小売事業者が知っておきたい無人レジとセルフレジ

 2019.11.11  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

小売事業者が業務効率を上げる良い方法の一つは、無人レジまたはセルフレジを導入することです。人件費の削減にもつながる効果的な方法なので、無人レジとセルフレジの仕組みや機能、メリット・デメリットについての知識を身につけておきましょう。

self-checkout

無人レジとは

そもそも無人レジとは、その名の通り店舗スタッフのレジ操作を必要としないレジのことです。無人レジでは、商品についているバーコードの読み取りや会計、袋詰めといった通常はレジ担当のスタッフが行う作業を、顧客が自分で行います。

無人レジの仕組み

無人レジの多くは、ICタグが利用されています。無人レジが導入されている店舗では、販売する商品にはすべてICタグがつけられていて、買い物客は通常通り欲しい商品をカゴに入れていきます。会計時に専用の機械の中にカゴを入れると、機械がそのICタグを一括で読み取るという仕組みです。

ICタグリーダーが搭載された専用の機械とレジは紐づけられていて、読み取りが完了するとレジにはすぐに合計金額が表示されます。買い物客はその金額や合計点数などを確認後、自分で会計手続きをしてレジを後にします。

無人レジの特徴や機能

ICタグを利用した無人レジでは、商品を一つ一つ手にしてバーコードを探し、バーコードリーダーに合わせて読み取る必要はありません。商品をカゴから出さずに会計が終わるため、カゴに移し替えるなどといった無駄な作業を省けます。

購入する商品の量が多い人も少ない人も、読み取りにかかる時間はほとんど変わりません。 無人レジでの決済方法は、企業ごとに異なります。通常のレジと同じように現金やクレジットカードなど複数の決済方法から選べるところもあれば、キャッシュレス決済のみに対応しているところもあります。

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セルフレジとは

多くの人にとって、無人レジよりもなじみが深いのがセルフレジです。大型のスーパーマーケットなどを中心に広く導入されているので、すでに利用した経験がある人も多いでしょう。

セルフレジの仕組みや特徴

セルフレジでは、バーコードのスキャンや会計、袋詰めといった一連の作業を買い物客が自分で行います。購入する商品を一つずつバーコードスキャナーにかざして読み取り、支払いの手続きもセルフで行いますが、商品の読み取りがうまくいかない、支払い方法を変更したいなど困ったことが起きた時には、店舗スタッフがすぐに対応してくれます。

セルフレジにはセキュリティ対策のために重量センサーがついていて、読み取りされていない商品があれば自動的に感知します。購入前と購入後の総重量を比較して、不正や取りこぼしがないかどうか確認できる安心のシステムです。 セルフレジでの会計も多くの支払い方法に対応しつつあり、さまざまなキャッシュレス決済も徐々に選べるようになっています。

セミセルフレジの仕組みや特徴

セルフレジと呼ばれるものの中には、セミセルフレジもあります。セミセルフレジとは、店側で商品をスキャンしていきますが、支払いはレジとは別に置かれた自動精算機で買い物客が行うものです。

セミセルフレジなら、レジ操作に不慣れな買い物客によって起こりうる、さまざまなトラブルを回避できるでしょう。バーコードの場所が分からない、読み取りがうまくいかないなどの理由で、わざわざ店舗スタッフが呼び出されることはありません。セルフレジと比べると人員削減効果は減りますが、それでも精算業務の負担がなくなることはメリットと言えます。レジの回転が速くなり、レジ待ちの混雑を緩和できれば、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

買い物客にとっても、セルフレジと比べるとハードルが低く、買い物がしやすいという利点もあります。購入する商品をすべて自分でスキャンするのはおっくうですし、スキャンのし忘れなどでトラブルになった際には次に利用しにくくなることもあるでしょう。

支払いだけならそのような心理的負担は軽くなります。自動精算機による支払いは、食堂の食券販売機や駅の自動切符売り場で食券や切符を購入する流れとほとんど変わりません。支払い方法は通常のレジと比べると限定されることが多いものの、キャッシュレス決済などにも対応しつつあります。

無人レジのメリットとデメリット

レジ業務の新形態とも言える無人レジには、利点もあれば欠点もあります。良いところと課題となりうる点の両方を把握して、導入するかどうかや、いつ導入するかなどについてじっくりと検討してみることが大切です。

小売業者が無人レジを導入するメリット

無人レジを導入するメリットの一つは、レジ待ちの時間を解消できることです。買い物はしたいけれど、長いレジの列に並ぶのはうんざりすると感じている人は多くいます。買いたいものが少しだけなのにレジ待ちの列が長いと、買うのを断念することさえあるでしょう。無人レジの導入により混雑を緩和できれば、こうした顧客がより買い物をしやすくなります。ちょっとしたものを購入しに来た買い物客でも、それを何十人何百人と取りこぼしていれば大きな売り上げ減が生じます。

