いま注目のIoT技術「ビーコン」を、小売業界が活用する方法とは?

 2020.07.01  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

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「ビーコン」という言葉を聞き慣れない人もいるかもしれません。近年、特に小売業界など店舗販売を前提とした業界で注目されている技術で、そのマーケティングを変化させる可能性もあります。本記事では、ビーコンに関する概要やGPSとの違いなどについてご紹介します。そのうえで、小売業界における活用や課題についても解説します。

いま注目のIoT技術「ビーコン」を、小売業界が活用する方法とは?

ビーコンとは?

ビーコンとは信号を発信して位置を特定する技術、またその技術を使った端末を指します。そんなビーコンですが、Bluetooth Low Energy(BLE)と呼ばれる無線技術が出てきたこと、そして信号を受信できるスマートフォンの普及してきたことによって一際注目を集めています。

BLEは、数センチか数メートルの距離にある端末の間だけで通信ができる技術で、従来のBluetoothに比べて1/3ほどの電力で動作します。この非常に短い通信距離により、ピンポイントで利用者の端末の現在地を特定できます。

ビーコンは設置された地点に利用者が接近すると信号を発信しますが、この信号は専用のアプリケーションがないと読み取ることができません。逆に言えば、ビーコンの設置者は専用アプリケーションをインストールした利用者のみを目標とした情報を発信することができるのです。 このようなビーコンは、IoT分野だけではなく、マーケティングなどにも活用されるようになってきています。

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GPSとの違い

位置を把握するための仕組みという点では「GPS」と何が違うのか疑問に思った人もいるでしょう。

ビーコンとGPSの違いは、簡単にいえば電波の発信源が異なることです。 ビーコンは、ビーコンそのものが発信した電波を用いて現在位置を特定しますが、GPSは人工衛星が発する電波を利用して位置情報を把握します。

ですがその仕組み上、GPSは建物の中や地下、高層ビル街など、人工衛星からの電波が遮断されたり乱されたりしてしまう場所では正しい位置情報を取得することができません。つまりGPSだけではカバーできない場所が発生してしまうのです。

一方ビーコンは、ビーコンそのものが機能していれば、建物内でも位置情報を把握できます。特長である短い通信距離も手伝って、屋内でも詳細な現在地の把握ができるのです。

規格のひとつである「iBeacon」

そのビーコンの中でも、Apple社が開発した「iBeacon」が注目を集めています。「iBeacon」はBLEを用いた情報配信システムで、iPhoneやiPadなどのiOS端末で利用することができます。

「iBeacon」は発信側のビーコン端末から「アドバタイズメント・パケット」という固有のID情報を発信し続けます。この情報の発信にBLEの技術が用いられていて、受信側の端末はビーコンから発せられたBLEの電波を監視することでビーコンを発見します。

その際、受信者の端末にビーコンからのID情報に対応するアプリなどがあれば、セール情報などのプッシュ通知を送る、クーポンを発行する、売り場ごとの商品情報を提供するなどのマーケティング手法が可能になります。

それだけではなく、来店回数や買い上げ率など、マーケティングにおける貴重なデータを得ることもできます。

ビーコン×データマーケティングの実現

ここからは、ビーコンを活用したデータマーケティングの具体的な手法について解説します。

スマホアプリへのプッシュ通知

顧客の端末の位置情報に応じて、プッシュ通知を送り、購買につなげることが可能になります。 たとえば店舗に入った顧客のみを識別してスマホにクーポンなどを配布したり、お得な情報を通知したりします。 こうした情報をタイムリーかつピンポイントに配信することで、顧客のニーズに寄り添った提案が可能になります。

ソーシャルチラシ

「ソーシャルチラシ」はSNSとリアルでの行動データを紐づけた、SNS上の広告です。実際の行動データに照らし合わせてSNS上で最適な広告を配信できるだけではなく、新規顧客か既存顧客かで広告の出し分けもできます。 これはいわゆる「One to Oneマーケティング」と呼ばれる消費者一人ひとりに則したマーケティングであり、大衆を対象とした「マスマーケティング」に比べ、それぞれのユーザーに対してより効果的な訴求が可能です。

スマホと連動するデジタルサイネージ

従来であれば、店舗のサイネージは汎用の映像などのコンテンツを流していましたが、ビーコンの活用により、デジタルサイネージの前を通る顧客に応じた広告やプッシュ通知の送信が可能です。 顧客の属性や趣向に応じて、最適なタイミングでマーケティングメッセージを発信できるのです。

ビーコンの課題

このように、ビーコンをデータマーケティングに活かすメリットは大きいですが、現実には課題もあります。ビーコン導入後、発生しうる課題について詳しく解説します。

顧客がBluetoothをオンにしていない

店舗側がビーコンを利用する前提として、発信側端末だけでなく、顧客のスマホのBluetoothがオンになっていることが条件になります。しかし、スマホのBluetoothを日常的にオンにしている顧客の割合は低く、店舗によるビーコンの活用が広がるにはこのハードルを乗り越える必要があります。 一方、Wi-Fiであれば消費者も日常的に使用するため、Wi-Fiへの対応を進める動きもあります。

ビーコンが想定通りに機能しない

顧客側がBluetoothをオンにしていても課題はあります。ビーコンが想定通りに機能しない場合がある可能性です。 ビーコンを送受信する機器にはさまざまな種類があり、メーカーによって仕様が異なることがあります。 これが、各ビーコンが機能する条件や環境が異なることが広く利用する上でのハードルとなっています。

小売業界におけるビーコン技術への期待

ビーコンを店舗でのマーケティングに活用するメリットや、一方の課題についてここまで触れてきましたが、最後に小売業界におけるビーコン活用への期待について解説します。

顧客の購買体験の革新

ビーコンをマーケティングに活用することで、顧客の購買体験を革新できる可能性があります。 店内の細かい単位で位置情報が把握できることで、商品などのプロモーションのタイミングや場所が最適化され、顧客としても快適なショッピングが可能になります。 デジタル化やスマホ普及が進み、毎日のように大量のマーケティングメッセージを受け取る消費者にとって、広告が最適化されるメリットは大きいでしょう。

消費者のパーソナライズの流れとビーコン技術のマッチ

情報に溢れ、技術が画一化されやすくなっている現代において重視されるマーケティングは、「マスマーケティング」から「One to Oneマーケティング」に移りつつあります。簡単にいえば、消費者にパーソナライズされた提案が求められているということです。 この流れに対し、ビーコンの技術を利用したマーケティングはマッチしており、今後の更なる活用が期待されています。

購入傾向データの蓄積

ビーコンでは、細かい位置情報も紐づいたデータ収集が可能になります。これによって、より精度の高い顧客の購入傾向などに関するデータを蓄積させることができます。 従来であれば、「購入」というデータは取得できましたが、「購入までの動線」などはデータとして採ることができませんでした。 Webなどのデジタルな空間では、どのようなサイトや記事を閲覧したうえでその商品の購入に至ったかなどの履歴を確認できるケースが多いですが、ビーコンを活用することでリアルな場でも購入までの動線を分析しやすくなるのです。

まとめ

ビーコンは、小売業界のマーケティングを変革するポテンシャルを秘めています。消費者へのBluetoothの普及やBluetooth以外での対応などの課題はありますが、端末の位置情報を活用した最適なプロモーションは、売上向上につながります。One to Oneマーケティングの流れにも即しており、今後の動向が期待されます。
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