製造業の現状と課題、そして解決へのポイント

 2019.12.17  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

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「ものづくり大国」と呼ばれる日本。しかし、残念ながら日本の製造業は今や日本のお家芸ではなくなりつつあります。海外の先進的な製造業の躍進によって、多くの日本の製造事業者が危機に直面しています。低コスト生産を実現する新興国の存在、少子高齢化からくる労働人口減少、マーケットの縮小など、そこにはさまざまな原因が隠されています。

本稿では、日本の製造業の現状を整理するとともに、今抱えている課題について解説していきます。そして、製造業の未来を変えるモノは何なのか?その答えを考えていきます。

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すぐそこまで来た「第4次産業革命」

2018年度における日本のGDP(国内総生産)は約542兆円であり、米国と中国に次いて3位となっています。このうち、製造業が占めるGDPの割合は約20%です。つまり、100兆円以上が製造業によって生み出されていることになります。

参照:GLOBAL NOTE『世界の名目GDP 国別ランキング・推移(IMF)』経済産業省『製造業を巡る現状と政策課題~Connected Industriesの深化~』

ものづくり大国としてのプライドを世界に見せつけている日本の製造業ですが、戦後最大の壁に直面していると言ってよいでしょう。その壁とは「第4次産業革命」です。

ドイツ政府が「インダストリー4.0政策」を掲げたことをきっかけに、「工場自動化」に対する機運が世界的に高まりを見せています。今では「スマートファクトリー」を掛け声に、工場の自動化に取り組む製造業が世界で相次ぎ、先進的な製造プロセスを次々に生んでいます。

「第4次産業革命」が世界の製造業に与えるインパクトは非常に大きいものと考えられます。多くの場面で人手を必要とせず、製造プロセスや情報分析の全部または一部をAIやIoTに置き換えることで、高く安定した品質の製品を、より低コストで市場へ供給できる可能性があります。

世界が乗り越えようとしているこの「第4次産業革命」という壁を、日本の製造業も同じように乗り越えなければならない時代が到来しようとしているのです。

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日本の製造業が抱える3つの大きな課題

日本の製造業が、以前にも増してボーダレス化した世界の製造業と戦っていくためには解決すべき大きな課題が3つあります。それが「人材不足」「IT活用」「技術継承」の3つです。

1.人口減少にともなう労働人口の減少とマーケットの縮小

少子高齢化が進むにつれて、日本の労働人口は減っていきます。このあおりを直接受けるのが製造業です。以前にも増して労働力を確保することが難しくなってきているだけでなく、人口減少による国内マーケットの縮小から海外に販路を求めたり、新たなビジネスモデルへの転換が迫られています。

2.遅れる日本のIT活用、海外市場から取り残される可能性が

日本のIT活用が遅れていることは、かねてより警鐘が鳴らされています。しかし、技術力への自負とIT導入コストへの懸念から、日本のIT活用は他国に比べて遅れを取っています。海外製造業では大小規模を問わず、AIやIoTといった最新技術を取り入れることに積極的です。それにより、事業は効率化されるだけでなく製造品質も向上してきているのです。

3.技術継承がスムーズに進まず、日本の高い技術力が埋もれてしまう

日本の一部の製造業は、世界に類を見ないほど高い技術力を持っています。しかし、現代日本の製造業では、「技術伝承」という大きな問題を抱えており、それまで培ってきた高い技術を次の世代に継承できない可能性があるのです。このことは中堅・中小企業において大きな課題となっており、中小企業の高い技術力は、大企業が高品質な製品を生み出すためにも欠かせないことから日本の製造業全体の課題になってきているのです。

製造業のビジネスモデルの変革

もう1つ、製造業において忘れてはいけない変革があります。それが、世界中の製造業にて現在進行形で起きている「サービタイゼーション(サービス化)」という変革です。

これは、モノをモノとして販売してきた従来の製造業とは決定的に異なり、モノをサービスとして提供することを指します。たとえば、自動車メーカーでは車を作り、それを販売して利益を得ています。サービタイゼーションでは車を販売するのではなく、モノからコトに着目しサービスとして車を利用に応じた料金モデルに変更することで利益を得るビジネスモデルです。

海外の先進事例を1つ挙げますと、英国の航空機用エンジン開発メーカーであるロールス・ロイスと、マイクロソフトが協業したサービタイゼーションでは航空機用エンジンを販売するのではなく推進力を測定して、利用した分に応じた従量課金制サービスを開始しています。

こうしたサービタイゼーションは特定の分野で高い需要があり、日本では自動車メーカーを中心に展開されています。トヨタでは2019年初頭から「KINTO」と呼ばれるサービスが提供開始し、頭金なし、月々定額で新車に乗ることができます。これもサービタイゼーションの流れを組むものです。

このように先進的な製造業においては、サービタイゼーションによるビジネスモデルの変革が加速しています。

関連記事:モノからコトへ、製造業におけるサービス化とは?

消費者ニーズの変化:モノに対する考え方が変わりつつある

「KINTO」に類似した個人向けの自動車リースサービスはどんどん拡大しています。このサービスに対し、「結局月々数万円払うなら、ローンを組んで好きな自動車を購入する方が賢いのでは?」と考える方も多いでしょう。ところが、世間のモノに対する考え方は変わりつつあります。

これまでは自動車などのモノを所有することにも価値を見出し、高い製品でもローンを組んで購入するという消費者が大半でした。時代は流れ、今ではモノそのものの価値ではなく、「モノが生む付加価値」だけに着目する消費者がかなり増えています。つまり、所有するのではなく「サービスとして利用するだけで十分だ」と考えているのです。これはITにおけるクラウドと同じ考えです。

「KINTO」のようなサービスは、そうした消費者のニーズに合致するだけでなく、諸費用(自賠責や任意保険など)をすべて含んだ料金にすることで、消費者の手間を省きお得感を生むこともできます。さらに、Webで申し込みが完結できるなど、デジタル化社会との相性も非常に良いため、拡大していると考えられます。

まとめ:最新のIT活用で生き残りをかける

今後も製造業におけるサービタイゼーションは拡大しますし、第4次産業革命にも対応しなければいけません。しかし、これらの課題を一体として考え、IT活用を促進して対策に当たれば、それほど複雑な課題ではないことが分かります。

もともと高い技術力を持った日本の製造業ですから、そこにIT活用の促進という強みが加われば、再び世界の製造業を圧倒することも決して不可能ではありません。

サービタイゼーション:来るべき未来のために製造業がなすべきこと

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