製造業

サプライチェーン、デマンドチェーン、バリューチェーン それぞれの違いと関係性について

サプライチェーン、デマンドチェーン、バリューチェーンの違いについてご存知ですか?この3つの言葉はそれぞれ役割が決まっており、「生産と供給」、「マーケティングと営業」、「価値生産の分析を行うフレームワーク」という個別の役割を持っているのです。

今回はサプライチェーン、デマンドチェーン、バリューチェーンの概要とそれぞれの役割の関連性の紹介まで詳細に解説します。

サプライチェーン、デマンドチェーン、バリューチェーン それぞれの違いと関係性について

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サプライチェーン・デマンドチェーン・バリューチェーンの違いは?

サプライチェーン、デマンドチェーン、バリューチェーンの違いはその役割です。まずはサプライチェーンから順に解説していきます。

それぞれの役割を持ったプロセス

材料が加工されてカスタマーの手に渡る一連の「生産と供給」はサプライチェーンが担っています。デマンドチェーンはカスタマーの需要に対して、アプローチを行い、サプライヤーにその情報を訴求させる「マーケティングと営業」の役割です。最後に、バリューチェーンは活動を価値であると捉える概念といえるでしょう。「価値生産の分析を行うフレームワーク」というのは活動に価値を見出し、分析することからきています。

サプライチェーンとは

簡単に説明しましたが具体的にサプライチェーンとはどういったことなのでしょうか。言葉の意味も含めて細かく説明していきます。

仕入れから出荷までのこと

サプライチェーンというワードは日本語にすれば「供給連鎖」となります。供給業者と呼ばれるサプライヤーが連続していること、数珠つなぎになっていることを表しているのです。

これは製品の材料を調達して製造する工程から、販売されて消費されるまでの一連の流れが連続していることを示しているといえるでしょう。

また、サプライチェーンにおいて注目するべき点は、商品または製品はサプライヤーからカスタマーに流れていきますが、使用感や商品に関する情報、口コミ、市場の動きなどの情報はカスタマーからサプライヤーに逆に戻ってきているといえるのです。

サプライチェーンにおいて次に生かすための情報は必ず返ってくること、そしてそれが次に生きてくるのがサプライチェーンといえるでしょう。

供給最適化を図るサプライチェーン・マネジメント(SCM)

サプライチェーンには多くの人員が関わっています。原材料の製造者、生産者、複数の企業、そしてカスタマーです。カスタマーに対してサプライチェーンを通して供給を最適化させる仕組みのことを、SCMと略し、「サプライチェーン・マネジメント」と呼びます。

企業とのやりとりはもちろんのことですが、企業内部の連携も最適化すること、組織全体を連携させることで管理業務を最適化することがSCMの大きな目的です。

サプライチェーン・マネジメントがもたらすメリット

SCMによって得られるメリットは、業務パターンの簡略化です。売れる見込みのある商品を見込みで生産すること、見込みが薄いものは受注して生産するというモデルにすることによって、スピーディーな商品の提供を可能にしました。

これは見込み生産によるリードタイムまでの時間が大幅に短縮されたことによる恩恵です。これによって売上が向上し、不要な在庫を抱えなくて良いことによる最適化で、コスト削減も実現することが可能となりました。キャッシュフローの情報を一元管理することができるため、SCMによる適切な意思決定は収益向上だけではなく金銭の流れを容易に把握することが可能です。

サプライチェーン・マネジメントによるデメリット

SCMにはメリットが多いように見えますが、デメリットも当然存在しています。それはマネジメントへの取り組みやソリューションを導入するためのコストや人的リソースの枯渇です。SCMは人的リソースだけではなくコストも多く消費します。導入のコストや人的コストを回収するだけの目処が立っていなければSCMを導入することはリスクが高いと考えて良いでしょう。

