チェーンストアの種類〜チェーン方式の違いについて解説〜

 2021.01.15  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

チェーンストアとは、統一性のある店舗を多数出店することにより、大きな利益を生み出す経営形態です。日本ではさまざまな小売・飲食業がチェーン展開しています。本記事ではチェーンストアの概要と分類、経営上のメリット・デメリットについて解説します。

チェーンストアの種類〜チェーン方式の違いについて解説〜

チェーンストアとは何?

チェーンストアとは「統一性のある複数店舗の集合体」であり、小売業から飲食・サービス業など、多くの業態がチェーンストア方式を採用しています。「直営店か、またはフランチャイズか」でビジネスモデルは異なりますが、一般的には区別されず、まとめてチェーンストアと呼ばれるケースが多いでしょう。

経営手法のベースは、1900年代にアメリカで生まれた「チェーンストア理論」です。事業戦略や商品開発、調達や人事・財務などの中枢機能を本部に集約、店舗(現場)はオペレーションに専念させることで、経営効率アップとコストダウンを同時に実現させます。

日本で普及するきっかけは、渥美俊一という人物による影響です。彼は、1962年にチェーンストア理論を学ぶ教育機関「ペガサスクラブ」を設立します。当時若手経営者だった現イオングループの西川俊男、ダイエーの中内功、イトーヨーカ堂の伊藤雅俊らが参加し、チェーンストア経営システムを実践しました。

チェーンストアの特徴

チェーンストア一番の特徴は「マスマーチャンダイジング」と「店舗経営のマニュアル化」です。マスマーチャンダイジングとは、消費者が求める日常商品を開発し続け、効率的に提供し続け大量販売するビジネスモデルです。単に大量仕入れによってコストダウンする方法とは異なり、「よりよいモノをより安く」を実現することでスケールメリットによって品質を上げながらコストダウンを図ります。

店舗経営のマニュアル化は、消費者に対する店舗ごとの待遇差の解消を目的に、ブランド価値や顧客体験を統一させる取り組みです。店舗側には作業時間や教育時間の短縮、サービス品質の安定、個人依存のリスク軽減などのメリットが生まれ、効率化によって優秀な社員の確保や、新規事業への足場固めが実現します。

チェーンストア(チェーン方式)における3つ種類

チェーンストアは「レギュラーチェーン(RC)」「フランチャイズチェーン(FC)」「ボランタリーチェーン(VC)」の3つに分類され、それぞれ経営形態が異なります。

レギュラーチェーン(RC)

レギュラーチェーンは、チェーンストアの運営企業が自ら資金投下し、従業員を雇用して経営する店舗、またはそのチェーン店網のことです。直営店やコーポレートチェーン(CC)とも呼ばれます。ブランド構築やマニュアル化、売上管理などすべて運営企業が行い、店舗従業員は運営企業に所属します。

運営企業と各店舗は同一資本のため、店舗の売上はすべて運営企業の収益になります。低迷している店舗があれば直接改善し、そこで得たマーケティングに関連するノウハウは蓄積されます。ただし、資金繰りが難しくなると店舗展開が困難になり、それ以上のスケールメリットは生かせません。

フランチャイズチェーン(FC)

フランチャイズチェーンとは、フランチャイズ契約を結んだチェーン店網のことです。フランチャイズ本部が加盟店に対し、商標・商号の使用権や販売権、それらに伴う経営ノウハウの指導や教育を提供します。その対価として、加盟店は本部に加盟金やロイヤリティを支払うシステムです。

フランチャイズチェーンの場合、販売する商品やサービスの開発、プロモーションは本部が行うため、加盟店は店舗の経営や雇用、多店舗展開に専念できます。本部の主な収益は加盟金や研修費、ロイヤリティや商品や販促アイテムの手数料などです。加盟店側は店舗で利益が出せないと、定期的に発生するロイヤリティが大きな負担になります。

ボランタリーチェーン(VC)

ボランタリーチェーン(VC)とは、独立した個々の小売店が同じ目的を持った小売店と組織を作り、自ら(加盟店側)が本部を結成して構成されるチェーン店網のことです。フランチャイズチェーンは本部と加盟店がそれぞれ契約を交わすため、その点が大きく異なるポイントと言えるでしょう。

一般的な例として、加盟店は商品の仕入れに伴い加盟金と月々の固定運営費を本部に支払います。しかし、売上に応じるロイヤリティは発生せず、本部の収益は加盟店に還元されます。販売商品に対する制約がなく、加盟店は独自の商品が販売できることも特徴です。

