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データドリブンとは?その意味やポイントなど知っておきたい基本を解説

競合他社にはない付加価値を創出し、市場の競争優位性を確立するためには、定量的なデータ分析に基づく経営戦略が欠かせません。そこで重要な役割を担うのが「データドリブン」です。本記事では、データドリブンの概要やメリット、データ分析の実行プロセスについて解説します。データ活用を推進している企業は、ぜひ参考にしてください。

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データドリブンの意味

「データドリブン」とは、データを起点として行われる意思決定の一連のプロセスを指す概念です。「Data Driven」を直訳すると、「データを起点にした」や「データに基づく」といった意味合いになります。勘や経験などの主観的かつ定性的な要素に頼るのではなく、客観的かつ定量的なデータ分析に基づく意思決定を行うことが、データドリブンの目的です。

このようなデータ駆動型の経営体制を「データドリブン経営」と呼びます。また、市場調査や需要動向などのデータ分析を起点とする販売戦略は「データドリブンマーケティング」と呼ばれます。このようなデータを起点とするビジネス戦略が求められる背景にあるのは、DXの実現です。DXの本質的な目的は、単なるデジタル化やクラウド活用ではなく、それらの技術を最大限に活かし、市場における競争優位性を確立することにあります。

その実現を目指すうえで欠かせない要素のひとつが、データドリブンです。現代はAIやIoTといった技術革新による「第4次産業革命」の過渡期といわれており、テクノロジーの進歩・発展に伴って、企業が取り扱うデータ量は爆発的に増大しています。この膨大なデータを活用し、分析によって得た知見を起点として経営戦略やマーケティング戦略を立案・策定していくことが、事業領域におけるデータドリブンの目的といえます。

データドリブンのビジネス環境を整えるメリット

ここからは、データを起点とした経営環境を整備することで得られるメリットについて見ていきましょう。主なメリットとして挙げられるのが、「変化対応力強化とニーズの把握」と「属人性を抑えた判断・意思決定」です。

変化対応力強化とニーズの把握

1990年代後半から2000年代初頭にかけてIT革命が起こり、さまざまな産業がその恩恵を受けて飛躍的に発展しました。しかし、社会や経済の発展は苛烈な競争原理のもとに成り立っており、市場の競争性は激化の一途を辿っています。同時に市場環境の変化も加速しており、消費者や顧客のニーズは多様化し、製品ライフサイクルは短縮化していく傾向にあります。

このような時代のなか、市場の競争優位性を確立するためには、企業を取り巻く環境の変化に柔軟に対応できる経営基盤が不可欠です。たとえば、データドリブンをマーケティング領域に活用できれば、市場の動向や消費者ニーズの小さな変化を捉え、柔軟かつ迅速に対応できる経営基盤の構築に寄与します。また、市場調査や需要動向から消費者インサイトを発掘し、潜在ニーズを捉えたマーケティング戦略やプロモーション展開が可能になる点も大きなメリットです。

属人性を抑えた判断・意思決定

変化の加速する現代市場において重要な経営課題のひとつが、スピーディかつ的確な意思決定です。企業経営は選択の決断の連続であり、決断から実行に至るリードタイムが長くなるほど、市場への対応が後手に回ります。これは、経営層や管理職によるマネジメント領域はもちろんのこと、従業員のオペレーション領域においても同様です。

データ分析基盤の構築によってデータドリブンなビジネス環境を整備できれば、特定の人材がもつ経験や勘に頼らない意思決定が可能となります。客観的な視点に基づくロジカルな意思決定を実行できるため、正確さだけでなく判断のスピード向上にもつながるでしょう。また、トップセールスマンや熟練工などがもつ暗黙知を分析して形式知へと落とし込み、属人化していたプロセスを標準化することも不可能ではありません。

データドリブンの意思決定を行うためのプロセス

データを起点とした意思決定を下すためには、データ分析における基本的なプロセスを理解しなくてはなりません。データ分析は基本的に、「収集」→「加工」→「蓄積」→「可視化」→「分析」→「活用」というプロセスを辿ります。ここで重要なのが、データ活用における目的の明確化です。

