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ビジネスプロセス改革(BPR)とは?業務改善との違いや成功に導くポイントを解説

利益の拡大を図りさらなる成長を果たすため、ビジネスプロセス(BPR)改革に取り組む企業が増えてきました。しかし、企業経営者の中には、ビジネスプロセス改革と業務改善の違いが分からない方も少なくありません。本記事では、ビジネスプロセス改革の概要や業務改善との違い、成功へ導くポイントなどを解説します。

ビジネスプロセス改革(BPR)とは?業務改善との違いや成功に導くポイントを解説

ビジネスプロセス改革(BPR)とは?

Business Process Re-engineeringの頭文字をとり略したのが、BPRことビジネスプロセス改革です。ビジネスは仕事、プロセスは経過や過程、リエンジニアリングはビジネスにおけるプロセスの再構築、最適化を意味します。

BPRは日本語で業務改革と訳され「根本的」「抜本的」「劇的」「プロセス」の4要素を中心に、業務のさまざまな改革を進めます。BPRを正しく進めるためにも、まずはカギとなる4つの要素を理解しなければなりません。

ひとつめのカギである「根本的」は、物事が成り立つ大元、基本を意味します。従来のフローが本当に最適なのか、真に必要なのかと根本の見直しを行うのです。
「抜本的」は、根本の原因を抜き去り是正することを意味します。古いものや不要なものを根本から見直し排除するのです。

「劇的」が示すのは、小さな改善ではなく大きな改革です。目に見える効果、飛躍的な成果を得るためには、大規模な改革が求められます。

最後の要素である「プロセス」は、3要素から導き出した改革案を実行することです。

業務改善との違い

業務改善とは、業務における効率や得られる成果などを分析し、部分的な改善を行うことです。現状のフローに大きく手は加えず、問題点をピンポイントで洗い出し修正を施します。

たとえば、従来では書類の承認を得るのに3人の上役による署名・捺印が必要だったとしましょう。これでは承認を得るまでに時間がかかるため、署名・捺印は1人の上役でOKとし、効率化を図る、といった処置が業務改善の一例です。

一方、BPRは業務におけるプロセス全体を見直します。従来のフローを残そうとせず、新たなやり方を模索し実行するのです。

先述した、書類の承認を得るのに時間がかかりすぎる問題がある場合、業務改善では部分的な処置を行います。しかし、BPRでは、そもそもその書類が本当に必要なのか、ペーパーレス化にするべきでは、と根本的な部分に目を向け、大掛かりな改革を行うのです。

なぜBPRが注目されているのか

BPRは、最近誕生した言葉や考え方ではありません。近年、多くの日本企業がBPRを導入しようと取り組みを始めたため、にわかに注目を集め始めましたが、1990年代初頭には存在していた概念です。

BPRはアメリカで誕生しました。1993年に、元マサチューセッツ工科大学教授と経営コンサルタントの2人によって生み出されたものです。不況にあえぐアメリカ企業を救うための手法、考え方であり、両氏の共著「リエンジニアリング革命」により瞬く間に広がりを見せました。

日本で注目を集め始めた理由は、政府による働き方改革への取り組みです。企業を取り巻く環境は年々変化しており、従来と同じやり方では企業としての成長、利益の拡大が困難になりました。働き方改革の推進がひとつのきっかけとなり、企業は時代にマッチした組織へと変革を迫られているのです。

BPRの代表的な手法

BPRの考え方は理解できても、具体的な手法がわからなければ実践できません。BPRには代表的な手法がいくつかあるため、まずはそれを理解しましょう。以下、BPRでよく用いられる手法をピックアップしました。

フローチャートの作成

業務フローチャートとは、業務の流れやルールなどを図にしたものを指します。業務の標準化や改善が可能なことから、さまざまな業界においてフローチャートは用いられています。

BPRを進めるうえでも、フローチャートは有効です。業務におけるプロセスを可視化できるため、問題点の洗い出しが容易となるからです。問題点を明確に洗い出しできれば、業務の優先順位もつけやすくなるでしょう。

また、BPRを推し進めるうえで大切なのは、経営陣だけでなく改革が必要な部署、ひいては全社員が共通の認識をもつことです。フローチャートを作成し、課題の可視化や優先順位づけができれば、全社員で共通した認識をもてるため、BPRを効率よく進められます。

アウトソーシング

アウトソーシングとは、自社の業務を外部の企業へ委託することです。業務の一部をアウトソーシングすれば、人的コストの削減や主力業務への集中、社員への負担軽減などの効果が見込めます。

