農業DXとは?概要やスマート農業との違い、取り組む方法を紹介

 2022.09.28  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

近年、農業DXという構想が注目を集めています。農業DXとはどういうものであり、農業が抱える課題・問題をどのように解決できるのでしょうか。農業DXについての正しい知識・情報をもとに、具体的な導入方法を検討しましょう。

農業DXとは?概要やスマート農業との違い、取り組む方法を紹介

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農業DXとは?

農業分野におけるDXである「農業DX」は、農林水産省のプロジェクト「農業DX構想」に基づき行われます。「農業DX構想」の目的は、デジタル化により効率的な農業経営を行い、消費者が求める新しい価値を創造・提供することです。
デジタル化(digitalization)とは、デジタル技術によって価値を創造したり、業務を効率化したりすることです。デジタル化は、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の手段のひとつです。
DXとは「Digital(D)Trans(X)formation」の略称であり、デジタル技術を活用して、ビジネスや生活・働き方のあり方そのものを変革することを指します。それらを農業のさまざまな領域に適用するのが、農業DXです。

農業DXの背景

少子高齢化や人口不足が進む中で、農業は農業従事者の高齢化、耕作放棄地の拡大、食料自給率の低下、消費者ニーズの多様化・高度化など、さまざまな課題を抱えています。
これらの問題は、今後さらに深刻化すると考えられます。後継者や労働力が不足して継承すべき技術が途絶え、生産基準を維持できなければ農業は衰退します。問題解決のために、新規就農者の増員や、少人数で高品質かつ効率的な大規模生産の実現、消費者ニーズへの対応などが必要です。
農業DXを進めれば、農作業を大幅に効率化でき、農業従事者の負担が軽減されます。他の分野に比べて農業分野のデジタル化が遅れていることもあって、農業DXが強く提唱されるようになりました。

行政が示す農業DXの今後の展開

行政(農林水産省)が想定している農業DXの方向性の例は、以下の通りです。

  • デジタル技術の活用を前提とした発想
  • 消費者・利用者目線の徹底
  • 持続可能な農業の実現によるSDGsの達成への貢献
  • 新たなつながりの形成によるイノベーションの促進

上記の方針の実現に向けて、行政は以下のプロジェクトを展開しようとしています。

  • 農業・食関連産業の現場プロジェクト:生産現場におけるデジタル技術の活用
  • 農林水産省の行政実務系プロジェクト:実務のデジタル化
  • 現場と農林水産省をつなぐ基盤系プロジェクト:政策実行に向けたデータ収集・分析

これらだけでなく、必要な人材の育成や就農希望者と産地のマッチング、流通の効率化などの多様な取り組みが推進されています。

農業DXとスマート農業の違いは?

農業DXはスマート農業を含む概念です。現在、「スマート農業」は世界中で導入されつつあります。
農林水産省によると、スマート農業とは「ロボット技術やICT等の先端技術を活用し、超省力化や高品質生産等を可能にする新たな農業」のことです。
生産現場では、自動走行トラクターや農業用ドローン、水田の水管理システムなどの形で活用され、農業の効率化・能率化に役立っています。スマート農業の推進は負担軽減などの課題を解決するだけでなく、後継者の確保や技術継承につながります。
農業DXが目指すのは、デジタル技術を農業分野に導入するだけではありません。生産・流通・行政などあらゆる分野においてデジタル技術を活用し、新しい農業への変革を目指すものです。
つまりスマート農業は、農業DXに向けた取り組みの一環として位置づけられるでしょう。

企業が農業DXを進める方法は?

