経済産業省が考えるスマートファクトリーロードマップを紹介!

 2021.11.30  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

世界中でものづくりや製造業DXが重要視され、それに向けた取り組みが進んでいる中、日本では2017年に経済産業省が「ものづくりスマート化ロードマップ調査」の報告書を発表しました。本記事では、製造業のスマート化に欠かせない「スマートファクトリー」の概要や求められている背景、7つのロードマップについて紹介します。

経済産業省が考えるスマートファクトリーロードマップを紹介!

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スマートファクトリーとは

「スマートファクトリー(Smart Factory)」とは一般的に、コンピューターと工場のさまざまな機械とを接続し、データを活用することで、コストダウンを図りつつ生産性や品質の向上を目指す工場のことです。この工場を構築するためには、ビッグデータの解析やIoTの導入が必須となっています。

なぜスマートファクトリーが求められているのか

そもそもスマートファクトリーという言葉は、ドイツの最先端技術を駆使した国家プロジェクト「インダストリー4.0」から誕生したと言われています。

東西ドイツは1989年に統一されて以降、共産体制の不振から経済が停滞し、それから約20年経っても製造業の生産性が上がらないことが問題となっていました。そこで2011年、有名な自動車メーカーや電気機器メーカーをはじめとした製造業をIT化させることで、国家の存続を守ろうとする動きが生まれました。それが、スマートファクトリーのコンセプトにつながっているわけです。

では、なぜ日本でスマートファクトリーが求められているのでしょうか。それには、世界中でものづくりにおけるDX・IT化が急速に進んでいく中、もともとあったルールが変わってきているという背景があります。日本は少子高齢化が加速し、ものづくりに必要な技術継承が段々困難になりつつあるうえ、労働人口不足などの問題も顕在化しており、製造業の現場改革が急務とされているのです。

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スマートファクトリー化に向けた7つのロードマップ

経済産業省は2017年5月、ものづくりのスマート化における指針を示した「ものづくりスマート化ロードマップ」を公表しました。本ロードマップの作成にあたっては、スマートファクトリー化の主目的となるフレームワークが7つ検討され、そこからさらにいくつかの小目的が抽出されています。以下では、経済産業省が考える7つのロードマップについて見ていきましょう。

1. 品質の向上

1つ目の「品質の向上」では、以下の目的が掲げられています。

  • 不良率の低減
  • 品質の安定化・ばらつきの低減
  • 設計品質の向上

例えば、従業員の作業内容の情報を収集するとともに、過去の人為ミスがどういう状態で起きたかを分析することで、人材育成や設計変更におけるミスを減らし、不良率を抑えられるようになります。

また、製品の品質データを収集し、品質のばらつきの要因を分析すれば、最適な加工条件や設定が可視化され、品質の安定化につながります。さらに、分析した従業員の作業内容の情報を基に作業改善モデルを構築できれば、作業のばらつきも抑えられるでしょう。

2. コストの削減

2つ目の「コストの削減」では、以下の目的が掲げられています。

  • 材料の使用量の削減
  • 生産のためのリソーセスの削減
  • 在庫の削減
  • 設備の管理・状況把握の省力化

例えば「材料の使用量の削減」を目的とするなら、データベース化した過去の設計事例から構造などを解析することで、軽量化や部品点数の削減を知見としてモデル化し、設計の最適化が可能となります。

ほかにも、生産管理システムのデータを用いた在庫管理の適正化や、設備のモニタリングにより稼働状況を遠隔で確認することで、設備の管理や状況把握の省力化が見込めるでしょう。

3. 生産性の向上

3つ目の「生産性の向上」では、以下の目的が掲げられています。

  • 設備・ヒトの稼働率の向上
  • ヒトの作業の効率化、作業の削減・負担軽減
  • 設備の故障に伴う稼動停止の削減

生産管理システムのデータの活用により、全体の生産ラインの進捗状況が可視化されます。これにより、各プロセスの完了時間を予測したり、非稼動時間の要因を分析したりできるため、稼動計画の最適化が可能です。

また、稼動状況のデータや作業時における人間の行動などをロボットに学ばせれば、人間とロボットの協調作業が実現し、作業者の負担軽減にもつながります。

4. 製品化・量産化の期間短縮

4つ目の「製品化・量産化の期間短縮」では、以下の目的が掲げられています。

  • 製品の開発・設計の自動化
  • 仕様変更への対応の迅速化
  • 生産ラインの設計・構築の短縮化

例えば、設計事例をデータベースとして蓄積し、より設計しやすい形状や構造を知見として得たうえで、開発・設計を自動化することによって、製品開発期間の短縮が見込めます。

また、設計部品表や製造部品表を利用することで、仕様変更への対応をスピーディに行えるようになります。さらに生産ラインシミュレータなどを活用して、事前に評価を行うことで、生産ラインの設計・構築の短縮化なども可能です。

5. 人材不足・育成の対応

5つ目の「人材不足・育成の対応」では、以下の目的が掲げられています。

  • 多様な人材の活用
  • 技能の継承

先述したように、日本の製造業界は少子高齢化のあおりを受け、多くの企業で労働人口不足や技術継承問題などが顕在化しています。この項目では、そうした問題の解決に焦点が当てられています。

例えば、各従業員の作業習熟度や身体能力などをデータベース化し、本来持っている能力を拡大させるようなウェアラブルデバイスなどを活用することで、多様な人材が従事できるようになります。

また、熟練した技術者が持つノウハウをデータベース化し、体系的に分析したのち国内外の拠点へ共有することで、従業員の能力向上も期待できます。

6. 新たな付加価値の提供

6つ目の「新たな付加価値の提供」では、以下の目的が掲げられています。

  • 多用なニーズへの対応力の向上
  • 提供可能な加工技術の拡大
  • 新たな製品・サービスの提供
  • 製品の性能・機能の向上

それぞれの製品に共通する部分を定義し、構造や基準などを共通化・共有することで、フレキシブルな生産体制が構築され、新たな付加価値を提供できるようになります。この「多様なニーズへの対応力の向上」も、1つの小目的として設定されており、上記のほか、顧客ニーズに合わせたオンデマンドでの製品・サービス提供も、ERP(統合業務管理システム)などのデータ活用により実現可能と言われています。

また、MES(製造実行システム)などの生産管理システムにおけるデータを活用し、進捗状況を把握・共有することで一貫生産体制が整い、さまざまな加工技術を提供できるようになります。収集データを用いて潜在的な顧客のニーズをつかみ、製品やサービスを先回りして提案することも考えられるでしょう。

ほかにも、製品に搭載したセンサーから使用状況などをモニタリングし、改善につながる知見を得て新規サービスを開拓したり、ユーザーがどのように使っているかデータ収集し、製品の制御設定をコントロールして性能を最大化させたりできれば、スマート化も進んでいきます。遠隔でソフトウェアのアップデートを行い、適宜製品に新しい機能を追加できるのも、ユーザーにとってはうれしい付加価値と言えるでしょう。

7. リスク管理の強化

このほか「ものづくりスマート化ロードマップ」には、「リスク管理の強化」も挙げられています。製品にRFIDや通信機能を付加してデータ収集することで、個体別の品質を証明したり、不具合発生時に原因の特定や対策に役立てられるため、影響範囲を最小化したりできるなどのメリットがあります。

まとめ

経済産業省が発表した「ものづくりスマート化ロードマップ調査」などによって、スマートファクトリーは今や国内でも熱い注目を集めています。スマートファクトリーによって得られるメリットは多々ありますので、今回紹介したロードマップなどを参考にしながら、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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