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自動車サプライチェーンが抱える4つの課題と解決方法について解説

自動車サプライチェーンが抱える4つの課題と解決方法について解説

製造業は、多様化する顧客ニーズを速やかに生産部門に反映しなければ、競争に勝てなくなってきています。しかし、サプライチェーンのDXが進んでいる企業は多くありません。本記事では、自動車業界のサプライチェーンがどのような課題を抱えているか示した上で、課題の解決に有効なデジタルブレインについて紹介します。

自動車業界の現状について

自動車業界は現在、以下三つの特徴を持つ「ニューノーマル」と呼ばれる転換期のただなかにあります。

ニューノーマルの第1の特徴は、半導体の需給バランスの崩壊です。自動車産業に欠かせない半導体は、自動車以外にもコンピューターや通信機器、白物家電など幅広い製品に使用されています。コロナ禍で自動車の需要が一時落ち込み、コンピューターの需要が急増したこともあって、半導体メーカーでは自動車用半導体を製造する優先順位が低下しました。コンピューターの需要が低迷し、自動車用半導体の生産量は増えつつあるものの、自動車用半導体の供給は自動車の需要増に追いつかず、自動車業界では半導体不足が続いています。

第2の特徴は、グローバルサプライチェーンの混乱です。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起きた地域では、市場が縮小しました。また、ウクライナ戦争などに起因するエネルギー危機によって、ヨーロッパや日本は深刻な影響を受け続けています。さらに、世界中にさまざまな拠点が散在していることが災いして、部品調達などの複雑化を招き、海外にある工場で事故が発生すると、部品が届かず製造がストップするという問題も無視できません。

第3の特徴は、不確実性の高まりによる生産の縮小や停止です。感染症や戦争に加え、自然災害も頻発し、生産に関わるさまざまな要因や要素が不確実となっているため、生産量を一定に保つと過剰在庫を招くことになります。過剰在庫による価格競争が起きて価格崩壊する事態を防ぐために、生産の縮小や停止をせざるを得ないのが現状です。

自動車サプライチェーンが抱える4つの課題

自動車産業では、原材料や部品の調達から製品の生産、販売や流通に至るまでのサプライチェーンに、世界中の多様な企業が関わっていることが珍しくありません。前例のないニューノーマルという状況下で、自動車サプライチェーンが抱える課題を提示します。

1. 技術が流動的で発展途上

第1の課題は、自動車の製造技術が流動的で日進月歩であることです。
消費者が求める自動車は、従来型のガソリン車から地球環境に配慮した電気自動車(EV)などのエコカーへと移行しており、今後は先進運転支援システム(ADAS)の搭載も当たり前になります。

これまではモデルチェンジに合わせて緩やかに技術を改良してきましたが、ガソリン車から電気自動車に切り替わることで製造技術が大きく変化し、流動的で常に発展途上という状態に陥りました。また今後は、これまでとは違って安定した部品表を利用できなくなり、車の構造変更に伴う技術の変化に応じて、頻繁に調達部品などを変えていかなければなりません。

2. 市場参入方法の多様化

第2の課題は、以前とは異なる方法で自動車市場に参入する企業が増えて、市場参入のアプローチが多様化していることです。

これまでは、ディーラーや中古車販売店などに来店してもらって直接商談するのが、一般的な販売方法でした。しかし、今後は販売店を介さない直販や、オンライン商談などを取り入れたオムニチャネル戦略による販売方法へと変化していくことが見込まれます。自動車メーカーがDXに取り組めば、販売戦略を練るための顧客データが着実に蓄積され、新たな販売機会の創出につながります。

また、自動車関連のサービスモデルやビジネスモデルが変わることで、注力すべきポイントが新車販売から自動車自体のライフサイクル管理へと変化するはずです。
さらに、従来のオーナーシップ重視から、サブスクなどのサービス事業やモビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)といった新たな移動概念にも対応しなくてはなりません。

