IoTとARによる本当のDX──フィジカルとデジタルの融合

 2020.07.01  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

現代の産業は、最先端ITを最大限に応用するデジタルトランスフォーメーションの潮流と相まって、非常に大きな転換期を迎えています。物理的な製品や設備(フィジカル)と、ITで生成・管理される3Dモデルや部品表、稼働状況といった情報(デジタル)とをつなぐことで、プロセスの高度化やヒトの生産性向上を図ることができます。PTCのIoT・ARソリューションが、どのようなデジタルトランスフォーメーションを実現するのかを詳しく解説しましょう。

IoTとARによる本当のDX──フィジカルとデジタルの融合

製造業における2つの産業IoT

IoTやARといった最先端のIT技術を用い、製品を高度化したり、ヒト・現場の作業を効率化したりすることで、大きな価値を生み出すことができます。ただし、そうした最新の業務は継続できなければ意味がありません。IoTで得られた情報を基にARを活用して効率よく業務を遂行したり、IoTとARを組み合わせた新しい製品・サービスを提供したりする。そのような連携を継続して価値を生み続けていくことが、本当の“デジタルトランスフォーメーション”と言えます。それは製造業やサービス業のみならず、小売や物流、保険、建築などの産業全般に当てはまります。

まずは製造業における“産業IoT”の活用例を見てみましょう。製造業では、大きく分けて2つの領域があると考えられます。

1つは「スマートファクトリー」──製品を生み出す工場や工業機械にIoTを適用し、設備の状況を可視化したり、その情報を利用した制御を実現したりするもので、設備どうしの連携にも応用できます。最新の工業機械には多数のセンサーが組み込まれており、細かに稼働状況を把握して製造を効率化することができます。古い機械に小さなIoTデバイスを取り付けて、運用効率化を図る例などもあります。

もう1つは「スマートプロダクト」──提供する製品そのものにIoTを適用し、利用状況を監視して遠隔での保守サービスに活用したり、サブスクリプションのような新しいサービス形態を生み出したりする形態です。

特に製造業では、従来のような製品を売り切る事業から、サービスを継続的に提供する事業への転換が期待されています。例えばある製造設備メーカーでは、製品にIoTデバイスを組み込んで“リモートモニタリング”を実施し、故障の診断や予知、機器の制御、不具合の修正といったメンテナンスサービスを提供しています。これにより稼働パフォーマンスを向上し、一部の問題はリモートで解決できたほか平均修理時間を大幅に短縮し、非稼働時間の削減に成功しました。リモートモニタリングは、産業IoTの第一歩として最適で、サービス品質向上・利益増大効果が大きく、実証例も多い取り組みの1つと言えます。

しかし、日本企業の産業IoTへの取り組みは、あまり進んでいるとは言えません。関心は高いのですが、実用までたどり着けていないのが実情です。PoCを実施しても、経営的な効果がはっきりしないというのが理由です。これにはわけがあります。

産業IoTの実現は、おおまかに「監視(見える化)」「制御」「最適化」「自立化」という4つのステップで進められます。PTCの調べでは、すでに多くの企業が生産プロセスにおいて何らかのデータ収集を行っており、つまり第1ステップの見える化は十分に実現できます。ところが、この見える化がPoCのゴールになってしまっているのです。産業IoTの検討においては、可視化された情報を用いて機器を制御したいのか、業務を最適化したいのか、それとも自立化を目指したいのか──“経営ゴール”を含めてしっかり設定することが重要です。

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IoTアプリケーションの3要素 接続性・開発性・運用性

次に、実際のIoTの実装における課題について考えてみましょう。IoTアプリケーションを開発し、運用していくとき、どのような点に注意すべきでしょうか。IoTアプリケーションに求められるのは「接続性」「開発性」「運用性(利便性)」という3つの要素です。

IoTアプリケーションは、さまざまな設備や製品、データベース、その他のITシステムと接続し、相互に情報をやり取りします。モデルの定義やビジネスロジックの適用、データ管理、UIといったソフトウェアを開発する環境も欠かせません。目的に応じて、AIやARなどの最先端技術を組み込んだり連携したりする機能も重要です。IoTアプリケーションを利用する環境にも注目すべきで、PCから利用するのか、スマートデバイスが中心となるのか、あるいはARデバイスで利用するのか。またIoTはトライ&エラーを繰り返して開発していく領域と言えますので、プロビジョニングの煩雑さも無視できません。

PTCが提供する「ThingWorx」は、これらの要素に注目して設計されたIoTアプリケーション開発プラットフォームです。スマートファクトリーにもスマートプロダクトにもどちらにも対応できる高い接続性・開発性・運用性を備えています。

