越境ECとは?その実態や市場規模について解説

 2020.04.15  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

インバウンド消費の高まりに伴い、リアル店舗での販売だけでなくオンラインで海外へ商品を販売する越境ECへの関心が高まっています。この記事では、新たな販路として期待されている越境ECの市場規模やメリットとデメリット、実際にはじめるにあたっての注意事項などについて解説します。

越境ECとは?その実態や市場規模について解説

越境ECとは?海外ECで販路拡大を目指す!

越境とは国境を越えることを意味する言葉ですが、そこから「国境を越えて商品を販売・配送するオンラインストア」のことを指す越境ECという新しい言葉が生まれました。

日本では「国内のオンラインストアで海外からの購入に対応している店舗」を指しますが、広義では「海外のECモール等に国内の事業者が出店して販売する店舗」も含まれます。本記事では広義の越境ECを対象にして紹介します。

越境ECの市場規模

経済産業省が発表した「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、世界の越境 EC 市場は2018年で6,760 億米ドル(約75兆円・売上高推計値)、2020年には9,940億米ドル(約110兆円・予測推計値)にまで成長すると予測されています。

(※1ドル110円で計算・2020年3月時点)

国内BtoCにおけるEC市場は2018年で17兆9,845億円です。それと比較しても世界における越境ECの市場規模が大きいことがわかります。

また、日本、アメリカ、中国の3か国を調査対象に絞って2018年現在の越境ECの市場規模をみてみると、日本では2,765億円、アメリカが1兆3,921億円、中国が3兆2,623億円となっています。

さらに日本の越境EC市場の内訳をみると、アメリカ経由の購入が2,504億円、中国経由の購入は261億円です。

一方、それぞれの国における日本の越境EC利用規模は、アメリカでは8,238億円、中国では1兆5,345億円と、アメリカとは3倍超、中国にいたっては58倍超もの開きがあります。

Paypalと調査会社のイプソスが2018年に行った調査によると、越境ECを利用したことがあるユーザーの割合は日本で6%、米国で34%、中国では42%でした。このことからも、上記の市場規模の差は当然の結果といえるでしょう

日本での越境EC利用が低い理由としては、国内ECサイトで十分満足できるとの回答が半数を占めました(50%)。

以下、外国語に苦労する(26%)、返品送料が割高である(25%)等の理由が挙げられています。

成長率から考えると、日本も含め、どの国においても越境ECが拡大傾向にあるのは間違いありません。その背景にはオンラインショップ利用のためのデバイス(スマートフォン・タブレットPCなど)や通信環境が整備されたこと、決済機能の多様化などによりEC利用自体が活発化していることがあります。

さらに、越境ECで購入できる事業者の増加も拡大に拍車をかけている理由とみてよいでしょう。今後もこの流れはつづくことが見込まれ、市場は益々拡大すると期待されています。

越境ECをこれから始める利点

越境ECをはじめるもっとも大きなメリットとして、商圏を選ばず取引ができるという点が挙げられます。

国内でのBtoCのEC市場規模に対して中国は約15倍、アメリカでは約5倍の市場規模があります。

国内市場よりはるかに規模が大きい海外市場を狙うことで、新規顧客獲得による売上拡大、販路拡大も可能です。

また、直接海外にリアル店舗を出店するのと比べて、越境ECではリスクを最小限に抑えられます。このことからも越境ECは海外に販路を拡大する選択肢として十分魅力あるものでしょう。

また、最近では越境ECに対応したプラットフォームも充実していて、参入ハードルが低いのもメリットです。

アメリカのAmazon.comやeBay、中国のTmall Globalのような現地モールへ出店する方法のほか、越境EC市場の拡大に伴い海外から楽天の商品が買えるRakuten Global MarketやECサイトの内容を翻訳して代理販売・発送するtenso株式会社の海外購入代行サービス「Buyee」のように、販売事業者側の負担が少ないサービスも増えています。

越境ECを行う際に直面する5つの課題

多くのメリットがある越境ECですが、国内企業が越境ECに参入しようとした場合、以下のような課題が考えられます。

言語の壁

海外からのユーザーを想定する場合、真っ先に直面するのは言語の壁でしょう。少なくとも英語で、市場規模を考えれば中国語を使って情報を記載することが求められます。

Google翻訳や有料の多言語翻訳サービスを利用するという選択肢もありますが、単に日本語を直訳することになるので、おかしな文章になっているおそれもあります。

この場合、商品の魅力や細かなニュアンスが伝わらないこともあるでしょう。

さらに海外からの問い合わせに対応する必要もあります。人件費はかかりますが、専用のスタッフを雇うのがおすすめです。

経費をかけたくない場合、限られたリソースのなかでどのように対応していくかが課題になります。

関税・国際輸送における取引規制

国ごと、商品ごとに異なる関税手続きや、商品を配送する先の国によっては基準に適合していないと通関できないリスクも想定する必要があります。

この点をしっかりと把握できていれば、輸送にかかるコストや時間の削減にもつながります。

国際輸送に関しては、公的なEMS(国際スピード郵便)をはじめ、民間業者であるDHL、UPS、FedExなどの配送業者があります。それぞれ送料が異なるため発送処理が煩雑になることにも注意が必要です。

