小売事業者なら知っておきたい電子タグとは?その役割とメリット

 2019.11.29  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

多くの小売店で導入され始めている電子タグにはさまざまなメリットがあるため、小売業に携わる方ならぜひとも知っておきたいところです。従来のバーコードとは何が違い、導入にあたってどのようなメリットや問題点があるのでしょうか。

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電子タグとは

無線タグやRFタグと呼ばれることもある電子タグ。商品の識別に使われるツールであり、無線電波を用いてICチップの中にある情報を読み書きします。これまでは難しかったハイレベルな管理、業務の効率化が可能になるとして注目を集めています。

電子タグの特徴

無線を用いて情報の読み書きを行えることが大きな特徴です。離れていても非接触のまま読み取りができ、あいだに遮蔽物があったとしても同じです。識別番号をそれぞれに割り当てるため二度読みするようなこともなく、人的なミスを回避できるのも大きな特徴といえるでしょう。

また、多彩な形状に加工して使えるのも特徴です。タグを取り付けたい商品の形状はさまざまなので、タグの形が決まっていると取り付けができない、商品の見た目を損なわせるということも起こりえます。しかし、電子タグであればボタン型やラベル型、カード型など取り付ける物によって形状を変化させることが可能なため、そのようなことがありません。

使用する環境下に合わせた加工を行えるのも電子タグならではの特徴といえるでしょう。一定の湿度や温度に耐えられるタグや、衝撃に強いタグ、長期間使用可能なタグにすることもできるので、あらゆる環境下での使用に対応可能です。

電子タグのチップにはメモリが搭載されており、ここに取り付けた商品のさまざまな情報を格納できます。メモリのバリエーションも豊富で、大容量に対応したものから書き換えが可能なもの、データを保護した上で高度なセキュリティを施すことも可能です。

電子タグの種類

大きく分けると、電磁誘導タイプと電波方式に分類されます。どちらのタイプも、タグとリーダーを非接触のまま情報をやり取りできることには違いありません。電磁誘導タイプは、通信距離こそ短いもののエネルギー効率がよいという特徴があります。電波方式は、指向性が低いですが通信距離が長いという特徴があります。

バーコードとの違い

現在でもさまざまなところで目にするバーコードは、黒い線とスペースとを組み合わせ、情報を読み取るためのものです。ドラッグストアやスーパー、コンビニなどさまざまな場所で売られている商品のパッケージには、必ずといってよいほど表示されています。

情報を読み取るには、バーコードスキャナと呼ばれる専用のツールを使用します。スキャナは光学認識装置の一種で、直接バーコードに触れるか、もしくはかなり接近した状態でないと情報を読み取ることができません。

電子タグの場合は、非接触で読み取れるのが大きな特徴であり、ここがバーコードとはもっとも異なる部分です。バッテリーを内蔵していないパッシブタイプだと、リーダライタと呼ばれる専用ツールから発信された電波を用いて通信が行われ、メモリの情報が反射します。それをリーダライタが読み取り、上位システムのパソコンなどにデータを蓄積することも可能です。

バッテリーを搭載したアクティブタイプだと、タグが発信する電波をリーダライタが受信すればそれだけで情報を読み取れます。

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RFID(電子タグ)導入のメリット

小売業に携わるお店が導入することで、さまざまなメリットを得ることが可能です。タグに接触しなくてもいい、一度にたくさんのタグを読み取れるなどが代表的なメリットでしょう。

RFIDの種類と特徴

先述したとおり、電子タグに用いられるRFID技術には電磁誘導タイプと電波方式があります。特徴としては、離れていてもスピーディに情報の読み取りができる、いろいろな形に加工できる、用途に合わせて情報を書き込みできるといったことが挙げられます。それを踏まえた上で、小売業界が導入するメリットについて見ていきましょう。

小売業界がRFIDを導入するメリット

従来のバーコードシステムだと、数センチほどの通信距離にしか対応していないため、かなり近くまで接近させて情報を読み取る必要がありました。

そのため、広い倉庫にたくさんの商品がある場合などでは、スタッフはそれぞれの商品の近くまで行かなくてはなりません。しかし、電子タグだと数十メートルほど離れていても通信でき、場合によっては、一箇所からほとんど動くことなく読み取ることも可能になります。いくつものタグを一度に読み取れるのも大きなメリットです。

バーコードだと、一つ一つスキャンする必要があり、どうしても手間と時間がかかります。例えるなら、バーコードが一本釣りだとすれば電子タグは投網での漁です。一度にいくつもの情報を読み取れるので、作業効率は著しく向上するでしょう。

また、電子タグの場合はあいだに遮蔽物があっても問題なく通信できます。そのため、大きな箱にいくつもの商品が入っているようなケースでも、わざわざ箱から取り出すことなく情報を読み取ることができます。商品を一つずつ箱から出す手間を省け、短時間で読み取れるのは大きなメリットといえます。

