小売業の経理の特徴と他業種との違い

 2019.12.13  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

どのような企業であっても、お金を用いて取引先や消費者を相手に仕入れ・販売をしている以上、必ずお金の流れが生じます。そんなお金の流れを正確に記録するのが経理の業務です。経理部門が記録したお金の流れや金額は、経営陣の経営判断にも大いに活用されます。小売業における経理部門の特徴や、他業種と比べて何が違うのかなどを解説します。

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「経理」の業務内容

あらゆる企業において必要とされる経理部門ですが、こと小売業に限っていえば、他業種のそれとはいささか異なる特徴を持ちます。

経理業務と一口にいっても、その業務内容は多岐に亘ります。企業内での経理業務を3つに大別すると、「毎日の経理業務(いわゆる日次業務)」「毎月の経理業務(月次業務)」「毎年の経理業務(年次業務)」に分けられます。それぞれの業務内容は、主に以下のようになります。

毎日の経理業務(日次)

現金の出納管理や立替経費の精算、伝票への記帳や整理などが代表的な業務として挙げられます。また、残高確認も毎日の業務に含まれるのが一般的です。現金の出納管理に関しては、キャッシュレス化が進む昨今においてもなお、重要な業務の一つとなっています。立替経費の精算では、従業員が日々の活動の中で自ら立て替えたお金の処理を行います。これらは一般的には日次業務とされていますが、月次で行う企業もあります。また、隔週(月の前半と後半)で行う企業もあり、まさにケースバイケースといえます。

毎月の経理業務(月次)

取引先への請求書の発行や売掛金の回収、従業員への給与の支払い、または取引先への支払いなどが主な業務です。一般的には、月のいずれかの日を締日として、まとめて集計と処理を行います。月次の決算では、予算や計画と実績を比較することも求められます。月次決算で帳簿の数字を正確に集計・処理することにより、年次決算をより迅速かつ正確に行うことができます。そのため月次決算は、財務会計の観点からも非常に重要な業務となっています。
1ヶ月間の主な流れとしては、上旬に取引先からの入金確認や帳簿の締め切り、予算の対比分析などを行い、下旬に給与の計算や支給、または取引先への支払いや請求書発行などを行う流れとなります。月次決算では速報性が重視される傾向にあるので、必ずしも1円単位で正確な数字を出す必要はなく、概算で経営陣に伝えることが重要となります。

毎年の経理業務(年次)

法人税や消費税の確定申告、または株主総会での計算書類の作成や報告、さらには予算管理などの業務があります。経理の業務で最も重要といえるのが、決算の取りまとめです。これは組織の規模にかかわらず、年に一度は必ず行わなければならない業務です。年次決算が終わると、続いて税務の申告や会計監査の対応、または決算短信や有価証券報告書などの開示資料作成に移ります。

年間のスケジュールで見ると、期が始まる4月~6月頃に決算手続きを完了させ、税務申告や株主総会を行います。その後は7月・10月・1月と四半期決算を行い、1月~3月には償却資産税や法定調書の対応、予算の立案、実地棚卸や残高確認などが行われます。また、この時期に経営計画策定業務が行われるのが一般的です。

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仕入管理

小売業では、さまざまな商品を仕入れて在庫として保管し、必要に応じて販売するという流れをとります。そのため、仕入管理は日常業務の多くを占めることになります。仕入れの主な流れとしては、以下のようになります。

1.購入する商品や原材料の見積依頼
2.仕入れのための契約の締結
3.発注
4.入庫と検収
5.支払い

上記の流れで経理部門が特に深く関わるのは、最後の支払いです。支払いは主に、買掛金の処理という形で対応することになります。一般的には日次で仕入計上を行い、月次で買掛金の支払いを行うという流れになります。

販売管理

受注や出荷、売上の集計も、それぞれ経理部門の業務の一つです。販売業務で発生した受注や出荷、売上に関する情報は、経理部門によって会計システムに登録されるのが一般的な流れです。なお、これらを日次業務としている企業もありますが、毎月特定の日に締日を設けて月次業務としているところもあります。

販売管理で経理部門が特に深く関わるのは、販売代金の回収です。スーパーマーケットのように現金での販売が主流であれば、販売代金の回収は商品の販売時に完結しますが、販売代金を売掛金として処理している場合には、売掛金の回収が必要となります。

在庫管理

棚卸資産の購入や検収、売上に伴う出庫の確認や受入処理などを行い、社内の在庫を管理します。こちらも日次で行う企業もあれば月次とする企業もあり、ケースバイケースです。なお、期末には年次の業務として在庫の評価があります。期末の在庫の評価額を明確にすることで、その期の利益が確定されることになります。

他業種と比べて何が違う?

小売業は、簿記の教科書に出てくる「モノを仕入れて販売する」という流れが最も強くあらわれる業種です。なお、「小売」本来の意味は、生産者や棚卸業者から仕入れた商品を消費者に販売することを指します。

小売は業態で区分すると、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、百貨店などに分けられ、業種で区分すると青果店や精肉店、鮮魚店や菓子店などに分けられます。「モノを仕入れて販売する」という点では、いずれも小売業として大別され、大きな違いはありません。なお、小売業界では経理業務において、他の業界と比べていくつかの違いがあります。

小売業と他業種の経理業務の違い

小売業界の経理業務は、概ね他の業種と同様ですが、小売業界の事情に合わせて特殊な会計処理方法がとられています。それが「売価還元法」と呼ばれる会計処理方法です。

経理業務の一つに、期末の在庫の価額を確定させるという業務があります。これは、期末にある在庫の数量に単価をかけて、期末時点でいくらの棚卸高があるのかを算出するというものです。

小売業では、決算期ごとにその期でいくらの利益があったのかを確定させる必要があります。数式で表すと「売上高-原価=利益」となります。売上高は商品の販売時に自ずと明確になりますが、原価に関しては仕入れ時ではなく、期末にまとめて算出することになります。一般的に、期末時には「期首の繰越商品(前期の末に余った商品)」+「期中の仕入原価(その期に仕入れた全商品の原価)」-「期末の在庫商品(その期の末に余った商品)」から利益が算出されます。

通常であれば期首と期中の在庫(商品や原価)が確定しているので、期末の在庫が明確になれば利益も分かります。しかし、スーパーマーケットや百貨店のような小売業では、非常に多くの種類の商品を取り扱っているため、その一つひとつの原価を計算するとなると膨大な手間暇がかかります。

そこで用いられるのが、さまざまな商品を利益率などの類似性でグループ化し、原価を算出するという方法です。そうして算出された原価率を期末商品と掛け合わせることで、期末の在庫商品の評価額を決定します。これが、小売業界の経理で用いられる「売価還元法」です。

なお、小売業と他業種の経理業務の違いとしては他にも、毎日欠かさず売買が発生しているという点が挙げられます。他業種であれば売掛金や買掛金を月の特定の締日に処理する形態が一般的ですが、小売業に関しては販売店舗と消費者が毎日直接関わり、現金の授受がなされます。この点において、小売業は他業種と比べて経理業務が煩雑になりがちです。

経理部門は毎日の作業として、日々の売上を管理・計上する必要があります。また、仕入れも毎日のように行われることから、買掛金も頻繁に発生します。こうした煩雑さも、小売業における経理部門の特徴となっています。

まとめ

どの企業においても不可欠である経理部門。毎日の取引を正確に集計・記録することで、経営判断の重要な材料となります。さまざまな業界で不可欠な経理業務ですが、特に小売業界の場合は、ご紹介に挙げたような他業種との違いもあります。小売業界で経理業務を行うのであれば、その違いを押さえておくことが大切です。

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