また、海外配送でも破損しないよう厳重な梱包を行う必要もあるうえ、さまざまな配送トラブルに備えて保険加入についても検討するといいでしょう。

決済方法の違い

日本において決済方法は代引き、クレジットカード、コンビニ決済、それに最近では〇〇ペイのようなモバイルペイメントが主流です。しかしながら、海外では国ごとによってその傾向は大きく異なります。

例えば、中国ではAlipayやWechatPayでの支払い比率が高く、銀聯カードも依然として根強い人気があります。

また、アメリカではクレジットカードやデビットカードのほか、PayPalでの決済率が高いです。

PayPalはヨーロッパでも利用される決済方法で、クレジットカードのようにカード番号を入力することなく使えることから、オンラインショッピングの決済にはうってつけです。

これらの国をターゲットにするのであれば、少なくとも例に挙げた決済方法に対応することは必須になります。

このように越境ECに参入する際には、自社がターゲットにする国で主に使われている決済方法は必ず取り入れましょう。

また、GMO、ベリトランスなどの多様な決済方法を提供する決済代行サービスを利用するのもおすすめです。

為替のリスク

海外市場をターゲットにしている大企業では為替相場によって売上が大きく変わります。同様に、為替変動が越境ECの売上金額に及ぼす影響は大きいです。

企業の為替リスクを避けるには、商品金額を日本円で表記する方法があります。商品金額を米ドルなど他国の通貨で表記してしまうと、為替が変動するたびに、日本円に換算した売上が変動します。

はじめから日本円で表記しておけば売上は変わりません。この場合、為替リスクはユーザーが受けることになります。

そのため、これを嫌ってユーザーが利用を避けることにもつながりかねないので、どちらにリスクをかけるかについても検討しましょう。

販売国による法規制のリスク

当然ですが、国によって法律は異なります。よくあるのが化粧品や食品の添加物などの規制です。

例えばアメリカでは、添加物によって食品などに輸入制限が設けられている上、事前に税関申告が必要になります。化粧品に関してもアメリカ独自の法定基準を満たさないものは輸入禁止の措置が取られます。

また、中国では2019年に「中華人民共和国電子商取引法(EC法)」が施行されました。これにより越境EC事業者であっても一般貿易の扱いになり、販売にあたっては申請や認証取得が必要になります。

化粧品については日焼け止め、ヘアカラー剤などで国家食品薬品監督管理総局(CFDA)の申請が必要になるなど、煩雑な事前準備や手続きが必要になります。

さらに、ここ数年で特に注意が必要になったのが、個人情報についての取り扱いです。

EU加盟国及び欧州経済領域(EEC・EU28か国+アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインのこと)では、2018年から一般データ保護規則(GDPR)が施行されました。

これは域内の個人情報の取り扱いについて規定したもので、該当国の個人情報を扱う日本のEC事業者も対象になります。

2020年にはアメリカ・カリフォルニア州でカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)が施行されるなど、海外ではプライバシー保護に関する規定が次々と定められており、EC事業者には適切な対応が求められます。

越境ECを行うために必要なポイント

言葉の壁については、少なくとも英語対応は必要になります。

対象国のネイティブスピーカーに依頼して翻訳を行う、翻訳代行サービスを利用する、といった選択肢のほか、越境ECの運営代行を利用する、もともと多言語対応している越境ECサービスを利用するなど、運営状況に応じて使い分けるのもいいでしょう。

決済についても、海外ユーザーにとって有用な方法は外せません。グローバルなクレジットカード対応を基本として、中国をターゲットにするのであればAlipayや銀聯カードなど、欧米向けにはPayPalなどの決済方法を用意しましょう。

希望する決済方法が用意されていない場合には、ユーザーの離脱率が高くなる傾向にあります。

また、販売する商品がどの国・地域でどのような層をターゲットとするかの選定は非常に重要です。

調査専門業者に委託するのもいいですが、SNSのソーシャルリスニングやWebサイトのデータ分析などで確認するのもおすすめです。

商品プロモーションについては、無料で利用でき、ユーザーも多いFacebookやInstagramといったSNSを利用する方法が効果的です。

中国では独自のSNSが普及しているので、Weibo(新浪微博)やWeChat(微信)を使ったPRを行いましょう。

また、KOL(Key Opinion Leader)・網紅(ワンホン)と呼ばれるインフルエンサーの活用も視野に入れるのもおすすめです。

まとめ

越境ECは、今後の販路拡大や売上拡大を考えたときに効果的な選択肢になります。

国内の越境ECに関しては、アメリカ・中国からのユーザーが多いです。まずは英語と中国語でサイトを作り、両者からの購入を想定した取り組みを行うとよいでしょう。

リスクが少ない代行サービスの利用も含め、越境ECの参入を考える価値は大いにあります。

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