優先順位の低い業務や、わざわざ自社で行わなくてもよい業務に関しては、アウトソーシングの活用を検討してみましょう。一般事務やコールセンターをはじめ、外部委託できる業務内容は多岐にわたります。

ERP(経営管理システム)の導入

ERPは、Enterprise Resources Planningの略です。日本語では企業資源計画と訳しますが、一般的には統合基幹業務システム、経営管理システムと呼ばれます。

社内におけるあらゆる情報を一元化して管理でき、経営の効率化や判断スピードの向上といった効果が期待できます。

ERPの機能は多岐にわたり、財務や予算管理、販売、在庫管理などのほか、プロジェクト管理や人事管理なども可能です。経営の全体像を把握しやすく、BPRを推進する上でも力を発揮してくれます。事実、すでに多くの企業がERPパッケージを導入し業務改革に取り組んでいるため、検討する価値はおおいにあります。

ただ、ERPパッケージの導入にあたっては、莫大な費用が発生するのも事実です。企業規模にもよりますが、一般的に億単位のコストが発生するため、じっくりと検討したうえで判断しましょう。

シックスシグマ

シックスシグマは、品質管理のフレームワークとして知られています。統計学を活用したフレームワークであり、製品やサービスの品質を一定にする効果が期待できます。1980年にアメリカの「モトローラ社」により開発され、現在では「Amazon」や「ソニー」、「ダイソン」など世界の名だたる大企業も導入している手法です。

具体的な取り組みでは、DMAICプロセスが用いられます。DMAICは、各プロセスの頭文字を略した言葉で、それぞれの意味は以下の通りです。

  • Define 定義
  • Measure 測定
  • Analyze 分析
  • Improve 改善
  • Control 管理

この5つからなるプロセスを、流れに沿って繰り返し行うことで、現状の分析や課題の洗い出し、施策による効果などを把握できます。

BPRを成功に導くポイント

行き当たりばったりで実践しても、BPRを成功に導くことはできません。やみくもに取り組むのではなく、まずは大切なポイントを把握することから始めましょう。以下、BPRを成功へ導くためのポイントをピックアップします。

目的・ゴールを明確に

ゴールが見えない状況では、社員がどこへ向かえばよいのかわかりません。BPRを成功へ導くには、目的やゴールを明確にし、社員へ周知することが大切です。取り組みを始める前の設計段階で、ゴールは明確にしておきましょう。

また、BPRは社員任せにして成功できるものではありません。経営のあり方や事業方針などを根本から見直すこともあるため、経営陣が積極的に取り組む必要があります。

まずは経営陣がBPRの有用性やメリットを正しく理解し、率先して社員たちに目的や必要性を明示しなければなりません。

スモールスタートから始める

新しい取り組みを始めるときは、スモールスタートが基本です。いきなり企業全体でBPRを進めようとすると、現場の混乱を招いてしまい、いたずらに業務効率や業績の低下を招きかねません。限定的に実践し、様子を見ながら対象を拡大させていくのが成功への道筋です。

まずは、1~2部署で先行スタートしてみてはいかがでしょうか。実践しつつノウハウやデータを収集し、分析と結果の測定を行いながら少しずつ規模を拡大させていくのです。これなら、万が一失敗しても被害を最小限に留められます。

モニタリングと評価

BPRを導入しただけでは成功とはいえません。企業を根本から改革し、新たなステージへ進むための導入であるため、成果が出なければ意味がないのです。成果を出すには、取り組みをモニタリングし、分析や評価もしなければなりません。

モニタリングによって課題を抽出したら、きちんと分析して次につなげましょう。課題をそのまま放置せず、分析後に改善することが大切です。

ANF(Azure NetApp Files)でビジネスプロセス改革を成功に

BPRを成功させるため、ITツールやクラウドサービスを導入するのもひとつの手です。現在ではさまざまなサービスが存在しますが、おすすめは「ANF」です。

ANF(Azure NetApp Files)はマイクロソフト社の提供しているクラウドストレージサービスです。Azure上で動作し「VDI/WVD」「HPC」「Oracle」のクラウド移行もサポートしてくれます。

ストレージ管理コストが削減でき、従量課金制のためコストパフォーマンスにも優れています。規模の大きなSAP社製ERPパッケージ導入後においても、スムーズな安定稼働が期待できるサービスです。

まとめ

企業活動におけるプロセス全体を根本から見直し、企業運営の再構築を行うのがビジネスプロセス改革です。変化を続ける時代に取り残されず、成長を続けるにはBPRの導入が欠かせません。

ここでお伝えした、BPRの代表的な手法や成功へ導くポイントを理解し、全社一丸となって取り組みを始めてみましょう。

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