デジタルツインとは?意味や定義、注目を集める理由や事例を徹底解説

 2021.10.07  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

近年、製造業などを中心にデジタルツインの導入が進んでいます。現実世界と仮想世界をリンクさせる技術により、業務を効率化・最適化させるシステムの一つです。これを導入することで、大きな効果を期待できるでしょう。とはいえ、十分な理解にまでは達していない企業が多いことも現実です。本記事では、概要や注目を集める理由などを解説します。

デジタルツインとは?意味や定義、注目を集める理由や事例を徹底解説

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デジタルツインとは?現実世界のデータを仮想空間で再現する技術

「デジタルツイン」とは、リアル(物理)空間にあるデータをIoTなどで収集し、発信されたデータをサイバー(仮想)空間で再現する技術を表します。現実の世界にあるデータを、仮想の世界に映し出す「デジタルの双子」というイメージから、デジタルツインと呼ばれています。

従来のシミュレーションとは何が違う?

従来のシミュレーション、つまり模擬実験との違いは、「リアルタイム性」と「現実との連動」による説明が可能であることです。これまでの模擬実験は、想定するシナリオを基に設計しますが、これはあくまで想定であって、実際の状況と密接に関わっているとはいえないでしょう。もちろん、設計から実際の稼働までのタイムラグも生じてしまいます。

これに対して、デジタルツインは同時に稼働しているデータを基に分析するため、想定のシナリオよりも具体的・現実的に再現できるのです。

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デジタルツインがDX実現に必要とされる理由

DXデジタルトランスフォーメーション)」は簡単にいえば、最新のデジタル技術を普及させることにより、生活やビジネスの利便性の向上を目指す変革のことです。このDXの課題としてよく挙げられるのは、「膨大なデータの有効活用が難しい」という点です。企業が保有するデータは年々増加しているものの、十分に活用できている企業は少ないと言えます。

そこで、IoTで収集したデータを分析し、目で見てわかるデジタルツインは、DXと密接な関係にあると考えられます。実際に、DXやデジタルツインの導入を進めるアメリカの企業「Parametric Technology Corporation(パラメトリック・テクノロジー・コーポレーション)」のCEO、ジェームズ・E・ヘプルマン氏は、DXにおいて膨大な力を奮うIoTやAI、ARといった技術を有効に扱うには、設計からサービスまでを結ぶ、デジタルツインの実現が必要不可欠である、という旨を語っています。

デジタルツインが企業にもたらすメリットとは?

実際に企業にもたらすメリットについて、代表的なものをいくつか挙げて解説します。

1.現実世界では再現が難しい状況に対して、正確な模擬実験を実行できる

新しい製品を開発するとき、コストや物理的な場所の制限により、なかなか着手できない状況があります。デジタルツインでサイバー空間を用いることで、気軽に模擬実験できるため、必要なコストや期間の試算がスムーズです。試算の結果が失敗に終わったとしても、仮想上なので大きな損失にはなりません。このように、正確な模擬実験を気軽に行える点は大きなメリットと言えるでしょう。

2.作業効率化やコスト削減などに寄与する可能性がある

サイバー空間での模擬実験を応用して、生産管理の最適化や作業の効率化も試せます。生産作業をモニタリングしてデータを収集・分析することで、「問題点はどこか・改善点は何か」を的確に把握できます。その結果、発注から納品までのすべての過程において作業効率化が促進し、従業員の負担も減るでしょう。もちろん、無駄な消費がなくなるため、不要なコストの削減にも寄与します。

3.作業を円滑に進められるきっかけになる

サイバー空間で生産作業を観察・試算することにより、効率的な作業を学習できるので、作業を円滑に進めるきっかけやヒントを得られる可能性があります。リスクが少なく、新しい試みにおけるハードルが下がるだけではなく、収集データの活用により、あらゆる問題の分析・予測も可能なため、スムーズな作業に切り替えられます。

製造業にとっては、大きな革新となる技術?

