小売業が注目すべきSCMのその先、自律型サプライチェーンとは?

 2020.07.15  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

組織や企業の垣根を超え、サプライチェーン全体での最適化を目的とした管理手法「SCM(サプライチェーン・マネジメント)」が定着してきました。SCMはさらに進化を遂げ、SCMを自動化した「自律型サプライチェーン」が誕生しています。この記事では、SCMのメリットや自立型サプライチェーンに期待されていることなどを詳しく解説していきます。

小売業が注目すべきSCMのその先、自律型サプライチェーンとは?

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サプライチェーンとは?

日常生活で消費している食料品・衣類・家電製品・書籍などのあらゆる製品は、原材料の調達・製造・在庫管理・配送・販売という共通の流れを経て、わたしたちの手元に届きます。

サプライチェーンとは、Supply(=供給)のChain(=連鎖)という言葉の通り、ある製品が消費者に供給されるまでの一連の流れです。

また、サプライチェーンの各プロセスをひとつの組織・企業だけで担うことはなく、プロセスごとに運用する企業や組織が異なります。

情報は消費者のいる市場から流れてくる

企業が商品・サービス品質を向上したり、マーケティング戦略を練ったりする際には、消費者からの情報が欠かせません。 このような情報は、サプライチェーンの流れとは逆方向、すなわち、販売の工程からさかのぼって製品の生産者へと流れていきます。 お金の流れもまた、消費者から販売者に渡り生産者へと流れていきます。 サプライチェーンを理解するとき、製品はサプライチェーンの上流から下流へと流れ、情報やお金はサプライチェーンとは逆方向に流れる点に留意することが重要です。

小売業のサプライチェーンが抱えがちな課題

小売業から見たサプライチェーンには、次のような課題が慢性的に生じます。

仕入れたものの、販売に結びついていない商品が在庫として積み上がる「過剰在庫の発生」は、大きな課題のひとつです。一方、消費者の求めている商品が、必要なときに在庫として存在しない場合、欠品が起きます。過剰在庫が発生すると値引きをして在庫を減らすことが多くなり、値引きの分だけ利益を損なってしまいます。 過剰在庫や欠品が発生してしまうのは、消費者のニーズが見えていないために、適切な品ぞろえが分からないことが原因です。

また、プロセス間での取引方法もサプライチェーンの問題を誘引しています。

販売プロセスは、製品を供給する製造・配送のプロセスに納期の遵守を求めがちです。製造・配送のプロセスは、欠品を避けるためにバッファを取って、在庫を持ちます。 売り手市場の時代では、在庫にバッファを持たせる意味がありましたが、現代は消費者のニーズが多様化しており、バッファ分の在庫がそのまま死蔵在庫となるリスクがあります。

SCM(サプライチェーン・マネジメント)で課題を解決

このようなサプライチェーンの課題を解決するため、サプライチェーン全体を管理するという考え方が生まれました。そのサプライチェーンの管理手法が「SCM(サプライチェーン・マネジメント)」です。

SCMは組織を超えた全体最適化を実現する

サプライチェーンの慢性的な課題を解決するための手段として、「SCM(サプライチェーン・マネジメント)」という管理手法があります。

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原材料の調達・製造・在庫管理・配送・販売というサプライチェーン上の各プロセスは、別の組織や企業であるため、プロセスごとに管理・最適化されていました。

SCMは、組織や企業を超えてサプライチェーン全体を管理して最適化するという管理手法です。 SCMを活用することなく、プロセスごとに生産量や在庫を管理する場合、過剰在庫の発生や、需要が急増しても対応しきれないなどの機会損失がしばしば起きます。

SCMにより、製造から販売までの一連の流れで管理・把握することで、生産量や在庫量を総合的に判断できるようになるのです。

具体的には、発注の全体数を小さくすると調達コストが上がりますが、製造・配送コストがそれ以上に削減されるため、発注数を絞るという判断や、製造リードタイムを短縮すると生産コストが増加するかわりに収益化を急ぐことができる、という判断が可能です。

SCMのメリット

SCMの活用には様々なメリットがあります。そのひとつは、リードタイムが削減することです。 リードタイムは特定のプロセスの開始から終了までの時間を指します。製造の開始から終了までを「製造リードタイム」、販売の開始から終了までを「販売リードタイム」と言うなど、それぞれのプロセスがリードタイムを持ちます。

