医療・製薬

レセプトコンピュータとは?電子カルテとの違いや連携

健康保険の支払申請などに必要なレセプトを作成する「レセプトコンピュータ」を導入するクリニックや医療機関が増えています。この記事ではレセプトコンピュータの概要と、電子カルテとの違いや連動などについて詳しく説明します。

レセプトコンピュータとは?電子カルテとの違いや連携
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医事会計業務を効率化する「レセプトコンピュータ」とは?

「レセプトコンピュータ(レセコン)」とは、診療報酬明細書(レセプト)を作成するコンピュータや専用のソフトウェアやシステムのことです。レセプトはドイツ語で「レシート(領収書)」の意味です。病院などの医療機関が患者の治療や診療に要した医療費のうち、患者が負担する分を除いた残りの金額は、会社や自治体の健康保険組合から「診療報酬」として支払われますが、診療報酬の請求にはレセプトの提出が必要です。

以前はレセプトも手書きで作成されていましたが、レセプトコンピュータの登場により作成にかかるコストが大幅に削減されました。

レセプトコンピュータの機能には、レセプト作成のほか、患者の診療内容や会計の記録、処方せんの発行機能といった受付業務全般にかかわるものから、クリニックの経営状態分析など病院やクリニックなど事業所の維持管理のための機能もそなわっています。医療機関の種類別に「医科用」「歯科用」と薬局向けの「調剤用」の3種類があり、それぞれの特性に応じた内容になっています。

レセプトコンピュータの普及状況

レセプトコンピュータは、業務の効率化だけでなく、医療保険の不正請求防止にもつながることから導入が推進された経緯があり、現在ではほぼ100%に近い普及率となっています。

健康保険組合などに提出される診療報酬請求書の審査などを行う団体「社会保険診療報酬支払基金」が公表している「レセプト請求形態別の請求状況」によると、2020年3月に診療を行い、診療報酬を請求した医療機関は約21万9,000か所あり、そのうちの95.4%がレセプトコンピュータを使って作成した電子レセプトを提出しており、紙のレセプトを使用しているのはわずか4.6%にすぎません。請求件数から見ますと、2020年3月に保険請求が行われた約9,375万件のうち、電子レセプトが98.8%に及び、紙のレセプトはわずかに1.2%となっています。

一方、事業者の内訳を医療機関別にみると、医科や調剤と比べて歯科では電子レセプトの普及率がやや低くなる傾向が見られます。診療報酬を請求した医療機関約21万9,000か所のうち、紙のレセプト使用は医科全体で3.7%、クリニックだけみても4.0%まで減っており、調剤ではわずか1.6%です。しかし、歯科ではまだ8.4%が紙のレセプトを使用していることが分かります。

また、歯科では電子レセプトを利用している場合でもオンライン請求の割合が低いのも大きな特徴です。電子レセプトのオンライン請求は医科全体で70.8%、クリニックだけみても68.2%とで、調剤では97.5%に上っています。それに対して、歯科の場合はオンラインでレセプトを提出しているのは全体の19.2%にとどまっており、何らかの記録媒体を通して電子レセプトを提出しているケースが72.3%となっています。

同じく、医療機関別の請求件数からみても、約9,375万件のうち、紙のレセプトの使用率は、医科全体で1.4%、クリニックだけみても1.4%で、調剤ではわずかに0.4%ですが、歯科は2.3%と倍以上の差がついています。

レセプトコンピュータと電子カルテとの違い

レセプトコンピュータのほかに、医療機関で利用するコンピュータシステムに「電子カルテ」があります。よく知られているようにカルテは患者の診療記録で、患者の症状とそれに対する診断と治療内容や、症状や疾患の経過などを記入して治療に役立てるためのものです。従来は紙に記録していたこのカルテを、コンピューターシステムを利用して電子媒体に記録したものが電子カルテです。

コンピュータを利用した電子カルテでは、カルテの保存・保管やデータ検索が容易になるという大きなメリットが生まれます。カルテの内容をデータベースにして管理することができるので、紹介状や診断書を作成するコストを大幅に削減することができます。

また、患部のレントゲン写真やCT検査などの画像データなども併せて管理できるようになり、他の医療機関と治療データを共有する場合も非常に簡便に行うことができるようになります。

厚生労働省が公表した2017年「医療施設調査」によると、2017年時点で電子カルテを導入している施設は病院・クリニックで40%強、歯科医院では60%強にとどまっており、本格的な普及はまだこれからといえます。今後の電子カルテ導入で、さらなる業務の効率化や診療時間の短縮などの効果が期待されます。

電子カルテと連携させるメリット

電子カルテはレセプトコンピュータと連携させることがもちろん可能です。両者の連携により、カルテに入力された情報は即座にレセプトコンピュータのデータに反映され、会計業務と診察の両方を効率化することができます。

初診患者の問診票の情報などを受付業務で入力した場合、その内容が即座にカルテに反映されますので、カルテを新規に作成する手間が軽減できます。また、会計業務では担当者の手間や待ち時間を減らすことができ、患者の満足度を高めることにもつながります。

このように、データを入力する回数を減らすことができるので、入力ミスが起きる可能性も下がります。手書きに比べ誤字脱字の修正も容易です。

ただし、電子カルテの製品によって連携できるレセプトコンピュータは特定のものに限られている場合が多くなっています。レセプトコンピュータと電子カルテを同時に新規導入する場合は、電子カルテのシステムを先に決定して、その製品に対応しているレセプトコンピュータを選ぶとよいでしょう。最初から両者がパッケージになっている製品もあり、システムを一から構築する場合には便利です。

まとめ

レセプトコンピュータや電子カルテの導入で、日々の業務の省力化を図ることができます。また、待ち時間の減少など患者側にも大きなメリットがありますので、設備投資に見合う価値が十分あるといえます。ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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