小売事業者がおさえておきたい購買行動モデル

 2020.05.13  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

消費者に商品・サービスを購入してもらうには、消費者がどのようにして購入に至るのかというプロセスを理解しておかなければなりません。そこでこの記事では、消費者の行動内容を表した「購買行動モデル」について、詳しく解説します。

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時代と共に変化する購買行動(消費行動)モデル

「購買行動」モデルとは、消費者が商品またはサービスを見つけ、購買に至るまでのプロセスのことを指します。例えば、テレビCMで商品の宣伝を見て、「この商品が欲しい」という欲求が高まり、実際に店舗に足を運ぶといったように、消費者がどのような経緯で商品の購入に至るのかを表しているのです。この購買行動モデルを理解しておくことは、企業においてマーケティングはもちろん、商品開発にも役立ちます。

近年では、消費者が情報を手に入れる手段は、テレビからスマートフォンやパソコンなどに移り変わっており、それに伴い、購買行動モデルも時代と変化しています。

購買行動モデルの変遷は「マスメディア時代」「ネット検索時代」「SNS時代」「コンテンツマーケティング時代」の4つに大別できます。ここからは、時代ごとの購買行動モデルを確認してみましょう。

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マスメディア時代の購買行動モデル

マスメディア時代は、まだインターネットが普及する前の時代を指します。消費者が情報を入手する手段はテレビCM・新聞・雑誌広告のほか、店頭に足を運んだ際にスタッフから受ける説明などに限られていました。そのため、企業から消費者に情報を与える「マス広告」が、購買行動を促す大切な役割を担っていました。この時代に提唱された購買行動モデルが、「AIDA」と「AIDMA」です。

AIDA

AIDA(アイダ)は、アメリカ人のセント・エルモ・ルイスによって提唱された、世界最古の購買行動モデルです。AIDAは消費者が商品・サービスの購入までに取る行動の頭文字で、「A:Attention(注意)」「I:Interest(興味)」「D:Desire(欲求)」「A:Action(行動)」を表しています。それぞれの詳しい行動内容は以下の通りです。

○Attention(注意):企業からの広告を見て、商品・サービスを知る。

○Interest(興味):商品・サービスに興味を持つ。

○Desire(欲求):商品・サービスが欲しいという欲求を持つ。

○Action(行動):商品・サービスを購入するという行動を起こす。

この購買行動モデルは、ほかのモデルの基礎ともなっているため、よく理解しておきましょう。モデルに基づき、Attentionの段階ではいかに消費者の注意を引くか、Interestの段階ではどのようにして消費者の興味をそそるかなど、それぞれの行動ごとに適したマーケティングを行うことが大切です。

AIDMA

AIDMA(アイドマ)は、上述のAIDAを基に、サミュエル・ローランド・ホールが提唱した購買行動モデルです。Desire(欲求)とAction(行動)の間に「M:Memory(記憶)」が追加されています。

このMemory(記憶)の段階において、消費者は「商品・サービスの存在やそれが欲しいと思った気持ちを記憶する」という行動を起こします。たとえば、時間や金銭的な余裕がない場合、消費者はすぐに商品・サービスの購入に走ることができません。そこで、一旦商品・サービスについて記憶し、再度思い出したときに購入するといったプロセスを踏むことになります。

つまり、Memory(記憶)のあとにAction(行動)に繋げるには、いかに消費者に商品・サービスのことを思い出させるかが大切になります。DM(ダイレクトメール)や電話などでフォローするとよいでしょう。

ネット検索時代の購買行動モデル

インターネットの普及が進み始めると、消費者はテレビや新聞、雑誌からだけではなく、インターネットを通じて商品・サービスについて、自分から情報を集めるようになりました。これにより、マス広告だけでなくネット上での広告や情報も大切となってきました。

また、消費者自身が情報の発信者として行動を起こすようにもなり、購買行動モデルに新たなプロセスが加わるようになりました。以下では、その代表的な2つのプロセス「AISAS」「AICEAS」についてご紹介します。

AISAS

AISAS(アイサス)は、日本の大手広告代理店・電通が提唱した購買行動モデルです。Search(検索)やShare(共有)など、インターネットを通じてできる行動がプロセスに加わっています。詳しい行動内容は以下の通りです。

○Attention(注意):企業からの広告を見て、商品・サービスを知る。

○Interest(興味):商品・サービスに興味を持つ。

○Search(検索):商品・サービスについて検索する。

○Action(行動):商品・サービスを購入するという行動を起こす。

○Share(共有):商品・サービスの情報を共有する。

商品・サービスの購入前後に、消費者が情報を調べる・拡散するという過程を含むのが特徴です。情報の調べやすさや拡散のしやすさが、購買行動の促進に繋がるため、Web上における情報のやり取りの仕組み作りが大切となります。

AISCEAS

AISCEAS(アイシーズ)は、AISASにComparison(比較)とExamination(検討)を追加した購買行動モデルです。

インターネットが普及した現在、1つの商品・サービスを見ただけで購入を決める消費者は少なくなってきています。同じカテゴリーに分類されるほかの商品・サービスと比較し、どれがいちばん自分に合っているのかを検討してから購入を決定するのです。