まず、多様な装置やシステムと容易につなぐことができるのが特長です。150種類以上の設備ドライバーを搭載しており、PLCやDCSなど主要な産業設備・機器と標準で連携することができます。新しいスマートプロダクト向けには、無償で提供されるThingWorx SDKを使用して、用いれば簡単にエージェントアプリを開発して接続できるようになります。外部データベースを読み書きするドライバーが用意されており、MQTTやREST APIなどにも対応していますので、既存のITシステムをそのまま活用することができます。

ThingWorxでは、設備や機器をモデル化し、変数やサービス、イベント、サブスクリプションなどを定義することができます。これにより、単なるセンサーデータの可視化だけでなく、複雑なIoTアプリケーションを作り上げることが可能となっています。アプリケーション画面の開発はノンコーディングで、部品のドラッグ&ドロップを中心とした簡単な操作で利用できます。もちろん、JavaScriptを利用して細かなビジネスロジックを実装したり、画面部品を独自に開発したりすることも可能です。

また上述したように、IoTアプリケーションの運用を継続していくと、見たい情報や実行したい事柄が変わり、改修を繰り返していくことになります。ThingWorxは、アプリケーションをデプロイする必要がなく、改修したものをすぐに使用することが可能です。また、機械学習ソリューションの「ThingWorx Analytics」や、後述するARソリューション「Vuforia Studio」などと連携することで、最新の技術も容易に取り込むことができます。

IoTや業務システムと高度に連携できるAR

IoTから連なるステップとして注目したいのが「AR(拡張現実)」です。スマートデバイスやスマートグラスに投影された現実の視界にデジタル情報を重ねることで、情報をよりよく見える化したり、情報を基にしたガイダンスや指示を表示して業務を効率化したり、ARインタフェースを通じて機器を遠隔制御したりと、幅広い用途に応用できます。

特に日本では、多くの分野で人手不足が大きな問題となっています。次代を担う若手をじっくり育成することは難しく、また教育を担当する人材すら不足しています。ARを活用すれば、スマートグラスでガイダンスを見ながら作業することができ、現場で働きながら学ぶことができます。教育のために人手を割く必要もありません。不慣れでも手順や方法を確認しながら作業できるため、確実にすばやく作業を行えるようになります。また複雑な作業の現場でも、紙の図面や分厚いマニュアルを持ち運ぶ必要はありません。設計者や監督者と映像を共有し、指示を受けながら作業することすら可能です。

ただし問題は、ARを現場で活用するためのコンテンツの作成です。機器設計用の3D CADデータはあっても、そのままではARとして利用することはできません。またIoTを介して表示すべき情報を得られても、ARと連携する必要があります。場合によっては、リアルタイムにデータを投影する仕組みも必要でしょう。

PTCの「Vuforia Studio」は、直感的な操作・ノンコーディングでARコンテンツを作成できるソリューションです。主要な3D CADソフトウェアへマルチに対応しており、直接的に3Dデータを取り込んで活用することができます。作成したARコンテンツは「Vuforia view」アプリで再生します。このアプリはiOSやAndroid、Microsoft HoloLensなどのウェアラブルデバイスに対応しています。

Vuforiaの最大のポイントは、ThingWorxと連携できることです。つまり、IoTアプリケーションから得られた情報を取り込んで、ARコンテンツとして表現することができるのです。前述したように、ThingWorxはデータベースやその他のITシステムと連携しますので、それらの情報も利用できます。例えば工業機械をメンテナンスする際に、データベース上の部品データを参照したり、保守システムの診断情報を確認したりしながら、効率よく確実に作業を進められるというわけです。遠隔支援ツール「Vuforia Chalk」を利用すれば、オフィスのエンジニアに指示を仰ぎながら、新人が難しい作業をこなすことも可能となります。

フィジカルとデジタルの融合でヒトの高度化を目指す

PTCが目指すのは、IoTとARによってフィジカル(製品)とデジタル(情報)とを融合することです。それによって次世代の産業に必要となる「デジタルスレッド」と「デジタルツイン」が実現するのです。デジタルスレッド/デジタルツインの活用によってヒトの能力はいっそう高度化し、生産性を飛躍的に向上することが可能となります。

フィジカルとデジタルの融合でヒトの高度化を目指すPTCは、ThingWorxやVuforia Studioのほか、3Dモデルやアニメーションを作成するためのCADツールや、CADや評価ドキュメントといったあらゆる製品データを管理するPLMなど、デジタルスレッドの基盤となるソリューションを包括的に提供しています。IoTを単なる監視にとどめず、ARを単なる3D可視化に終わらせないためにも、将来的な進化と価値の創造まで見すえてIoT・ARに取り組みたいものです。

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