スマートストアを推進する経済産業省の取り組みについて

 2020.02.19  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

最近、何かと「スマート〇〇」という言葉を耳にする機会が増えています。スマート工場、スマートテレビ、スマートスピーカーなど、これらは「高度な情報処理技術によってユーザーの利便性を著しく向上した製品や、何らかの自動化を伴う改革」を指します。そして近年注目されているのが「スマートストア」です。

スマートストアとは、IoT・AI(人工知能)・RFID(電子タグ)などの技術を駆使して、流通および店舗販売におけるさまざまな課題を解決した実店舗のことです。日本では経済産業省が2018年から実証実験を重ねています。

本記事では、経済産業省の取り組みを紹介すると共に、スマートストアを実現するとどのようなメリットがあるのか?などを紹介します。

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ダイナックプライシング

昨年の2月12日から28日までの17日間、経済産業省はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)と共に、RFIDを使った「ダイナミックプライシング」と「ターゲティング広告」を行う次世代店舗実証実験を実施しました、この実験は、2017年の「コンビニ電子タグ1,000億枚宣言」、2018年の「ドラッグストアスマート化宣言」にもとづいた取り組みであり、RFID活用をサプライチェーンに限定せずに消費者まで領域を拡大した際の利便性や付加価値創造について検証したものです。

ダイナミックプライシングとは、RFIDで商品ごとにユニークな(個別化された)IDを付けることを利用して、商品の消費期限と賞味期限まで含めて在庫状況をリアルタイムに把握、個品単位で価格を変動させることを意味します。食品ロスを減らす効果が大いに期待されており、消費者は期限切れが近く割引される商品情報をLNE等で受け取ることができ、安い商品とそれを購入したい消費者をマッチングしてくれます。

「コンビニ電子タグ1,000億枚宣言」とは?

コンビニエンスストアのセブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズ間において、2025年までにすべての取り扱い商品(推計1,000億個/年)にRFIDを利用することについて、一定の条件の下で合意した取り組み。少子高齢化や人材不足などが起きている中、食品ロスや返品を減らして現場スタッフの負担や運営コストの増大を防ぐために策定。

参考:経済産業省『「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定しました~サプライチェーンに内在する社会課題の解決に向けて~』

「ドラッグストアスマート化宣言」とは?

消費の多様化・成熟化に対応するために、小売業では単に商品を販売するのではなく、新たに価値を提供することのできる業態への転換が求められています。そこで、単純作業を効率化すると共に、様々なデータの利活用を通じたサービスや商品開発など、新しい価値を創造するための仕組みです。

参考:経済産業省『「ドラッグストア スマート化宣言」を策定しました~サプライチェーンに内在する社会課題の解決に向けて~』

ダイナミックプライシングにはその取り組みについて、懐疑的な意見もありました。というのも、商品値引きの現場では消費者に値引きされていることを明確にするために値引きシールを貼るのが一般的であり、ダイナミックプライシングにおいてもその工程は変わりません。また、デパ地下やスーパーなどでは値引きされる時間帯が毎日一定であることから、消費者もそれを理解しておりわざわざ告知せずともイベント化されています。こんため、ダイナニックプライシングではRFIDを使って今後どのような付加価値が創造されるのかに注目が集まっています。

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電子レシート

電子レシートというのは、本来紙で受け取る買い物レシートがスマートフォンを通じて電子的に受け取れるものです。消費者は電子レシート用のアプリをダウンロードして、買い物の際は個人認証(アプリに表示されるバーコードをレジで提示等)すると、買い物後にスマートフォンへ電子レシートが送られます。

引用:経済産業省『電子レシート実証実験の結果概要』

経済産業省ではこの電子レシートを活用した実証実験を昨年2月13日から28日の16日間、東京都町田市に点在するウエルシア(ドラッグ外阿)や銀座コージーコーナー(洋菓子店)など全27店舗の強直を受けて実施しました。電子レシートアプリを登録したのは2,708人、そのうち約3割の815人が実際に電子レシートを受け取りました。

この取り組みに関するアンケート回収の結果、アプリを「利用しなかった」を除く7割以上のユーザーが、自身の電子レシートを他のスマートフォンアプリ(家計簿アプリなど)と連携できるサービスを「とても便利」または「便利」と回答しています。

電子レシートのメリットは消費者の利便性向上だけでなく、消費者ごとにそれまでの買い物履歴がアプリに蓄積されていき、それを事業者が個人を特定できない状態で利用することで、消費者ごとの買い回り履歴情報を参考にしながら陳列商品の最適化やマーケティング活動の高度化などが見込めます。

消費者にとっても店舗側が最適な品揃えを用意してくれることで、より少ない店舗で欲しいものが手に入るという生活利便性向上の効果が期待されます。

スマートストアのメリット

ダイナミックプライシングや電子レシート、この他にもComputer Vision(カメラ)やIoT・AIを使ったスマートストアの実証実験が企業単位でも実施されています。米国では2018年1月にComputer VisionとAIを駆使したレジが無いスーパー「Amazon GO」1号店がオープンしたことで話題になりましたし、現代の小売業にとってスマートストアは最も熱いトレンドだと言えます。

日本においてスマートストアがここまで注目されている最大の理由は、「少子高齢化による人材不足問題の解消」です。国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の生産年齢人口は1995年~2015年の間で約1,000万人減少しています。この傾向は今後も続き、人材不足問題は熾烈を極めていくでしょう。

そうした中で従業員を募って店舗運営を行うことは大変難しい問題です。しかしスマートストアが実用段階に入れば、店舗従業員の負担は劇的に小さくなり、より少ない従業員数での店舗運営が目指せます。また、店舗無人化も不可能ではなく、人材不足問題を解消する大きなカギになるでしょう。

皆さんの実店舗ではどういった問題・課題を抱えているでしょうか?もしかすると、それらを解決するのはスマートストアという新しい取り組みかもしれません。

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