製造業のバリューチェーンとは?意味や分析方法を解説

 2020.01.30  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

バリューチェーンという概念を用いれば、事業の活動を機能ごとに分類して、どの機能で付加価値が生まれているか知ることができます。本稿では製造業のバリューチェーンについて意味や分析方法を解説します。バリューチェーンを活用し、自社の強み・弱みを分析して、事業戦略の改善などに役立てましょう。

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バリューチェーンとは?

バリューチェーン(Value Chain)とは、日本語で「価値の連鎖」を意味します。企業がどの活動によって付加価値を得ているか知る際に、事業活動を機能に応じて仕分け、どの部分が付加価値を創出しているのか、自社の競争優位性や弱点は何なのかを明らかにする考え方です。この概念はマイケル・ポーター教授(ハーバードビジネススクール)が提唱したもので、競争戦略を考える上で重要な役割を担っています。

バリューチェーンは、企業が行う活動を「主活動」と「支援活動」の2つに分けて考えます。主活動とは付加価値を直接的に創出していく活動のことで、購買、製造、流通、販売、サービスなどの機能を有する部分を指します。これらは事業の根幹にあたるもので、収益を生み出すためには欠かせないものです。

一方、支援活動とは、一般的にはスタッフ部門やコーポレート部門などと呼ばれる部分にあたります。直接価値を生み出しませんが、主活動を支えることで間接的に貢献していくものです。代表的な例には、調達、技術開発、財務、人事、労務管理などの部門があります。

一見複雑に見える企業活動を価値創出という観点からとらえることで、どの活動が価値を生み出す源泉となっているのかがわかり、今後の戦略が立てやすくなるのです。

製造業におけるバリューチェーン

製造業でバリューチェーンを分析する際は、製造業一般に通用するフレームワークを当てはめることができます。このフレームワークによると、主活動は企画、ものづくり、販売サービスに分けられます。

企画において初めに行うのは、市場調査や消費者ニーズの分析などをもとに製品のコンセプトを策定することです。その上で、製品を開発して具体的な形にしていきます。また、製造販売を見据えて、製造の技術的チェックや損益分岐シミュレーション、販売網の候補選定など細かい要件も詰めていきます。

ものづくりでは、原材料調達(購買)や加工、製造がメインになります。これらはものづくりの中核であり、競争優位の源泉になる価値創出を担う大切な部分です。購買は製品の品質やコストを左右する重要な役割を持ちます。製品に必要な原材料を、必要な量、必要な時に、適切な価格で調達できなければ製造は成り立ちません。加工や製造は、高品質な製品を安定的に、納期までに生産することが重要なミッションです。どれもバリューチェーンの中心的な役割を果たします。

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販売・サービスには、卸売業者や小売業者、あるいは最終消費者への販売や、アフターサービスなどがあたります。製造業者側にとって価値創出の中核となる活動はものづくりですが、利益を出すためにはそれだけでは不十分です。製造・加工したものを、迅速、かつ安定的に、品質を維持したまま顧客に確実に届けなければ利益は生まれません。製品の需要にはトレンドもあり、部品の納入タイミングも考慮する必要があります。この点からも流通機能の強化もバリューチェーンの中で重要な役割といえるのです。

バリューチェーンを活用する:バリューチェーン分析

バリューチェーン分析では、先述したフレームワークを活用して、企業の内部環境や優位性・弱点を分析していきます。ここでは、分析方法を解説した上で、バリューチェーン分析を行うメリットを紹介します。

分析方法

一般的に、バリューチェーン分析を行うには、現状把握、コスト計算、強み・弱みの洗い出し、経営資源の評価という4つのステップがあります。

現状把握

バリューチェーン構造を明確にする取り組みで、まずは事業部系の主活動や間接部系の支援活動に分けた上で、企画、製造、販売、人事、財務といった機能ごとに分類していきます。この時、足がかりとして先述したフレームワークを参考にすると、わかりやすくなります。

コスト計算

このステップでは、仕分けた機能ごとにコストを割り出します。事業活動で利益を獲得するには、収益面だけでなくコスト面も把握しなければなりません。これによって、コストのかかっている部分を洗い出し、収益性の改善に役立てます。

強み・弱みの洗い出し

分類した機能ごとに優位を発揮できる部分や、反対に他社よりも不利な部分を自覚することです。事業においては、自社のユニークな強みを生かして他社を引き離しつつ、同時に弱みを補うという戦略作りが欠かせません。他社と比較して自社の長所と短所を客観的に把握できれば、事業競争において有利になるでしょう。

経営資源の評価

ここでは、自社が抱えている経営リソースを洗い出し、それらの優位性を精査します。経営資源といえば、ヒト、モノ、カネ、情報が挙げられます。それらに加えて、「VRIO」というフレームワークを考えると、バリューチェーン分析がいっそう効果的になるでしょう。VRIOとは、価値(Value)、希少性(Rareness)、模倣可能性(Imitability)、組織(Organization)の頭文字を指した言葉で、これらの項目ごとに事業組織をチェックして基準を満たしていれば優位性を発揮できる可能性が高くなります。

バリューチェーン分析を行うメリット

バリューチェーン分析を行うと、自社を客観視できる、有利な競争戦略を策定できる、といったメリットがあります。

この分析手法は、価値という切り口から自社の事業構造を明らかにする点が特徴的です。製造業は規模が大きくなるほど企画、購買、製造、流通といった一連の流れが複雑化し、従業員であっても事業活動全体を理解することは簡単ではありません。しかし、バリューチェーン分析を用いれば、事業の機能を分類することができます。また、機能ごとに価値創出の役割を把握できる点もメリットです。

その上、この分析手法を使えば、競争戦略において自社の優位性を効果的に発揮するプランを策定できます。事業では競合他社との競争の中で、自社が勝てるセグメントや方法を見つけ出し、そこに経営リソースを配分することが大切です。そのためには、自社と他社とを比較した上で、勝てる領域を検討するプロセスが欠かせません。バリューチェーン分析をおこなえば、付加価値創出という観点からこういった分析が可能になるのです。

デジタル化によって変化を遂げるバリューチェーン

近年、IoT(モノのインターネット化)やAI(人工知能)といったテクノロジーが発展しており、デジタル化の波は製造業にも影響を与えています。特に、データの収集や分析が飛躍的に進んでおり、それらの技術を応用することでバリューチェーンやサプライチェーンの形も変わっていくのです。

例えば、IoTの進展によって、製造機器やセンサー、運搬機械をインターネット接続してクラウドコンピューターで一元管理できるようになったので、製造現場における稼働の見える化が構築できます。機械の稼働状況が把握できれば、アイドリング状態が多い生産ラインの稼働率を高めたり、エネルギー利用を最適化したりといった改善もスピーディに実施できるようになるでしょう。

他にも、製造、販売といった部門間に限定しない横断的な連携も可能になります。これにより、マーケティングや営業部門において把握している受注状況や需要予測を生産部門と連携し、最適な量を最適なタイミングで納品するといった効率的な事業活動ができます。

このように、デジタル化を取り入れることによって、バリューチェーンはデータ活用による付加価値創出といった流れに進めるようになるでしょう。

まとめ

バリューチェーンという考え方は、付加価値創出に注目した企業分析の手法です。特に複雑かつ大規模なサプライチェーンを組み立てる製造業においては、事業活動を分析する際に役立ちます。この分析手法は事業活動を機能ごとに分析できるため、競争戦略の策定やコスト計算にも効果的です。ぜひ自社に取り入れて、企業戦略に役立てましょう。

Factory of the Future製造現場が抱える課題。解決の鍵は「デジタル化」です。

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