」「価格調査」「製品開発調査」「満足度調査」の4つです。「販促調査」では、どのような広告やイベントを行えば販売量が増加するのかを調査します。「価格調査」は、見込み客が妥当と考える価格帯を知るための調査です。「製品開発調査」は、現在使っている製品について不満や要望などを聞き取り、見込み客の潜在的なニーズを汲み取ります。「満足度調査」は、製品の評価や改善点を知るための調査です。

優れた製品を開発するためには、さまざまな角度から市場調査を行い、結果をもとに商品コンセプトを立案する必要があります。徹底的なリサーチによって、現時点での自社の「強み」や「弱み」も具体化され、市場感や需要の把握につながるでしょう。

コンセプト・デザイン設計

このフェーズでは主にスケッチやモックアップを作成し、デザインの検証や試作車を使ったコンセプトの性能解析が行われます。製品のコンセプトとデザインは非常に重要な要素です。爆発的に売れる製品には必ず、明確なコンセプトとそれを体現したデザインがあります。そこで大切なのが、前述した市場調査です。

入念なリサーチによって、見込み客がどのような自動車を求めているのかが可視化されます。市場調査をもとにコンセプト設計を行うことで、見込み客のニーズを掴んだ製品設計が可能になるでしょう。

製品レイアウトの定義

コンセプト・デザイン設計の次は、自動車のエンジンや車輪の配置といったレイアウトを定義します。車種構成・寸法・質量など、車体を構成する基本要素を明確にするプロセスともいえるでしょう。

たとえば、車両前部にエンジンを搭載した前輪駆動のFF(フロントエンジンフロントドライブ)、前部のエンジンからプロペラシャフトを介して後輪を駆動するFR(フロントエンジンリアドライブ)といった、駆動形式の決定もこのフェーズで行います。また、この段階で開発費用や原価、工数なども明確化されます。

適合性検証

製品レイアウト作成の次は、適合性の検証です。数万点にも及ぶ部品から構成されている自動車には、品質に関するさまざまな規格が定められています。したがって、自動車の設計・開発において、規格や法規制は避けては通れない課題といえるでしょう。

自動車の安全性能・環境性能・快適性能などを調和させるためには、国際的な規格と法規制が必須です。そして、自動車産業に限らず、顧客やユーザーに製品を提供するうえで、規格と法規制を無視したものづくりはあり得ません。このフェーズにおいては、法規や基本要求の特定と、それらに対する適合性検証が行われます。

詳細設計

基本的な仕様が決定されたなら、詳細設計のフェーズに入ります。製品を安定的に生産するための、詳細な設計情報を構築するプロセスです。仕様に則った製品パラメータの定義や、耐久性・信頼性の評価など、設計の細部を確定します。

ここで大切なのは、全体から個別のシステム構成要素へとブレークダウンしながら設計を進めることです。各システムの目標性能と仕様を設計し、次にシステムの構成要素であるサブシステムと部品を設計するという形で、全体管理から個別管理へと業務を進める必要があります。

設計時に押さえておくべきポイント

自動車の設計プロセスにおいて、押さえておくべきポイントが2つあります。それは「設計プロセスの体系化」と「設計から評価に至る全行程のバーチャル化」です。ここでは、それぞれの重要性について解説します。

設計プロセスを体系化

設計業務を効率的に行うためには、プロセスの体系化が不可欠です。日本の製造業では、多くの企業が「計画(Plan)」→「実行(Do)」→「評価(Check)」→「改善(Action)」のPDCAサイクルを回し、継続的な改善に取り組んでいます。しかし、それはあくまでも生産現場における話であり、開発設計現場においては体系的な業務プロセスの構築に至っていない企業がほとんどです。

業務効率を改善し、生産性の最大化を実現するためには、設計プロセスを体系化する必要があります。設計手順や知的環境、議論すべきノウハウ、基準類など、それぞれのプロセスで定められた業務の実行が重要といえるでしょう。

設計から評価の行程をバーチャル化

従来の設計業務はプロトタイプを作り、実機での設計と試作・評価を行っていました。現在では「MBD(Model Based Development)」と呼ばれる、システムによる設計管理が注目を集めています。MBDとは、自動車開発のプロセスにおける設計と試作・評価を、数理モデルを用いてコンピューター上でシミュレーションする手法です。

設計から評価の行程をバーチャル化することで、設計管理業務の効率化を実現します。また、試作費用の大幅な削減にもつながるでしょう。MBDは、業界全体の産業競争力を底上げするとして、経済産業省が導入を推進しているシステムです。したがって、今後MBDは自動車産業の設計業務におけるスタンダードになっていくと予測されます。

まとめ

IT技術の発達とともに、時代は急速に変化しています。それは自動車産業も例外ではなく、顧客ニーズの多様化や製品ライフサイクルの短縮化など、越えるべき課題が山積みです。さまざまな課題を解決し、よりよい製品を生み出すには、設計プロセスの最適化が不可欠です。そのため、設計プロセスのデジタル化に取り組む必要があるでしょう。

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