データ分析の実行はあくまでも手段であり、本質的な目的はデータドリブンによるビジネス課題の解決や付加価値の創出です。既存データありきで考えるのではなく、目指すべきデータ活用のイメージを明確化したうえで、分析プロセスの実行に移す必要があります。

収集・加工・蓄積

データ分析における最初のステップは、素材となるデータの収集です。収集元はERPやCRM、データベースなどに保管されているデータですが、目的によっては情報を新たに取得するケースもあります。この段階では複数のシステムにデータが保管され、情報がサイロ化している状態です。このままでは分析に時間とコストを要するため、まずはあらゆる形式の生データを保管するデータレイクに、情報を集約・統合するのが一般的です。

次はETLツールを用いて、収集したデータを抽出し、前処理を施して分析しやすい形式に加工します。ETLツールによって加工されたデータは、構造化データのみを保管するデータウェアハウスに蓄積されます。このデータレイクに収集されたデータをETLツールで抽出・加工し、データウェアハウスに蓄積するという流れが「収集・加工・蓄積」の基本的なステップです。

この時点で3つのソリューションが必要となり、オンプレミス環境にこれだけのシステムを構築するのは、導入費用や運用コストを考慮すると現実的ではありません。そのため、「Microsoft Azure」のようなデータ分析に特化したソリューションが多数搭載されている、IaaS・PaaS型のクラウドコンピューティングの導入が推奨されます。

可視化

データウェアハウスに蓄積されている構造化データを可視化するフェーズです。データの傾向やパターン、規則性、偏りなどを、グラフやフローチャートを用いて視覚的に表現します。このプロセスによって、言語や数値だけでは理解しにくいデータを俯瞰的な視点から分析できます。手作業によるデータの可視化は非効率的なため、BIツールや機械学習といったソリューションの活用が必要です。

分析

可視化されたデータをさまざまな手法で分析するフェーズです。一例としては、可視化されたグラフから各製品の売上割合を分析したり、折れ線グラフで販売数の推移を調査したりといった分析手法が挙げられます。また、こうした定量的な分析も重要ですが、場合によっては定性的な分析も必要です。たとえば、Webサイトに流入したユーザー動向を把握するためには、ヒートマップ調査のような定性分析が有効といえます。

活用

データ分析の知見をもとに意思決定を行い、現実的なアクションへとつなげるフェーズです。データ分析から仮説を立てて、具体的な戦略を立案・策定し、実行によって得られた結果を改善する、というプロセスを繰り返します。「計画(Plan)」→「実行(Do)」→「評価(Check)」→「改善(Action)」のPDCAサイクルを回し続けることで分析精度が向上し、同時に事業目標の達成確率も高まっていくでしょう。

データドリブンの経営環境を構築・定着させるためのポイント

データを起点とした経営環境を構築するうえで重要なポイントは、組織文化の醸成です。現代はクラウドコンピューティングや高速通信網の普及により、データ分析基盤を整備しやすい環境が整いつつあります。しかしデータは、分析するだけでは意味を成さず、マネジメントやマーケティングなどの領域に活用してこそ真価を発揮します。

そのためには、データ分析基盤の整備とともに、デジタル技術やデータ活用に精通した人材を育成・確保しなくてはなりません。データの収集・加工・蓄積のプロセスを経てBIツールで情報を可視化しても、得られた知見を最大限に活用するためには、やはりデータサイエンスの領域に長けた人材が求められます。そして、組織全体で継続的な改善に取り組みながら小さな成功体験を積み上げ、データ駆動形の組織文化を醸成していく必要があります。

まとめ

現代はデジタル技術の高度化とともに、データ活用の重要性が高まっています。不確実性が増大していく市場に対応していくためには、勘や経験に頼らないデータを起点とした経営体制を構築しなくてはなりません。DXを実現し、新たな市場価値と優れた顧客体験を創出するためにも、ぜひデータドリブンの推進に取り組んでみてください。

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