デジタルツインは、リアル空間に近い模擬実験により、さまざまなチャレンジや試算、見直しなどができますが、特に製造業全般において、大きなメリットを発揮します。生産ラインや開発技術など、往々にして遠大なスケールのビジネスモデルである製造現場において、そのメリットが大きいことは明白でしょう。

試作品を製作するとき、サイバー空間で再現した方が材料費や工数を削減できるので、安価に済ませられます。特に、自動車のパーツやロボット、ロケットなどの製作においては、一度の失敗が大きな損失につながる恐れすらあるため、とても重宝されています。

また、製品にセンサーを取り付けることで、アフターフォローといった顧客サービスの向上も目指せます。出荷後の顧客の利用状況、つまり消耗や寿命などを自動的に把握し、ふさわしいタイミングで交換や修理が行えるようになっています。

実際に、コンセプトや制御設定、製造保守などをすべてデータでつなげて、デジタルツインで共有し、生産性を大幅に向上した例もあるため、有用性は高いと言えるでしょう。

活用事例から紐解くデジタルツインの有用性

いくつかのメリットを解説しましたが、主にスケールの大きいビジネスを行う業界にとっては、大きな味方になってくれる技術です。ここからは具体的な導入事例を紹介します。

製造業におけるデジタルツインの活用事例

製造業における導入には、主に「航空業界」「自動車業界」「スマートファクトリー」といった多くの例があります。

まず、航空業界ではサイバー空間での試作機の再現や、さまざまな故障を想定した仮想飛行、不具合の事前抽出などが挙げられます。結果的に、手戻りの最小化や開発期間の短縮、事故率の低下などの効果がありました。

自動車業界でも、前述した航空業界とほぼ同様で、トラックのバーチャルテストやさまざまな故障を想定した仮想走行、不具合の事前抽出などを行っています。こちらも、手戻りの最小化や開発期間の短縮のほか、開発コストの削減が可能となりました。

スマートファクトリーでは、主に工場の製造設備・制御機器に関わる情報をデジタル化しています。そしてサイバー空間での製造設備の配置や、ロボット・技術者の動きの事前確認などを実施することで、高度で多様な模擬実験が実現しました。

建物全体をデジタル化する「スマートビルディング」での活用事例

香港島の中心にある「One Taikoo Place」は41階建て、延べ面積9万5000㎡の規模を誇る大規模ビルです。具体的な取り組みとしては、「Arup(アラップ)」が開発した情報プラットフォーム「Neuron(ニューロン)」を導入し、ビル内のシステムの集約、およびファシリティーマネージメント機能とのリンクにより、ビル全体を集中管理するブレインとして活用しています。クラウド上で動作するため、一括管理や遠隔操作が可能です。

Neuronでは、監視カメラの画像解析や設備機器の稼働履歴によって、ビル内の人数や周辺の天気予報などを把握し、今後必要とされる空調負荷を予測します。データを基に最適なエネルギー配分を行い、効率的に稼働する機能を備え付けた結果、手動オペレーションと比較して、約15%のエネルギー消費の削減に成功しました。このように、スマートビルディングにも応用されているのです。

「スマートシティ」の実現にもデジタルツインが大きく貢献している

スマートシティ構想は、東京をはじめ全国的に進んでおり、都市という大空間で実施される、さまざまな施策を模擬実験する目的で、デジタルツインに焦点を当てられています。サイバー空間のモニタリングや、高精度の分析や未来予測を行えるので、あらゆる場面で貢献できるでしょう。

主な使用例としては、リアル空間の都市や住民の状況をサイバー空間で再現し、人流データなどを分析して混雑予測をするなどがあります。近い将来、デジタルツインを自動運転などと連携することで、渋滞のない交通が実現されることは夢ではありません。
また、忘れてはならないのが災害対策です。被害を最小限に抑えることを目標に、被害規模を予測して適切な救助計画を立てることが重要です。予測の精度を極めれば、被害発生前に、救助の準備が万端であるチームを派遣させられるでしょう。

こうした取り組みが首都圏をはじめ、福島県や香川県、北海道などで行われており、今後もさらに増えていくことも期待されます。

まとめ

デジタルツインは製造現場をはじめ、スマートビルディングやスマートシティなど、各所で焦点を当てられている技術の一つです。効果的に取り入れることで、さまざまなコスト削減や業務効率の向上などに寄与するでしょう。デジタルツイン関連事業を営む「Ansys」では、各種導入支援を行っているので、導入を検討してみてください。

Factory of the Future製造現場が抱える課題。解決の鍵は「デジタル化」です。

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