AI搭載の電子カルテが医療現場にもたらす変化とは?導入事例も紹介

 2020.07.01  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

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医療の現場では電子カルテが普及しつつありますが、最近ではAI機能を搭載した電子カルテが登場しています。この記事ではAI搭載電子カルテの概要と、AI搭載電子カルテが医療現場にもたらす変革について解説しています。また、現在リリースされているAI搭載の電子カルテで利用数が多いサービスをピックアップして紹介します。

AI搭載の電子カルテが医療現場にもたらす変化とは?導入事例も紹介

電子カルテの普及状況

医療機関において電子カルテの普及が着々と進んでいます。厚生労働省が公表している「医療施設調査」のデータによると、2017年時点で電子カルテを導入している施設は病院で46.7%、クリニックで41.6%となっています。2008年時点の病院14.2%、クリニック14.7%と比べると、この10年足らずで急激に普及したことが分かります。

中でも病床が400床以上ある大規模病院に限れば、2008年の38.8%から2017年には85.4%まで上昇しています。その一方で、200床未満の病院での普及率は2017年時点でも37.0%にとどまっており、中小規模の病院やクリニックでの普及はまだまだこれからと言えます。導入に高額な費用がかかることが、小規模の医療機関が電子カルテ採用に踏み切れない原因の一つであるとも考えられています。

出典:厚生労働省「医療分野の情報化の推進について」

今後の展望と課題

電子カルテは紙のカルテと異なり倉庫など広大な保管場所を必要とせず管理が楽なため、業務を効率化できるというメリットがあります。また、必要な情報を検索したり編集したりできるので、診断書や紹介状を作成する場合にも、一から書き起こす必要がなくなります。

自動チェック機能を備えている場合も多く、処方が重複していないかどうかなどを自動で検出するので、少ない労力で業務の精度を上げることができるのです。

一方、電子カルテが抱える問題点もあります。任意のキーワードで検索できないなど機能面に不備があったり、システムダウンが多かったり、情報漏れを防ぐための暗号化などセキュリティ機能が不足していたりといった課題が挙がっています。

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また、大手ベンダーによる電子カルテは導入コストが高額な上に、大規模な病院向けに開発されているため小規模病院で必要な機能が盛り込まれていないことも普及が進んでいない原因になっていました。

こういった中小医療機関のニーズを見込んで、クリニックなど小規模の医療機関向けの電子カルテ開発に参入するベンチャー企業も現れています。小規模の医院などを想定した電子カルテでは、現在注目を浴びている遠隔診療やオンライン診療に対応した機能なども搭載されており、電子カルテの普及率をさらに上げるカギになるとして期待を寄せられています。

AIの活用で医療現場はどう変化する?

医療現場にAIを導入し活用することで、どのような変化が起きるのでしょうか。ここでは、考えられる主なポイントをまとめて解説します。

医療現場の改善

AIの導入で医療の現場の効率化など業務の改善が進んでいます。例えば、電子カルテにはAIを活用した入力補助機能が登場しています。紙カルテでもスピーディーに正確に記載するために定型の内容はスタンプなどを使っていましたが、たいていの電子カルテには病名や標準的な処方などを登録して簡単に入力できる機能があります。また、AIにカルテに記載する内容やよく使う語句を自動学習させることで、使い込むほど入力補助が最適化されて、カルテ作成にかかる時間をさらに短縮することができるのです。

また、検査で得られた画像解析や大量のデータの分析はAIが特に力を発揮する分野で、膨大な量のデータを解析し自ら学習していくことで、どんどん診断精度を高められるという強みもあります。大量のデータと突き合わせて推測することで、専門医でも診断が難しいような特殊な疾患を正確に見抜くこともあるのです。

過疎地の医療支援

過疎地の医療支援においてもAIや電子カルテの活用は有効な手段です。過疎地では慢性的に医師が不足していることが多く、一人の医師があらゆる疾患に対応しなくてはなりません。ですから、本来なら複数の症状から疾患を探し当てる専門的なトレーニングを受けた総合診療医が担当するのが理想です。しかし、過疎地を担当する医師が総合診療医であるケースは少なく、現実には過疎地で働く医師は厳しい状況におかれたまま日々の診療にあたらなければなりません。

この問題への対応策として開発が進められているのがAIを活用した診療支援システムです。このシステムに患者の症状を入力すると、疑われる病名とその対処などが電子カルテ上に表示され、医師の診断の一助とすることができます。このシステムが実用化されれば、過疎地での医療体制を維持するための大きな力になると考えられています。

AIを活用した電子カルテの導入事例

それではAIを使った電子カルテには、どんな種類があるのでしょうか。以下、よく利用されているサービスを紹介します。

初診問診時間が約1/3になる「AI問診Ubie」

「AI問診Ubie」は初診の問診を支援するためのツールです。これまでは初診の際に、紙に記入された問診票の内容を転載したり、医師が改めて一つ一つ聴き取りカルテに記載していました。これに対してAI問診Ubieでは、患者にタブレットで問診票を入力してもらい、その内容をカルテに反映させることができます。これにより、一人当たりの初診問診時間を1/3に短縮することができるというわけです。さらに、AIが患者の入力内容を受けて質問の内容を自動で生成できることから、より詳細で深い内容を聴き取ることも可能です。

AI搭載クラウド型電子カルテ「M3DigiKar(エムスリーデジカル)」

M3DigiKarは独自の自動学習機能を備えたAIの活用によって、カルテ作成の負担を軽減できるクラウド型の電子カルテです。カルテ内の全患者のデータを自動で学習することによって入力時間を減らし、カルテ作成を強力にバックアップします。さらに、カルテデータの自動バックアップや、新薬が追加された際の自動アップデートなどの機能も備えており、システム保守の負担を軽くしているのも特徴です。

完全無料のクラウド型電子カルテ「カルテZERO」

予算が限られている場合でも導入を検討しやすい完全無料の電子カルテもあります。「カルテZERO」は初期費用も月額費用も掛からないクラウド型電子カルテです。一般的な電子カルテでは、導入や月額利用に一定の料金が発生しますが、カルテZEROでは、処方の際の薬剤情報を製薬会社に提供して情報提供料を受け取るなどの仕組みを採用することにより、完全無料を実現しています。無料とはいっても診療に必要な機能は一通りそろっています。UIもシンプルで見やすく操作に迷うこともありません。

まとめ

AIを搭載した電子カルテの導入で、医師の負担を大幅に軽減できることが見込まれるため、医療業界の人手不足の対応策としてもさらなる普及が期待されています。また、電子カルテやAIを活用した診断補助機能は、困難が多い過疎地の医療を協力に支援するツールとしても大いに注目されています。

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