建設業の2024年問題とは? 建設業における働き方改革のポイント

 2021.05.31  デジタルトランスフォーメーションチャンネル編集部

さまざまな業界で働き方改革による変化が起きていますが、建設業もまた大きな変化に直面しています。「2024年問題」と呼ばれる働き方改革におけるターニングポイントを意識して、今のうちから対応方法を具体的に検討しておく必要があるでしょう。

そこでこの記事では、建設業における働き方改革のポイントを解説し、必要な対応を紹介します。建設業で働くシステム担当者は、こちらを参考に働き方改革に合わせた環境改善の具体策を考えてみましょう。

建設業の2024年問題とは? 建設業における働き方改革のポイント

建設業における働き方改革

建設業もあらゆる業界と同様に、政府の主導する働き方改革に合わせた対応が求められるようになっています。

早めに対応の準備をしなければ、制度上必要とされる環境の整備が追いつかなくなる可能性もあるでしょう。

まずは働き方改革の基本について、以下で解説します。

建設業における労働の現状

建設業では、他業種と比較して長時間労働の常態化が深刻となっているのが現状です。国土交通省の「建設業における働き方改革について」の資料によると、建設業は全産業の平均と比較して年間300時間以上多く働いているというデータがあります。

製造業と比較しても100時間以上長い労働時間となっているため、決して楽な現場ではないことがわかるでしょう。(いずれの数値も2016年を参考)

休日の取得率も低く、週休2日をきちんと取得できている人は全体の1割にも届きません。給与に関しても、比較的低い水準にあることが問題です。

建設業全体で見れば上昇傾向であるように思われますが、生産労働者だけに絞り込めば、製造業と比較しても低い数値に止まってしまいます。

このように、建設業の労働現状は楽観視できず、厳しいと評される要素が多くなっているのです。その結果、働き方改革による見直しが進められることになり、現状の問題とされている部分の早急な解決が課題となっています。

「建設業働き方改革加速化プログラム」による後押し

国土交通省は上記のような現状を受けて、建設業向けに「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定しています。

こちらのプログラムは、「長時間労働の是正」「給与・社会保険」「生産性向上」の3つを改革の柱としています。

具体的には項目ごとに、下記の目標が設定されています。

・長時間労働の是正
週休2日の確保を進めるために、週休2日制で工事をしている現場をモデルとして見える化することや、公共工事の週休2日工事で労務費などの補正を導入し、共通仮設費・現場管理費の補正率の見直しなどを行ったりします。
長時間労働にならないように、「適正な工期設定等のためのガイドライン」の改訂も行われています。

・給与・社会保険
資格や就業履歴を登録して横断的に活用できるキャリアアップシステムを採用し、5年で建設技能者約330万人の加入を進めます。
技能や経験に基づいた正しい査定が行われるための「能力評価制度」の策定や、社会保険未加入の企業に建設業の許可・更新をしないなどの対応がとられます。

・生産性向上
積極的なICTの活用を促したり、IoTや新技術を導入したりすることで品質の向上や省力化が考えられます。また、将来的に現場で活躍する技術者が減ることを見越して、技術者の配置要件における合理化も進められます。

その他、厚生労働省も雇用改善のために「建設事業主等に対する助成金」を支給するなどの支援を行っています。

これらの後押しによって、建設業も既存環境の改革が進められるようになっているのです。

建設業でも2024年より働き方改革への対応を迫られる

働き方改革ではあらゆる方向からのアプローチが行われますが、建設業における近々のポイントは2024年から始まる時間外労働の上限規制です。

企業にどのような対応が求められるのかを、下記で解説します。

時間外労働の上限規制は2024年から

建設業では、2024年から時間外労働の上限規制が適用されます。

他業種は2019年4月の法改正から適用されていましたが(中小企業は1年猶予の2020年4月から)、建設業や医師などの一部の業種には、5年間の猶予期間が与えられていました。その猶予が終了し、2024年4月からは建設業も他業種と同様に時間外の労働に上限が設けられます。

上限の規制内容は、原則として月に45時間、年に360時間以内と定められています。繁忙期など通常より多くの労働時間が必要な時期には、特別条項付き36協定を事前に労使間で結び、上限の延長を行うことも可能です。