農業DXを自社で進める場合、どのような方法をとればよいのでしょうか。効果的な導入方法について解説します。

自社の農業DXにおける戦略策定を行う

まず行うべきなのは、戦略の策定です。企業の上層部は、「何のために農業DXを行うのか」「農業DXによって何をしたいのか」について、明確な目標とビジョンを持ちましょう。
目標の設定にあたり、現状の問題と農業DXによって実現できることを照らし合わせ、検討を重ねるとよいです。経営戦略を持たずに農業DXを実施しても、成果を上げるのは困難です。

社内の体制を整え、業務のデジタル化を進める

方向性や戦略が決定したら、内部体制を整備して業務のデジタル化を進める段階に移ります。会社全体で農業DXに向けて意識を共有し、担当部門やサポート体制を作りましょう。
農業DXの実施には、デジタルリテラシーを習得した優秀な人材の確保が必要です。社内で人材が不足しているならば、外部からの募集や人材の育成を視野に入れましょう。
人材を集めて実施するのは、業務内容・アナログ情報をデータへ置き換えることです。ツールや技術を駆使してデジタル化した情報・データを収集し、新しいシステム構築の基盤を築きましょう。
デジタル化がスムーズに進まないようであれば、既存の業務プロセスやシステムの見直しも視野に入れましょう。

農業DXの実現に向け、現状分析や投資を行う

農業DXを実現するうえで、会社全体でデータを活用し、最適化する必要があります。蓄積されたデータを分析して、作業の自動化・効率化へと役立てることが重要です。
分析して、成果や反省点を明らかにしましょう。それをもとに新たな改善策を打ち出し、実行することで目標実現に近づきます。
企業で農業DXを進め、新しいシステムやサービスを顧客に提供することを目指しましょう。目標に向けて投資する、といった意思決定も上層部が適切に行うべきです。

農業DXの事例

農業DXは、さまざまな企業で導入されて成果を上げています。具体的な事例を参考にして、自社においてはどのような方法・対策が適切であるのかを検討しましょう。

IT技術の導入により、超低コスト生産を実現した米農家の例

約150haの生産農地を持つ茨城の米農家は、スマート農業の発想をもとにして全国平均の約半分のコストで米を作っています。米作りを担当する従業員は少数ですが、IT技術の積極的な導入・活用によって、安定かつ効率化された米作りに成功しました。

  • 自動給水システム:スマートフォンで遠隔操作可能
  • 自動運転田植機、自動運転トラクターの導入:1台体系作業の徹底
  • 圃場管理システム:タブレットなどで天候や成長を可視化し、管理・効率化
  • 米の田植え・収穫時期を分ける

上記の技術活用や取り組みの結果、作業効率が向上して、生産コストの大幅なコスト削減を実現しました。有機栽培・特別栽培を効率的に行った結果、販路拡大に成功して高い評価を受けています。

消費者に直接農産物を販売できる仕組みを作った企業の例

ある企業は、生産者が消費者と直接つながり、農作物・水産物・畜産物を販売できるWebシステムを作りました。通常の販売ルートで、生産者は小売価格の約3割しか利益を得られませんが、このシステムでは生産者の利益は8割、販売価格は自由に設定可能です。
プラットフォームには、個人向けのものと法人(飲食店)向けのものがあり、すべてのやりとりがオンライン上で完結します。

  • 個人向け:生産者が価格を設定、消費者がオンラインで注文する
  • 法人向け:システム担当者が法人の希望に合う農家や商品を探してくれる

IT技術によって生産者と消費者の双方が利益を得られるサービスを作り、農業が抱える問題の解決へと取り組んでいます。

農家の経営分析サービスを生み出した企業の例

ある企業では、農業経営者や自治体に向けて、経営分析・営農支援のクラウドサービスを提供しています。
スマート農業時代に突入しましたが、データ蓄積技術に比べてデータ活用は不十分です。この課題の解決に向けて、企業は各種農業データをひとつにまとめて可視化し、経営判断に役立つ情報を提供する以下のシステムを開発しました。

  • インプット:気象・環境データなどの各種データを自動で収集・連動する
  • データベース:データを処理し、戦略的に活用できる形にする
  • アウトプット:分析した結果を簡単に、わかりやすい形で伝える

上記のサービスに加えて、この企業が重視しているのは「人と人との交流」です。オプションとして農業経営者と直接コミュニケーションをとり、データ活用のアドバイスやサポートをしています。

まとめ

企業は、農業DXによって何を実現したいのか、目標を明確にしましょう。導入後は、状況に応じて業務プロセスの見直し、社内体制の変更など柔軟に対応することが重要です。
企業の上層部は他社の事例を分析・考察したうえで意思決定を行い、自社の現状に合った方法で農業DXを進めることをおすすめします。

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