二つ目のメリットは、人材不足の解消につながることです。深刻な人材不足が叫ばれる中、多くの業界で十分なスタッフを確保することが難しくなっています。無人レジを導入すればレジ業務に割く人員の数は減るため、その分、ほかの業務に人手を回すことができます。もちろん、使い方が分からない買い物客に操作を教えるスタッフも必要ですが、通常のレジと比較するとその数はずっと少なくなるでしょう。導入直後は店舗スタッフが常駐しなければならないとしても、導入してしばらく経てば操作に慣れた買い物客も増えてくるので、必要なスタッフの数を減らすことも可能です。店舗スタッフによるレジ業務の負担が減ることで、人件費の大幅な削減も期待できます。

三つ目のメリットは、ICタグの利用により在庫管理も行えることです。ICタグには、品番や販売価格、カラー、サイズ、生産場所などさまざまな情報を記憶させることができます。どの商品がどれだけ在庫を抱えているかも電子データとして把握できるため、無駄な在庫をたくさん抱え込んでしまうといった事態を回避するのにも役立つでしょう。この情報を活用すれば、棚卸し作業にかかる手間を省くこともできます。

小売業者が無人レジを導入するデメリット

良いところばかりに思える無人レジにも、デメリットと言える要素はあります。

まず挙げられるのは、セキュリティ面において十分な対策が求められるということです。無人レジはレジ作業のすべてを買い物客に任せてしまうシステムのため、支払いに漏れや不正がないように対策を講じる必要があるのです。例えば、無人レジのある場所に監視カメラを設置する、無人レジに指紋認証機能を搭載して個人を特定できるようにするなどの方法があります。決済方法を指定して、その決済を利用する際に登録された個人情報から個人を特定するという方法も取れるでしょう。ただし、こうした方法には監視カメラや指紋認証機能を導入する費用がかかる、指定された決済を利用していない買い物客が買い物しにくくなるなどの二次的な問題を引き起こすというデメリットもあります。

二つ目のデメリットは、機械に慣れていない買い物客が操作を苦手に感じる可能性があるという点です。無人レジの操作は比較的簡単なものですが、慣れていない人や初めて操作する人にとっては難しく感じることもあるでしょう。周囲の買い物客がスピーディーに操作しているのを見て、プレッシャーや焦りを感じるケースもあります。

無人レジ導入事例

無人レジをいち早く導入して活用している企業は少しずつですが増えてきています。実際のところ、どのように活用しているのか、その事例について見てみましょう。

セブンイレブン

コンビニ大手のセブンイレブンは、2018年12月、東京都内に無人レジの店舗をオープンさせました。この店舗には顔認証システムが導入されていて、セキュリティ対策も十分に考えられています。NECの社員だけが利用できる店舗のため、支払いは給料から天引きするシステムで、その場で支払う必要はありません。

現在では、都内を中心にこのような「省人化テスト店舗」を増やしており、2019年7月にリニューアルオープンした町田市の直営店「セブン-イレブン町田玉川学園5丁目店」でも、状況に応じてセミセルフレジに切り替えられるセルフレジを設置。このレジの導入で、最大で540分の時間削減を目標としています。人手不足が深刻なコンビニ業界で期待される、国内の先進的な事例です。

Amazon Go

海外では、無人レジのシステムを導入した事例は国内よりも多く見つけることができます。その代表格とも言えるのが、アメリカのAmazon Goでしょう。Amazon GoとはAmazon.comが開発した無人店舗で、2018年1月にシアトルで1号店がオープンしました。広さは日本のコンビニと同じくらいで、陳列棚にはICセンサーがつけられた商品が並んでいます。買い物客は入店する際に専用のアプリを起動させ、QRコードをスキャンして認証を済ませます。店内には複数のカメラやマイク、赤外線センサーつきの機械などが設置されていて、人の動きを読み取ることで約1時間後に精算を完了させるという驚くべき仕組みです。お店を出るだけで支払い手続きは終わっていて、バーコードの読み取りもレジでの精算も必要ありません。非常に回転率がよくスムーズに買い物ができるとして、世界中から注目を集めています。ちなみにMicrosoft のリテールソリューションでは、このようなシステムを構築することが可能になっています。

無人サラダレストランEatsa

同じくアメリカの事例をもう一つだけ取り上げましょう。2016年からサンフランシスコで運営されている、おしゃれなサラダレストランのEatsaです。このレストランでは、自分のモバイル端末または店内に設置されたオーダー用タブレットから注文すれば、受け取り用のロッカーに注文したサラダが準備されます。タブレットからの注文の場合、支払いはクレジットカードとなり、支払いと同時に個人認証もできる仕組みです。このレストランはカスタマイズやトッピングの種類が豊富なので、自分でオーダーするほうがストレスを感じにくくなるうえ、口頭注文によるミスをなくせるという利点があります。

まとめ

無人レジとセルフレジにはどちらにもメリットとデメリットがあり、異なる特徴や機能があります。まずは自社の小売業態を見つめ直し、無人レジとセルフレジのどちらが適しているかをじっくり考えてみることが大切です。先進的なレジシステムの導入により、時代を先取りしながら顧客のニーズをうまく満たすことができるでしょう。

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