この上限に違反して労働者を働かせた場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

罰則がきちんと明確にされていることからも、建設業は2024年4月からの上限規制にきちんと対応しなければなりません。

事業存続のためにも働き方改革は急務

2024年からの上限規制に合わせた働き方改革は当然重要ですが、そもそも建設業は事業の存続のために労働環境を見直すことが急務となっています。近年は少子高齢化の影響による労働不足が深刻化していて、あらゆる業界が働き手の確保に追われているのです。

特に建設業は、人手不足が当たり前の光景となっている懸念があるでしょう。

建設業には昔から言われる「3K(きつい、汚い、危険)」を筆頭に、クリーンな労働環境が整っていないというイメージが持たれていることが多いです。

そのため他業種と比較してさらに人が集まりにくくなる可能性があり、将来的に人手不足がさらに加速することも考えられます。

企業としてはそういった問題を把握した上で、積極的な働き方改革を進めるべきだと言えるでしょう。

2024年の上限規制は、その改革の一つのきっかけとして利用することができます。

建設業の働き方改革実現の鍵はDX

建設業における働き方改革のポイントは、DXです。

労働人口が減少しているのに、労働時間を短縮しなければならない理不尽な現状を打破するには、デジタルテクノロジーによるサポートが欠かせません。

最新の技術を既存の環境に上手く取り入れることができれば、単純に人を増やすという方法よりも低コスト・低リスクで労働環境を改善できるでしょう。

しかし、事業のDX化を明確にイメージすることは難しく、特に人の手であらゆることがサポートされてきた建設業では具体的な方法を考案することが困難になる場合もあります。

そこで以下では、建設業の働き方改革でDXを導入するポイントやメリットを解説します。

建設作業の省人化

建設業でのDXでは、作業の省人化がポイントになります。

例えば作業用ロボットや建設のための自動システムを導入して、人が作業をしていた部分を機械に一任することが進められているのです。

実際に清水建設は「シミズスマートサイト」という建築工事システムを開発して省人化を行っています。

シミズスマートサイトではIoTを使って現場情報を確認し、自律型ロボットによる作業が進められています。

無人の建機が自動連携して建築作業を行う形は既に整いつつあるので、現場の人員を削減して別の業務を担当させるなどの業務効率化を検討することが可能です。

また、自動運転技術も実用化が近づいてきているので、今後は現場に必要な人数がさらに削減されるかもしれません。

建設業の省人化は、事故のリスクを減らすなどのメリットにもつながることから、DXによる改革が優先されやすいでしょう。

業務効率化による生産性の向上

DXによるあらゆる業務の効率化は、建設業における生産性の向上につながっていきます。効率化の手法は多数考えられますが、特に設計とその共有をICT化することがポイントです。

例えばスケジュール管理や勤怠管理、設備の予約状況の確認、伝言を残す機能などを持つグループウェアを導入することで、業務上の連携を強化することも可能です。

建設業は天候によってその日のスケジュールに変更が生じることも多いため、グループウェアで情報を簡単に確認できるようにしておくことは生産性を向上させます。

他にも作業現場にWebカメラを導入することで、現場の状況をリアルタイムで確認できるようになるため、管理作業を短縮できます。

従業員に危険があるときには遠隔から指摘することも可能なので、客観的な安全性の確保も実現可能です。また、DXではあらゆる情報をクラウドで管理する環境構築も行われるので、従業員の労務状況や健康状態を管理することもできるようになります。

クラウドサーバーを用いることで多くの情報が可視化されるため、長時間労働の見過ごしなどが起こりづらくなり、働き方改革が進めやすくなるでしょう。

このように、DXは生産性を向上させる業務効率化をいくつも可能としています。

まとめ

建設業では、2024年の問題を皮切りに本格的な働き方改革が進められることになるでしょう。

今から必要な準備を整えて、現代の働き方に合った職場環境を構築できるように備えることも検討してみてください。

これから働き方改革を進めるのなら、PTCのDXソリューションを導入することもおすすめです。

IoTやARなどの技術を活用した企業全体のDXを支援するソリューションガイドとなっているので、本格的な働き方改革をサポートしてくれます。

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