SCMにより、サプライチェーン全体が最適化することにより、各プロセスが効率化し、リードタイムを圧縮できます。また、リードタイムが圧縮すると各プロセスで迅速に意思決定ができるようになるため、消費者のニーズに、素早く反応した在庫管理ができます。 SCMにより常に適切な意思決定ができるようになり、収益化の機会損失がなくなるため、売り上げが最大化することは言うまでもありません。

加えて、無駄な在庫を減らせることもSCMの大きなメリットのひとつです。SCMでサプライチェーン全体を捉えられるようになれば、無駄を省ける工程がないかを容易に検討できるようになります。無駄な在庫が減ると、コストが削減されるのはもちろん、倉庫自体をなくすという判断も可能かもしれません。

AIを活用した自律型サプライチェーンとは?

IT技術の発展により、SCM(サプライチェーン・マネジメント)までもが自動化する動きが高まっています。

人工知能(AI)を利用してサプライチェーンの管理を自動化するのが「自律型サプライチェーン」です。「自律型サプライチェーン」は、どのような状況下にあっても、自動的にサプライチェーンの全体を最適化します。

例えば、天災でトラックが遅れて原料が工場に届かないといったトラブルは、どれだけ綿密に計画を練っていたとしても、避けられるものではありません。 これまでは、過去の経験や場当たり的な判断でトラブルに対処するしかありませんでしたが、「自律型サプライチェーン」は、問題発生の状況・実際に講じた対応・結果をAIに機械学習させることで、最も適した解決策を提案します。

また、自社にとって重要なクライアントから「1週間後に製品Xを大量納品してほしい」と要求された場合、AIが過去の納品事例を分析して、複数の解決策を提示します。

A案「他拠点の在庫を回収して納品する(利益300万円)」、B案「他製品の製造ラインを止めて製品Xの生産に充てる(利益200万円)」というように、「自律型サプライチェーン」のAIが各解決案による利益額などの指標も提示します。

AIの提案に基づいて対策したら、どの案を採用したのか、またその結果はどうだったのかをAIが機械学習し、AIの精度をさらに高めていきます。

より速い、変化対応力が求められる

スマートフォンひとつで製品に関するあらゆる情報を取得できる昨今、消費者のニーズが多様化し、少量生産・多品目生産が求められるようになりました。多品目生産においても、供給までの時間を圧縮しなくては、消費者のニーズに応えられません。

また、原材料の調達・製造・消費がグローバルに越境し物流網が拡大しており、サプライチェーンが複雑化しています。このような背景から特に重視されているのが、消費者のニーズや需要供給の変化を即座に察知して迅速に調整するための変化対応能力です。 製品の供給量を決めるときに、市場動向や天候などの動きを分析してから計画していたのでは遅く、機会損失してしまいます。また需要予測の変化に応じて、供給計画を調整することも必要です。

「自律型サプライチェーン」のように、世の中の動きに関する情報から逆算して自動的に供給量を決定する仕組みは、ますます求められています。

あらゆるデータをリアルタイムで可視化

従来、需要の予測は販売担当者の販売予測や、需要予測担当者の直感などに頼って行われてきました。この方法では、販売担当者による「この程度の需要があってほしい」という希望が需要予測に反映されてしまい、正確な数値とは言えませんでした。

「自律型サプライチェーン」の需要予測では、天候・時事ニュース・海外動向・ソーシャルメディア・交通状況など、社内外のあらゆる環境変数を分析して、データをもとにした正確な需要予測ができます。

自動的に需要予測をするための重要なデータのひとつが、サプライチェーンで販売から製造への逆の流れで収集される、消費者からの情報です。

「自律型サプライチェーン」では、すべての決定をデータに基づいて行うため、調達・製造・在庫管理・配送・販売の各プロセスで今何が起こっているのかを可視化できます。

例えば、販売のプロセスを担う小売業が上流の製造現場の動きをリアルタイムで把握できることで、販売に関する意思決定を速く・正確に行えるようになります。仮に、何か突発的な事件や事故により、需要と供給が急に変化することがあったとしても、リアルタイムで供給量を調整します。

まとめ

管理手法「SCM(サプライチェーン・マネジメント)」を自動化した「自律型サプライチェーン」が登場した背景には、消費者ニーズの変化があります。サプライチェーン上の各組織・企業には、個人最適化した製品をより速く正確に消費者に届けることが求められるようになりました。すでにSCMを導入している企業においても、さらにその自動化を考える時期が来ているようです。

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