過酷な環境下での使用が可能なのもメリットです。バーコードだと、少し汚れているだけで読み取りできないことがあります。電子タグの場合は内部にメモリが存在し、リーダライタはそのメモリと交信しています。そのため、タグの表面が汚れていたとしても問題ありません。

小売店が導入すれば、従来に比べて作業効率を大幅にアップさせることに期待できます。作業効率が向上すれば、少ないスタッフで作業が可能になり、残業の削減などにもつながるため、トータルでのコスト削減も可能になります。これまで時間を割いていた作業が減ることで接客などほかのサービスに力を入れ、顧客満足度の向上や他店との差別化を図ることもできるでしょう。

さらに、防犯ゲートを用いることで、小売業界の大きな問題の一つである万引き防止にも役立ちます。消費期限を管理する機能を用いることで食品ロスをなくすことや、在庫量の一括管理により生産量や流通量の柔軟な調整も可能となります。

RFID導入前の問題点

たくさんのメリットがあるRFIDですが、デメリットがあるのも事実です。メリットばかりではなく、デメリットについてもきちんと理解しておきましょう。

大きなデメリットとしては、導入費用の高さが挙げられます。システムを運用するにあたり、パソコンはもちろん、リーダライタ、RFタグなどが必要となります。特にRFタグは高価なので、バーコードと同じように考えていると購入する数によっては相当な出費になることも考えられるので、これは大きなデメリットです。

なお、多くのRFタグは1枚10円以上の単価で扱われています。「それくらいなら安いものでは?」と思った方もいるかもしれませんが、扱う商品によっては経営の負担になることが十分考えられます。衣料品などで単価の高い商品ばかりを扱っているのなら大した負担ではないかもしれませんが、食料品や雑貨のように安価な品を扱っている場合だとコストに見合わないかもしれません。

また、一度にいくつもの情報を読み取れるメリットがある一方で、読み取りできなかったタグを特定するのが困難というデメリットがあります。通信範囲なら複数のタグを読み取れるのですが、万が一読み取れなかった場合、それに気づかない可能性もあります。

その結果、商品の仕入れた数と在庫の数が合わない、といったことにもなりかねません。こうした事態を回避するには、棚卸や検品に関する独自のルールを設ける必要があります。

また、金属に干渉されて通信に影響を与えたり、タグ同士が重なることで認識スピードが低下したりすることもあります。金属に覆われた商品などにタグが取り付けられている場合、アルミで電波が反射されてしまう恐れがあるのです。

このように、たくさんのメリットがある一方でデメリットも存在します。導入にあたってはどちらも理解した上で、自社でどのような影響があるのか、初期コストと削減可能なコストを比べてどうなのか、といった点をよく検討するようにしてください。

電子タグ導入事例

すでに電子タグはさまざまなところで活用されています。例えば大手のコンビニチェーン各社は、経済産業省と共同で「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定し、2025年までにすべての取扱商品(年間推定1000億個)にRFタグを取り付け、管理を行うとしています。

参照元:https://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170418005/20170418005.html

アパレル業界でも電子タグは積極的に導入が始まっています。在庫管理の作業効率化や、商品開発スピードのアップ、売れ筋商品の把握などに役立てられているのです。衣料品は商品の単価も高いため、電子タグの導入がしやすいという優位性があるでしょう。ユニクロやGUを展開しているファーストリテイリングも、すでに電子タグの導入をしています。

アパレル業界だと、特に在庫管理で大きく役立っています。従来における棚卸では、スタッフが個別に調査を行う必要がありました。そのため、スタッフの数を確保しなくてはならないのはもちろん、作業にも相当な時間を要していたのです。

しかし、電子タグを導入することでこうした状況が一変しました。高い棚の上にある商品や、箱の中に入ったままの商品も読み取ることができるため、少ない人数でも短時間で作業を終わらせることができるのです。

そのほかでは、以前中国で無人のコンビニが誕生したと話題になりました。このコンビニ無人化に貢献したのが電子タグといわれています。欲しい商品を無人レジまで持っていくと、RFタグの情報がスキャンされて表示されるのです。支払いが終わると、ロックのかかっていた扉が開いて外に出られるという仕組みです。

また、製造小売業だと、生産から販売にいたるまで一貫した管理ができるメリットがあります。一つ一つの商品を追跡できるため、優れたトレーサビリティも実現できます。製造小売業でもRFタグの導入を本格的に検討する企業が増えるでしょう。

小売業のみならず、今後はさまざまな場所でRFタグで管理するのが当たり前、という時代がやってくるのかもしれません。

まとめ

電子タグは、作業効率をアップできコストの削減も可能になるというメリットから、小売業界のみならず、あらゆる企業や業界での活用が期待されています。ただし現状では、メリットばかりではなくデメリットもあります。どちらもきちんと理解した上で導入を検討しましょう。

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