小売業の歴史をIT導入による変化と振り返る

 2019.11.14  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

1900年代初め、三越呉服店が日本で初めてデパートメントストア(百貨店)という、小売業態を導入したことから、日本の小売業が急速に進化をしました。戦後になると、食料品や日用品を販売するスーパーマーケットが登場し、急成長を遂げました。百貨店よりも、身近な存在のスーパーマーケットができたことで、複数の分野の品物を、自分で選んで購入するセルフサービスが定着していきたのです。さらにスーパーマーケットに導入されたレジ精算システムを皮切りに、小売業での機械化・IT導入が進んでいきました。そして、現代では、インターネットの普及により、対面での商品販売を脅かす勢いで、ネットショッピングが急成長を遂げています。

今回は小売業界の歴史とITの関係を振り返りながら将来について考えてみたいと思います。

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流通・小売業のデジタル化を加速させる Intelligent Retail ソリューションガイド

小売業界近代化とIT導入の歴史

三越百貨店誕生「デパートメントストアー宣言」

1904年に三越呉服店が三越百貨店(現在は三越伊勢丹)に名称を変更して、デパートメントストアというアメリカ発祥の小売業態を導入しました。三越百貨店がデパートメントストアとして営業を開始する際に出したのが「デパートメントストアー宣言」です。

「デパートメントストアー宣言」とは、簡単に表すと「私たちのお店では、アメリカのデパートメントストアのように、商品の種類を大幅に増やし、最先端の品ぞろえでお客様に満足していただけるお店を目指します。」という内容の決意表明です。三越百貨店では、宣言通り、幅広い商品の陳列や、洋式の簿記の導入など経営改革を進め、現在の小売業につながる礎を築いたとも言えます。

三越百貨店に続き、高島屋、阪急百貨店、東急百貨店などの百貨店が続々とオープンし、百貨店全盛期が始まりました。当時の百貨店は、お買い物だけをする場所というわけではなく、上層階のレストランでの食事や屋上遊園地など、当時最先端のお出かけスポットでした。子供のいる家族連れはもちろん、デートスポットとしても人気が高かったようです。

しかし近年では、小売業やレジャースポットの多様化によって、廃業や統合といった選択をする百貨店も出てきており、全盛期のような賑わいは失われつつあります。

スーパーマーケット誕生から始まったレジ精算

戦後の日本で急成長を遂げた小売業態が「スーパーマーケット」です。高度経済成長に後押しされ、急速に全国に広がりをみせました。一般的には省略して「スーパー」と呼ばれ、人々に親しまれてきました。スーパーもまたデパートメントストアと同様で、アメリカの小売業態が基になっています。

日本で初めてスーパーと呼べる小売業態を導入したのが、「紀ノ国屋」です。青果店だった紀伊国屋が1953年に、店舗ではじめたセルフサービスが、スーパーの先駆けと言われています。その後1960年代に入ってから、現在でも多くの店舗を展開しているヨーカ堂、ダイエー、岡田屋(現在はジャスコ)がチェーン展開を開始します。

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Intelligent Retail におけるSmart Storeの施策

チェーン店方式を導入して、同じ商品を一度に大量に仕入れる方法を取り、仕入れ価格を抑えることに成功しました。仕入れ価格が下がったことで、単独の店舗運営をしている小売店舗に比べ、販売価格を抑えられるようになり、急速に成長を遂げました。

多くの買い物客が利用するようになったスーパーが、生産性アップのために導入したのがレジです。初めに登場したレジが「レジスター」です。レジスターは、単純に会計をするためだけの機能のレジです。

後に導入されることになるのが、部門別合計会計機能がある「POSレジシステム」です。POSレジは、販売する商品の金額を事前に登録し、専用の端末で商品に付いたバーコードを読み取ります。毎回手打ちで金額を入力する旧式のレジスターとは違い、入力ミスなどのヒューマンエラーによりお店に損失が出ることを防げます。

また、POSレジシステムの登場により、部門ごと、商品ごとに売り上げを管理することができるようになりました。販売履歴からマーケティング分析した情報を基に、取扱商品の入れ替えや入荷数を調整することで、無駄のない効果的な在庫管理をすることが可能となりました。POSレジシステムは、現在の小売業でも売上向上に大きく貢献しています。

