製造業におけるドローン活用の可能性

 2020.03.24  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

2010年、フランスのテクノロジー企業のParrot社が「AR.Drone」を開発・販売したことで、ドローン(無人航空機)の商用化が一気に進みます。最初は一部の愛好家から人気を集めていたドローンは、次第にビジネス利用が検討されるようになり、今ではさまざまな産業で活用されています。本記事ではこのドローンが製造業をどう変えていくのか?について解説します。

製造業におけるドローン活用の可能性

広がり続けるドローンの活用シーン

今ではビジネスでの活用シーンが広がっているドローン。製造業以外では、どのような使われ方をしているのか?主要な活用シーンを整理します。

1. 空撮

災害時地質調査や救援物資

自然災害が発生すると、人が簡単には踏み入れられない地帯において地質調査を実施したり、救援物資を運んだりしなければいけません。ドローンはそうした際に、科学者や救助者の安全を確保しながら作業にあたれます。

2018年5月にハワイのキラウェア火山が活動を活発化させ、大量の溶岩を流出させました。その際に米政府研究機関のUSGS(米国地質調査所)はドローンを使って人が近づくのが危険な噴火口における調査を行っています。

映像制作

ドローンによる空撮は映像制作の現場でも積極的に利用されています。小型ドローンに高解像度カメラを搭載すれば、従来とは違った角度での映像制作が可能です。ドローンによる映像制作は映画やテレビCM等だけでなく、ビジネスシーンで利用するイメージ映像などにも積極的に利用されています。

2. 物流

ドローンによる商品配送

世界が抱える物流課題を解決する一手として注目されているのがドローンです。大手EC事業者Amazonなどではすでに実証実験が繰り返されており、商品配送のためにドローンが頭上を飛び回るという未来もそう遠くないはずです。日本においても、ドローンを物流に活用するための法整備が急ピッチで進められています。まだまだ課題は山積みですが、ドライバー不足や労働環境の悪化など、物流の深刻な課題を解決してくれるのではないかと期待されています。

大型カーゴドローン

全天候型の大型ドローンもすでに産声をあげつつあります。大積載量貨物の無人航空機のメーカーであるセイバーウィング 社は、600km/hの最大速度を誇り、最大飛行距離が数千キロにわたり、どのような天候でも厳しい場所で垂直離着陸できるドローンを開発中です。また、積載量が1トンにも及ぶことから同社の技術と製品は、世界中で航空貨物が運搬される方法を変貌させると言われています。

セイバーウィング 社ホームページ

楽天などの取り組み

日本の大手EC事業者である楽天は、ドローンを使った物流を実現するための「そら楽」というプロジェクトを立ち上げ、実証実験を繰り返しています。そら楽は完全自立飛行ドローンによる目視外飛行運用を行うもので、直感的に操作可能なアプリから商品の注文・配送を依頼できます。画像認識とビーコンを活用した正確な着陸が可能であり、第1弾プロジェクトとしてゴルフ場(千葉県キャメルゴルフリゾート)でのサービス提供を行いました。

https://www.digital-transformation-real.com/hubfs/resources/pdf/001139889.pdf

3. 農業

農薬散布

これまでラジコン飛行機やヘリで行われてきた空中からの農薬散布を、ドローンが行う取り組みもどんどん実施されています。農薬散布は時間と労力が多大にかかる業務であることから効率化の余地が大きく、ドローンを使えば人がタンクを担いで農薬を散布して歩き回るよりも60倍の速さで作業が完了します。中国広東省に本拠を置く大手ドローンメーカーのDJIが開発した「AGRAS MG-1」は、1ヘクタール(サッカーコート約1面半分)あたり15分で散布が完了するとされています。

精密農業

精密農業では地上に設置したセンサーや定点カメラ、人工衛星画像などを用いて行われていましたが、それぞれに問題があり改善の余地がありました。それらを改善するためにドローンの活用が進められ、ドローンならば地上にセンサーを設置するよりも広い範囲のデータを収集でき、人工衛星よりも手軽に高解像度画像を取得できるなどのメリットがあります。日本は海外と比較して中小規模農地が追いことから、精密農業へのドローン活用が期待されています。

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4. 点検

高速道路点検

日本では、高度経済成長以降に集中的に整備されたインフラの高齢化が進んでおり、あらに労働人口減少によりインフラの維持管理と点検技術者が減少するという時代を迎えつつあります。これに対し、首都高速道路株式会社はi-DREAMsおよびInfraDoctorというシステムを開発し、クラウド上に資料や画像、3Dデータなどを保管してAI解析を行い、点検や修理が必要な場所を効率的に割り出しています。その際に、ドローンを使って検査用画像を作成するなど、実証実験が行われています。

5. 競技

ドローンレース

日本ではJDRA(一般社団法人ドローンレース協会)とDrone Impact Challenge実行委員会、それとJDL(日本ドローンリーグ)などの団体がドローンレースを主催し、ルール制定や競技普及に努めています。

製造業でドローンはどう活用されるのか?

製造業では今、インダストリー4.0やインダストリアル・インターネット、日本ではコネクテッド・インダストリーズなどのデジタル戦略が推進しており、工場のスマート化が進んでいます。これらの取り組みが目指しているのが「生産ラインの可視化」と「AIによる制御」であり、多種多様なセンサーとAI解析で生産ラインの状況をリアルタイムに可視化し、機械同士が相互に制御することで生産の自動化も実現します。

では、製造業でドローンはどう活用されるのでしょうか?見逃せないのがドローンとRFID(無線ICタグ)リーダーの組み合わせです。リーダーを搭載したドローンを飛ばせば、RFIDを付与した部品や製品の棚卸作業がごく短時間で完了します。作業員全員で棚卸に取り組む必要はなく、夜間に行うことも可能です。

ただし、工場内はGPS通信を満足に受信できない問題からドローンの自律飛行が難しい傾向にあります。そこで期待されているのがビーコンやWi-Fiを使って位置把握であり、この技術が実用化されれば製造業の業務効率は大幅に向上するでしょう。

また、生産ラインに設置する機器や人員配置の把握のために、ドローンを飛ばして生産ラインの3D地図を制作し、デジタルデータを活用する実験も取り組まれています。大型の産業機械を扱っているような製造業では、点検作業でドローンを活用できます。人が入ったり上ったりするのに危険な場所でドローンによる点検を行えば、人員の安全性を確保しながら短時間で点検作業を終えられます。

もちろん、製造業においても上記でご紹介したような物流面でドローンを活用することも可能になります。

ドローンの可能性を考えよう

いかがでしょうか?世界ではすでにさまざまなドローン活用が始まっており、多くの実証実験が繰り返されています。さらに、製造業でもドローンによる業務効率化や新しい付加価値の創造が始まっています。高い技術力を持ったドローンメーカーは多数存在するので、そうした企業と大手製造事業者を中心に今後ドローン活用が活発になることでしょう。この機会に自社内におけるドローン活用について検討してみてはいかがでしょうか?

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