デマンドチェーンとは

サプライチェーンに続いてデマンドチェーンについて詳細に解説していきます。

消費者を基点とした情報管理システム

サプライチェーンでは、サプライヤーが持っている情報を管理し、原材料の仕入れやカスタマーへの供給プロセスを行っていました。対してデマンドチェーンとは、カスタマーから得られる情報、POSデータや口コミ、市場などを起点に商品の開発や生産、流通を最適化する仕組みであるといえるでしょう。

日本ではデマンドチェーンよりサプライチェーンに注力していた関係から、デマンドチェーンへの対応が遅れているのが現状です。

デマンドチェーン・マネジメント(DCM)の手順

カスタマーや消費者の情報を取得し、生産計画を立てていくことを、DCMと略し「デマンドチェーン・マネジメント」と呼んでいます。DCMはカスタマーのプロファイリングを行い、商品・商品化の計画を立てる行動をします。

DCMでは各部門との連携や情報共有が欠かせません。効果的な商品化、カスタマーの情報を得ることがDCMにおいてもSCMにおいても重要な戦略なのです。そのため、協働促進のために他部門との透明性の高い情報共有を日々行う必要があるのです。

バリューチェーンとは

3つめのチェーンであるバリューチェーンについて紹介し、価値生産の分析を行うフレームワークの意味を解説していきます。

事業活動で生み出される価値の流れ

バリューチェーンは事業における活動を「価値の連鎖」として考えています。また、企業の活動を主活動と支援活動の2種類に判別して思考します。主活動は事業の根幹である購買・製造・流通・販売・サービスなどの機能のことで、収益を生み出すために欠かせない要素です。一方で支援活動は、主活動を支えることによって間接的に貢献をすることです。直接的な価値を生み出すわ気ではないですが、調達、技術の開発、財務、人事、労務管理などの部門に分かれています。

差別化戦略の構築を実現させるバリューチェーン分析

バリューチェーン分析を行うことで、企業の活動における価値を判断し強み、弱みを明確にすることができます。バリューチェーンがフレームワークであるというのは、この分析によって、組織が持っている内部資源の有効活用にどのような可能性があるかをチェックすることができる点からきているのです。

バリューチェーン分析を行うには4つのステップがあり、現状把握、コスト計算、弱み・強みの洗い出し、経営資源の評価に分かれています。このうち経営資源の評価において、VRIOという項目をチェックすることで、より厳密に優位性を発揮できる可能性を上げることが可能になります。

それぞれの関係性を解説

サプライチェーン、デマンドチェーン、バリューチェーンについて解説してきましたが、それぞれどのような関係性を持っているのでしょうか。順に解説していきます。

サプライチェーンとデマンドチェーンは表裏一体の関係性

サプライチェーンとデマンドチェーンについては、需要と供給の関係性が不可分であることから、表裏一体の関係性を持っています。

あくまでもカスタマーへの価値提供を最適化するという本質は同じであり、サプライチェーンだけでも現在の日本のようになってしまいますし、デマンドチェーンだけでは成り立ちません。需要と供給の関係のように表裏で同じ目的のために動く関連性であるといえるでしょう。

サプライチェーンとバリューチェーンの関係性

サプライチェーンとバリューチェーンについては一見関係がないように思えます。しかし、サプライチェーンによって生み出された供給はバリューチェーンの分析対象として大きく影響を与えることは明白です。

バリューチェーン分析をする際はサプライチェーンも加味しながら分析しなければなりません。逆にサプライチェーン・マネジメントを実行する際にも、バリューチェーンとの意思疎通を行いながら改善に取り組む姿勢が必要です。

まとめ

サプライチェーン、デマンドチェーン、バリューチェーンの違いから、各チェーンの解説と、関連性について紹介しました。事業を行う上では、これらの連鎖の違いについて知っておくことや、分析した結果を利用していく必要があります。

DX化などで情報が一元化できる今だからこそ、このような関係性についての理解をより深めて活用することでカスタマーに対する供給が最適化されていくことでしょう。

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