個人事業主とフランチャイズのよい面を取り入れている点がメリットですが、大手フランチャイズチェーンに比べ知名度が低く、発生する問題は基本的に自力で解決しなければなりません。そのため、経営者としての力量が問われるシーンが多いでしょう。

商圏エリアにおけるチェーンストアの種類

「商圏」とは、一つの店舗の影響が及ぶ範囲です。「商勢圏」とは、複数店舗の商圏がつながり合って広がっている範囲、を意味します。商圏規模における類型は「ローカル・チェーン」「リージョナル・チェーン」「ナショナル・チェーン」の3つです。

ローカル・チェーン

ローカル・チェーンとは、一つの商勢圏に11店舗以上出店しているチェーンストアを指します。地方や大都市を離れた場所でのチェーンという意味ではありません。人口のみで考えると、一つの商圏は120~300万人とされ、商勢圏内に100店舗以上出店したとしても、それはローカル・チェーンです。

同じ商圏に多数出店することで、物流やプロモーションの効率化が実現できます。ブランドをチェーン展開させる際は、まずはローカル・チェーンで小さく事業をスタートさせるのが一般的です。

リージョナル・チェーン

リージョナル・チェーンとは2つ以上の商勢圏に出店しているチェーンストアです。ローカル・チェーンが2つ以上あるチェーンストアであり、必ずしも商勢圏が隣接している必要はありません。むしろ離れている方が、マーケティングの観点から有利と考えられています。

地域を絞ることで消費動向に合わせた商品開発や品そろえが可能になり、店舗密度と知名度を効率的に向上させられます。

ナショナル・チェーン

ナショナル・チェーンとは、リージョナル・チェーンを2つ以上持つチェーンストアです。4つ以上のローカル・チェーンを持っているとも言えますが、一般的には全国規模で戦略的な店舗展開するチェーンストアを意味します。

大阪と東京といった主要都市のみに店舗展開している状態は、ナショナル・チェーンとは言えません。知名度が上がるほど集客効果やリピーター獲得につながり、多くのチェーンストア本部はナショナル・チェーンを目指しています。

経営上チェーンストアにするメリットとデメリット

店舗経営が軌道に乗った事業者は、さらに店舗を増やし、より多くの消費者にサービスを提供したいと考えるでしょう。チェーンストアにするメリットとデメリットについて解説します。

チェーンストアにするメリット

チェーンストアにするメリットは大きく分けて3つあります。1つ目は新規出店時のコストダウンです。多店舗展開によりコストダウンできるのは、仕入れ商品に限りません。新規出店に必要となる什器や採用広告、バックオフィス業務全般などまとめて削減可能です。店舗開設に伴う初期投資が少なく済めば、次店舗展開への余力となり、事業の成長スピードもアップします。

2つ目はプロモーションの効率化です。マーケティング用語に「1:5の法則」があるように、新規顧客を獲得するのには、既存の5倍コストがかかります。しかし店舗が増えればその分経営ノウハウも蓄積され、マニュアルが洗練されていきます。質のよいサービスを安定して提供できれば、顧客満足度がアップし、リピーターの利用頻度が増えるでしょう。

3つ目は戦略的なマーケティングの実現です。本部は経営、店舗は販売促進とそれぞれの役割に集中できます。本部と店舗の連携が強固であるほど出店プロセスは簡略化可能なため、有益な情報が獲得できるでしょう。本部は蓄積したデータを元にマーケティング戦略を強化し、効率よく事業を成功に導けます。

チェーンストアにするメリット

チェーンストアにするデメリットは、大きく3つに分かれます。1つ目は新規出店に伴う設備投資にかかる高額な費用です。たとえ一つの店舗が計画的に初期投資を回収できたとしても、不採算店が出現すれば、全体の利益は大きく減少します。営業利益を確保するため新規出店を急げば、さらなる負のスパイラルに陥る可能性があります。

2つ目は同じ商圏内での競合です。商圏が被ることで、母店の売上に影響が出るケースは多々あります。1店舗から2店舗に増えれば単純に経費が倍になるので、マイナスを回収するため、新規顧客を獲得するためのプロモーション費用が大きくなってしまいます。

3つ目は人材の採用難です。店舗が増えればその分従業員が必要になり、採用コストも上がります。有能な人材を採用できなければマニュアルは機能せず、現場を適切にマネジメントできる人材も育たないでしょう。

まとめ

個人で店舗を経営するには、数多くの解決しなければならない問題が発生します。スケールメリットで費用を抑え、プロモーションを効率化するには、チェーン展開が有効です。事業展開の成長が増し、利益を増大させるビジネスモデルの実現が目指せます。

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