3. バリューチェーンの複雑化

第3の課題は、さまざまな事業活動が絡み合って付加価値を生み出すバリューチェーンが、より複雑になってきていることです。

自動車や部品といったハードウェアを中心としたサプライチェーンから、MaaSや無線通信による車載ソフトウェアのアップデートに対応できるサプライチェーンへと変化しています。そして今後は、従来重視していた大量生産による優位性だけでなく、バッテリー原料となる原料サプライヤーの囲い込みなどにも注力していかなければなりません。
また、従来のように製品のライフサイクルに合わせた安定供給を目指すだけでなく、不安定な地政学的リスクへ柔軟に対応できるようになる必要があります。

さらに、これまではメーカーが主導し、サプライヤーがそれに従う主従関係で成り立っていた自動車業界ですが、今後はその関係性が変化していく見込みです。なぜなら、自動運転などの実現にはソフトベンダーなどの支援が不可欠であり、自動車メーカーの技術力だけでは製品を完成させられないからです。その上、自動車の構成要素としてソフトウェアの比重が大きくなり、セキュリティ対策なども必要となっています。IT系企業などの新規参入によって、今後はサプライヤーと対等な関係のパートナーシップが結ばれる、といった構造改革が進むと考えられます。

4. 管理データの複雑化

第4の課題は、新製品やサプライチェーンの実現に必要なコネクティビティ(ネットワーク接続のしやすさ)を確保するために、管理しなければならないデータが複雑になることです。

従来は、各部門が保有するシステムやデータを他部門と連携させなくても、各部門が必要なデータを参照して管理すれば対処できました。しかし、これからは社内データはもちろん、サプライヤーからのデータも連携させて扱うことが求められます。車両予測データ、顧客関係管理データ、生産・能力情報など連携すべきデータは多岐にわたり、これらの複雑化するデータをネットワーク接続して管理し、効果的に活用しなければなりません。

自動車サプライチェーンの課題解決は「o9 デジタルブレイン」

以上の課題を解決できる有効なソリューションとして、「o9 デジタルブレイン」を紹介します。デジタルブレインは、最先端のE2E(エンドツーエンド)サプライチェーン・プランニング・ソリューションです。デジタルブレインは、柔軟性と拡張性に優れたクラウド型プラットフォームであり、導入すれば顧客に新たな価値を届けるための意思決定にかかる時間を短縮できます。主な機能は以下の5つです。

機能1:リアルタイム監視

デジタルブレインには、シナリオプランニングを用いてサプライチェーンネットワークの動きをリアルタイムで監視し管理できる、リアルタイム監視機能がついています。

機能2:AI/ML予測

デジタルブレインには、AI(人工知能)/ML(機械学習)で需要予測を行う機能が付属しており、この予測をベースにして生産、営業、調達を行えます。

機能3:ギャップクロージャー

ギャップクロージャー機能とは、企業活動と計画とのギャップを解消する機能です。デジタルブレインでは、製品、市場、チャネル全体の収益計画を作成・管理し、市場のニーズに合うように技術革新、価格設定、販促などの活動を行うことによって、計画とのギャップを埋められます。

機能4:サプライチェーンコントロールタワー

サプライチェーンの司令塔としての役割を果たす機能が、サプライチェーンコントロールタワーです。サプライチェーンコントロールタワーには、現実世界で集めた多様なデータを、コンピューター上の仮想世界に双子のような形で再現するデジタルツインが使われています。この機能を用いて、需要と供給のマッチング、分析、シナリオ評価を行うことで、需給変化が生じたときにリアルタイムで対応できます。

機能5:デジタルIBP

デジタルIBP(Integrated Business Planning/統合事業計画)は、IBP会議をデジタルブレイン上で開催することで、リアルタイムデータを活用して最適な調整を行える機能です。生産、販売、在庫管理といった各部門が情報共有を行うことで、最良の意志決定が可能となります。

まとめ

ニューノーマルを迎えた自動車業界では、自動車サプライチェーンが抱える複数の課題を克服しなければなりません。技術が流動し続けるなかで自動車メーカーが生き残るには、デジタルブレインのような最新のE2Eサプライチェーン・プランニング・ソリューションの有効活用が不可欠となるはずです。

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