製造業におけるサプライチェーンマネジメントとは?仕組みやメリットを紹介

 2022.09.28  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

製造業において、しっかりとしたサプライチェーンマネジメントを実施するとどのような効果があるのでしょうか。実行にあたっては、メリットやデメリットをあらかじめ把握しておくことが役立ちます。すでに取り組みを行い、成功した事例を確認することも効果的でしょう。そこで、この記事では、サプライチェーンマネジメントの仕組みとメリットとデメリット、成功事例を紹介します。

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サプライチェーンとは?

「サプライチェーン(Supply Chain)」とは、直訳すると「供給の連鎖」という意味で、製品やサービスを開発・生産し、顧客の手元に届くまでの一連の流れを指します。

製品やサービスを提供するには、企画開発を行うだけでなく、企画案にもとづいて製造し、流通チャネルを通して顧客に届けなければなりません。そのためには、調達から製造、在庫管理や配送・販売、あるいはアフターサービスといったプロセスを辿る必要があります。こういった製品・サービスの提供に欠かせない包括的な活動を称して、サプライチェーンと呼ぶのです。

サプライチェーンの仕組み

サプライチェーンの仕組みで重要なポイントは、垂直関係と情報の流れです。
垂直関係とは、縦方向の供給網を指します。サプライチェーンは自社だけでなく、協力関係にある他企業も含めて考えることがあります。例えば、メーカーであれば企画・開発や製造は自社で行うとしても、最終消費者への販売については卸業者・小売業者・配送業者を介すのが一般的です。また、部品調達も自社ではなく専門商社や協力会社に頼ることがあるでしょう。

このように、サプライヤー・製造企業・流通企業・小売企業・最終消費者といったプレイヤーは、相互協力的な役割を持っています。サプライチェーンは、こういった垂直方向の関係性も総じて指す概念なのです。

情報の流れについては、サプライチェーンそのものが製品・サービス供給の機能を持つだけでなく、情報収集と蓄積の機能を備えるという側面も持ちます。通常、製品・サービスを供給する際は、企画や調達といった川上から、流通や販売といった川下に流れるのが普通です。しかし情報は逆で、製品ニーズや評判、フィードバックなどの情報は消費者を起点に川下から川上に流れていきます。こういった情報を収集・蓄積して、製品開発や販売企画に役立てるのも、サプライチェーンの重要な仕組みの一つでもあります。

サプライチェーンマネジメントによって最適化を図る

サプライチェーン全体を管理して最適化する経営管理手法を「サプライチェーンマネジメント(Supply Chain Management)」と呼びます。サプライチェーンは企業全体の部門や協力企業も包括する概念であるため、通常のマネジメントとは異なり、広範な視点で管理を行わなければなりません。サプライチェーンマネジメントを行う際は、それによって生じるメリット・デメリットを把握したうえで、調達先から最終購入者までの全体の流れを評価し、プロセス全体の最適化を実現する必要があります。

サプライチェーンマネジメントのもたらす効果

サプライチェーンマネジメントを導入すると、経営基盤の強化などにつながります。
経営基盤を強化するには、売上の拡大とコスト削減の両方を実現しなければなりません。サプライチェーンを見直すことで、製品の供給力アップや在庫管理の最適化などにより、両者を無理なく行える可能性があるのです。

売上を拡大するには、欠品などを極力減らし、需要予測や売れ行きデータにもとづいて、適切な量を最適なタイミングで供給する必要があります。そのために、販売状況や消費者動向といったデータをリアルタイムで生産部門に共有し、最適な量を生産しなければなりません。また、スピーディに供給するためには配送体制を確保しておくことも重要です。こういった部門間を跨いだ情報連携を効率化するうえで、供給体制全体を見直すサプライチェーンマネジメントが効果を発揮します。

