製造業

IoTビジネスで知っておくべき6つのトレンド | IoTビジネス最前線

IoT(モノのインターネット)が注目され始めてから数年が経過し、今では多くの企業がIoTを自社ビジネスに取り入れようとしています。総務省の「令和元年版情報通信白書」によると2021年時点で世界のIoT機器は約450億台に達すると予測されており、今後ますますIoTが活況になることが予想されます。

本稿ではIoTビジネス最前線として、IoT活用を実践する企業が知っておきたい6つのトレンドをご紹介します。

Factory of the Future

IoTビジネスとは何なのか?

IoTビジネスというと高尚なものに聞こえますが概念的にはそんなに難しいものではありません。

例えばIoTを搭載した冷蔵庫とそうでない冷蔵庫を想像してみましょう。従来の冷蔵庫は家電量販店などで購入すればそれでメーカーと消費者の関係は終わりです。そこにIoTを搭載することでメーカーは冷蔵庫内の状態を、インターネットを通じて把握することができます。例えば、これを利用すれば在庫がなくなった牛乳を自動で届けるなど新たなサービスが生まれる可能性があります。

また、設備保全会社などでは工場などで稼働する機械の保守として年に1回や故障して連絡がきたらなどの対応が一般的でした。IoTを活用すれば機械の状態を遠隔地からモニタリングしたり予兆保守など質の高いサービスの提供が可能になります。

航空機エンジンメーカーの事例

航空機エンジンを提供するロールスロイス社では、エンジンにIoTを搭載したことにより大きくビジネスモデルを変革させたことは有名な話です。従来はエンジンを納品すればそれでビジネスが成り立っていましたが、航空会社はエンジンが欲しいわけではなく推進力が欲しいことに着目し、IoTを活用してエンジンの稼働に応じたサブスクリプションモデルへとビジネスを転換しました。また、IoT機器を通じて集められた情報は宝の山と言われていますが、同社もそれらエンジンから集められた情報をもとにいかに燃費良く飛行機を飛ばすかと言ったことをコンサルティングサービスとして提供するようになりました。

大手コーヒーメーカーの事例

IoTビジネスはサブスクリプションサービスを展開するだけが全てではありません。世界的な大手コーヒーショップのコーヒーメーカー事例をご紹介します。同社の顧客はいつも同じ品質のコーヒーが提供されることを望んでいます。それができなければ、顧客の1日は悲しい気分で終わり、ブランドは信頼を失います。そこで同社はIoT技術によってコーヒーメーカーのスマート化を図り、機械の稼働状況を可視化することで故障を軽減、将来的には故障ゼロを目指しています。これは単に保守費用の節約だけでなく、素晴らしい顧客体験や従業員の幸せなど、生産性向上とブランド価値の継続に繋がる取り組みです。

IoTビジネスで知っておくべき6つのトレンド

現在ではあらゆる産業、多くの企業がIoTによる革新的なビジネスを展開しています。そうした企業やこれからIoT市場に参入する企業にとって、知っておくべき6つのトレンドとは何でしょうか?

トレンド①  IoTデバイスへのAI搭載

産業向けIoTアプリケーションでは常に高い負荷がかかり、ネットワークのレイテンシー(遅延)をコントロールすることが成否を分けます。AIによってリアルタイムに動作するIoTデバイスはデータがクラウド間を行き来する時間がビジネスに影響するため、クラウド上ではなく、ネットワークの末端であるIoTデバイスでAIを実行してリアルタイムなデータの収集・分析・フィードバックを行う必要があります。クラウドとのやり取りが不要になることで、パワフルなアルゴリズムでより素早く正確な対応が可能になります。

トレンド②  暗号通貨の需要増加

ビットコインやイーサリアうむなどブロックチェーン技術を採用した暗号通貨での取引を可能にしている企業は、今現在有利な立場に立っています。この需要は今後も加速していくでしょう。ただし、信頼性を確保しながら暗号通貨をIoT戦略へ組み込むためには、高水準のコンピューティングパワーとストレージを確保するための資金、さらにそれらを保護するための事前計画が欠かせません。

トレンド③  自律デバイスの進歩

自動運転車をはじめ自律デバイスは日進月歩で展開されあています。環境の認知と受信データを組み合わせ、業務上の意思決定を行うIoTデバイスに自律の概念を拡大させています。近いうちには製造業や農業、金融業などの業界でその恩恵が受けられる可能性が大きいでしょう。新しいIoTデバイスの普及に伴い、アクションにつながるデータをリアルタイムで収集・分析できる企業が増えることから、ネットワークの末端であるIoTデバイスは今まで以上にその重要性が高まります。

トレンド④  ビルトイン型セキュリティ対策

IoTデバイスを狙ったマルウェア「Mirai」など、IoTに対するセキュリティ要件は年々厳しいものになっています。ハッカーはIoTデバイスに侵入し、デバイスをコントロールしたりデータを盗んだり、サービスの中断を狙ったりを様々な攻撃を仕掛けてくるでしょう。これからのIoTビジネスではソフトウェアとハードウェアの両方を備えるビルトイン型のセキュリティ対策を備えることが重要になっていきます。ネットワークの端から端まで保護及び強化しなければ、サイバー攻撃の被害は必至です。

トレンド⑤  プライバシー規制に対する配慮

2018年にはEUにてGDPR(一般データ保護規則)が移行され、米国ではCLOUD法は施行されました。プライバシーに関する規制が一層と厳しくなり、厳格な罰則が課せられた事例も既に存在します。IoTデバイスは利用者や環境のデータを相当数収集することから、プライバシー要件を満たすことが難しいと言われている状況です。エンジニアは国ごとに異なる規制や認証を切り抜ける方法について、専門家からのアドバイスを受けることが不可欠になります。GDPRでは1件の違反で最大2,000万ユーロ、または是wんせかいの年間総売上高の4%に相当する罰金が課せられる可能性もあるのです。遵守を怠らず、更新プロセスを組み込むことが企業の財務を守ることになります。

トレンド⑥  拡張現実(AR)の導入拡大

アルゴリズムと機械学習の進歩に伴い、ほとんど全ての業界向けソリューションにて拡張現実(AR)の普及が見込まれています。その参入時期は目前であり、計画と検証を進めてネットワークやセキュリティ、プライバシーやテクノロジーの適切な選択をすることが必要になるでしょう。

IoTビジネスのこれからを知ろう

今やあらゆる産業で活用され、可能性を広げているIoT。皆さんの身の回りでも、IoTを使ったビジネスの進展は既に始まっています。自社製品やサービスにIoTを組み込むことで何が起きるのか?この機会にぜひ想像してみてください。そして、IoTを活用したビジネスの世界を具体的に検討していくことをお勧めします。

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