多様化した消費者ニーズ

1990年代は、バブル時代の好景気から一転し、バブルが崩壊した影響で消費者の経済状況が一気に冷え込みました。バブル時代の「値段が高くても品質のいい物を買いたい」という考え方から「価格が安くて尚且つ品質のいい物を買いたい」という考えの消費者が多くなります。

そんな消費者のニーズに応えるべくして登場した小売業態が、アウトレットモールです。これは、アウトレットの商品をメインで取り扱っている小売店舗が複数店舗集合したショッピングモールです。通常の店舗では、なかなか手が届かないハイブランドのお店で、お得な価格でお買い物を楽しむことができます。

現在では、アウトレット商品以外にも、アウトレットモール限定の商品を販売するお店も出てきています。アウトレットモールは、お買い物だけではなく、美味しいグルメを楽しめるお店があるほか、音楽やトークイベントなどの催しも頻繁に開催されています。かつての百貨店に近い楽しみ方をされている商業施設です。

アウトレットモールは、1980年頃にアメリカの郊外で新しい小売業態として定着していきました。日本初のアウトレットモールは、1993年現在の埼玉県ふじみ野市に誕生した「アウトレットモール・リズム」です。消費者ニーズにマッチしたアウトレットモールは、日本で人気が高まり、国内の各地に続々とオープンしていきました。

また、1990年代に人気が出始めたのが、現代ではなくてはならない存在になった100円ショップです。1990年代後半から2000年代にかけて、急速に成長を遂げ、現在では、オリジナル商品や各企業とのコラボなどが話題になることも多々あります。日本のみならず、中国などへの海外進出も遂げています。

インターネット普及によるネットショップ時代

1990年代後半にWindows95が発売されたことにより、今まで企業での活躍がメインだったパソコンが一般家庭にも普及するようになっていきました。それを機に、各メーカーや大手小売店が、続々とネット通販を開始しました。1995年には、アメリカでYahoo!やAmazon.comが登場し、1996年には日本でヤフー株式会社が、1998年にはアマゾンジャパン株式会社がサービスを開始しました。

日本で初めてネットショップを展開したのが、1993年にネットで洋書販売を始めた広島の家電量販店だったデオデオ(現在のエディオングループ)です。その後、日本独自の出店型のECモール楽天市場が登場します。株式会社楽天も楽天市場がオープンした当時は、6名の社員で運営し、出店店舗も13店舗のみでした。現在では17,000人以上の社員を抱える大企業に成長しています。

出店型のECモールの登場により、実店舗を持たないネットショップが増加しました。株式会社野村総合研究所が実施した全国15歳~79歳の男女計1万人に対するアンケート(調査期間:2018年7~8月)によると、ネットショッピングの利用率は、58%となり2015年の49%に比べて10ポイント以上も上昇しています。ネットショップが消費者の買い物方法のメインになる日もそう遠くはないでしょう。

IT化が進む小売業界、成長の鍵は?

「自社EOS化」「POSシステム」など小売業を成長させるために大きな役割を果たしてきたのがIT化です。今までのIT化は、一部の企業が導入して、成功した実績がある生産性改善を目的としたシステムを導入する、「守りのIT化」が一般的でした。しかし、これからは最新の技術をどこよりも早く導入し、売上向上や利益増加を目指すための「攻めのIT経営」ができる企業が生き残れる時代になっているのです。

「攻めのIT経営」で、現在熱い注目を集めているのが「IoT」の活用です。一部の例としては、スマホやアプリで顧客とつながることです。ネットショップと同じように実店舗でも顧客の購入商品を把握できるようになり、顧客の好みに合わせた商品をおすすめするといったきめ細やかなサービスが可能になります。「攻めのIT経営」については、経済産業省も推奨しており、今後の小売業のトレンドになってくるでしょう。

まとめ

日本の小売業の歴史は、「デパートメントストア」「スーパーマーケット」など海外の小売業態をお手本とし、日本独自の業態へと進化させながら成長してきました。これからの小売業では、今までの守りのIT化ではなく、攻めの姿勢でのIT化を加速させた企業が生き残れる時代になってきています。

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