コスト削減のためには過剰生産を防ぎ、なるべく在庫回転率を高めることが大切です。過剰生産や需要期を逃した生産をしてしまうと、売れ残りが増えて在庫が膨らみ、原材料費のロスや在庫管理コストの発生により利益を圧迫してしまいます。ただし先述の通り、サプライチェーンマネジメントを行い、部門間の連携が機能すれば、こういったリスクを防ぐ効果が期待できます。

サプライチェーンマネジメントのメリット

サプライチェーンマネジメントを導入するメリットは、グローバル化の支えになることや人材不足の解消などが挙げられます。

グローバル展開している企業は、調達先や販売先など、協業関係にあるさまざまな企業が世界各地に分散しているというケースも珍しくありません。このような場合、エリアごとに多種多様な個性を持った企業とやり取りすることになるため、コストや条件、納期などあらゆる面において管理の精度を高める必要があります。サプライチェーンマネジメントを導入していれば、こういったケースでも定期的に供給網を見直すことで、最適な体制作りに貢献できるでしょう。

人手不足は、製造・配送・流通などあらゆる分野において直面している課題です。サプライチェーンを維持するには、人材確保と教育は欠かせない要素であり、常に質を高める努力をする必要があります。サプライチェーンマネジメントを導入すれば、現行の供給体制を見直してより効率的かつ省人化できる体制を構築し、人手不足解消に役立ちます。

サプライチェーンマネジメントのデメリット

一方で、サプライチェーンマネジメントを導入するにあたり、コスト面への負担や戦略策定に労力を要するなどのデメリットもあります。

まず、サプライチェーンマネジメントを実行するには中・大規模の投資が必要です。サプライチェーンを管理するには、部門ごとのデータを収集し、連携して一元管理する仕組みがなければなりません。これにはシステムを構築する必要があり、少なくない資金がかかるのです。

また、戦略も策定する必要があります。サプライチェーンマネジメントを行うには、システムを構築したり組織体制を再編したりするケースがありますが、それらは場当たり的に進めたところで必ず成功するわけではありません。サプライチェーンを最適化するには、現状分析や目標設定を行ったうえで理想形を想定し、費用対効果も考慮しながら実行する必要があります。これは、サプライチェーンマネジメントを導入するうえで課題といえます。

サプライチェーンマネジメントの成功事例

サプライチェーンマネジメントを導入するには、実際の成功事例を知っておくことが役立ちます。消費財メーカーと金属メーカーの2社の成功例を見てみましょう。

花王株式会社

花王は、ロジスティクス機能が競争優位性の源泉だと考え、サプライチェーンマネジメントに積極的に取り組んできました。同社は年間21億個、ダンボール箱換算で1.4億個の商品を扱う大手消費財メーカーです。流行の移り変わりが激しい業界において、スピーディかつ安定的な供給体制を確保するため、卸業者を通さず自ら小売店に商品を配送するという独特の取り組みを行っています。また、理想のサプライチェーンマネジメントを実現するために、エンジニア集団も組織しました。こういった取り組みの結果、受注から24時間以内に納品できる体制を現実のものとしています。

中西金属工業

中西金属工業は、自動車製造のための搬送設備を製造・販売している企業です。同社はグローバル展開しており、輸送機事業部の海外売上高比率は80%を超えています。サプライチェーンマネジメントの導入以前は、世界中に拠点が分散する中、拠点や部門ごとにシステムが分かれていたため、設計や製造などの情報が各システムに散在している非効率な状況でした。そこで、システムを同一基盤に統合。見積もりから出荷までのプロセスの可視化にも役立ったほか、部門間の連携が円滑化し、生産性の向上や業務の迅速化を実現しました。

まとめ

サプライチェーンマネジメントは、調達から製造、流通などの一連の流れを包括的に管理する取り組みです。これにより、さまざまな効果を期待できますが、一方でコストがかかり、全社的な体制見直しを強いられるなどのデメリットもあります。製造業の経営者や担当者は、他社の成功事例を参考にしつつ、自社に合う方法で検討することが重要です。

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