商品・サービスの比較・検討は、AIDAの時代からも行われていましたが、インターネットの普及によって、より簡単かつ高精度に比較・検討ができるようになったため、購買行動モデルの中でもとりわけ重要なプロセスとして考えられるようになりました。

SNS時代の購買行動モデル

ネット検索時代を経て、消費者の購買行動にはインターネットが欠かせないものとなりました。ネットの普及が広まると、単純なネット検索からではなく、SNSを利用した口コミからの購買行動が目立つようになってきました。これをSNS時代といいます。

SNS時代において、購買行動の動機となるものに「Sympathy(共感)」があります。SNS上の口コミに共感し、商品・サービスを購入しようとする消費者が増えてきたのです。以下では、SNS時代における代表的な購買行動モデルである「SIPS」と「VISAS」について確認してみましょう。

SIPS

SIPS(シップス)は、AISASと同じく電通が発表した購買行動モデルです。SIPSの詳しい行動内容は以下の通りです。

○Sympathy(共感):人のメッセージに共感する。

○Identify(確認):メッセージに関する情報を確認する。

○Participate(参加):「いいね!」などのリアクションやコメントをし、自分も参加する。

○Share & Spread(共有・拡散):情報を共有・拡散する。

SIPSは、SNSを多用する消費者の購買行動モデルを表したものです。消費者が商品・サービスを購入するActionが含まれるとは限らず、SNSに参加すること自体がActionの要素を担っています。

SNSでは情報の共有・拡散が頻繁に行われるため、商品・サービスを広めるのに役立ちます。ただし、必ずしもいい評判が共有・拡散されるという訳ではないため、注意が必要です。

VISAS

VISAS(ヴィサス)は主に、Viral(口コミ)によって商品の情報を得て、購入に繋がる際の購買行動モデルを表しています。VISASの詳しい行動内容は以下の通りです。

○Viral(口コミ):口コミから商品・サービスの情報を得る。

○Influence(影響):その情報に影響を受ける。

○Sympathy(共感):その情報に共感する。

○Action(行動):商品・サービスを購入するという行動を起こす。

○Share(共有):商品・サービスの情報を共有する。

VISASは、商品・サービスの口コミを確認し、影響を受けたり共感したりして購買意欲が促され、購入に繋がるといった購買行動を表します。

近年では企業からの情報よりも、実際に商品・サービスの利用者からの口コミを重視する消費者も増えてきています。いかにして消費者から好評を得られるかが鍵といえるでしょう。

コンテンツマーケティング時代の購買行動モデル

近年、大きな注目を集めているのが、コンテンツマーケティング時代の購買行動モデルです。コンテンツとはネット上の記事のことを指し、消費者が有益な情報を自分で発見し、その情報元である企業と関係を強めていくというプロセスを踏んで購入に至ります。その代表例として、「DECAX」と「Dual AISAS」をご紹介します。

DECAX

DECAX(デキャックス)は、電通が発表した、コンテンツマーケティングに即した購買行動モデルです。詳しい行動内容は以下の通りです。

○Discovery(発見):コンテンツをきっかけに商品・サービスを発見する。

○Engage(関係):コンテンツの閲覧をもとに企業(商品)と関係を深める。

○Check(確認):商品・サービスについての情報を確認する。

○Action(行動):商品・サービスを購入するという行動を起こす。

○eXperience(体験と経験):商品を体験し、感想を共有する。

DECAXのプロセスを見てわかる通り、コンテンツマーケティング時代では商品情報の共有よりも、消費者に役立つ情報を与え、企業や商品との関係を深めることが重視されています。ただし、役立つ情報ばかりを与えていても商品購入には繋がらないため、適切なタイミングで商品の情報を流すことも必要です。

Dual AISAS

Dual AISAS(デュアルアイサス)は、「買いたい」「広めたい」という2つの消費者行動を表した購買行動モデルです。消費者の行動内容は以下の通りです。

「買いたい」のAISAS

○Attention(注意):企業からの広告を見て、商品・サービスを知る。

○Interest(興味):商品・サービスに興味を持つ。

○Search(検索):商品・サービスについて検索する。

○Action(行動):商品・サービスを購入するという行動を起こす。

○Share(共有):商品・サービスの情報を共有する。

「広めたい」のAISAS

○Activate(起動・活性化):商品・サービスの購入を意識する。

○Interest(興味):商品・サービスに興味を持つ。

○Share(共有):商品・サービスの情報を共有する。

○Accept(受容):商品・サービスの情報を無視できないものとして受け取る。

○Spread(拡散):情報を拡散する。

Dual AISASでは、消費者が行いたいと考える「買う」「広める」2つの行動をうまく結びつけ、連動させることが大切です。

まとめ

消費者が商品・サービスを購入する過程を表した「購買行動モデル」。時代とともに変化するこのモデルを理解しておくことで、今後のマーケティングや商品開発に活かせることでしょう。時代とともに購買行動モデルは移り変わるため、常に新しい情報にアンテナを張ることが大切です。

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