小売業

データサイエンティストとは? 貴重な人材を採用し経営に活用する方法

近年、企業がビッグデータやAI技術を導入し、それらをビジネスに活用する「データサイエンティスト」が重要視されています。本記事では、データサイエンティストの概要や重視されている背景、人材を採用する際のポイントなどについて解説します。DXを推進する際は、ぜひ参考にしてください。

データサイエンティストとは? 貴重な人材を採用し経営に活用する方法

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データサイエンティストの定義とは?

昨今、注目を集めている職業のひとつに「データサイエンティスト」があります。データサイエンティストとは、企業の事業について、さまざまなデータを用いて課題を整理し解決に導き、新しいビジネスや価値創造を提案する職業です。ITスキルだけではなく、事業の全体像や経営に関する知識など、幅広いスキルを求められるのが特徴です。

従来の企業においては、経営者の経験や勘を頼りにビジネスを推進するケースがよく見られました。しかし、不確実性が高まる現在のビジネス環境では、そうした曖昧な指標に基づく経営を続けるのはリスキーといわざるを得ません。目まぐるしく移り変わる市場・顧客ニーズに対応するためには、デジタル技術やAI、ビッグデータなどを有効活用して、変化に対する即応力を身につける必要があります。

こうした事情から、ITスキルや市場トレンドなど、ビジネスに関する幅広い知識をもつデータサイエンティストは、今後ますます需要が高まっていくと見られています。

なぜデータサイエンティストが求められているのか?

では、なぜ今データサイエンティストが各企業から求められているのでしょうか。その背景には、デジタル技術の発達が大きく関係しています。

2000年代以降、スマートフォンや各種SNSなどが誕生し、急速にICT(情報通信技術)化が進んだことで、企業が扱うデータ量は膨大となり、「ビッグデータ」という概念が生まれました。また、その膨大なデータをビジネスに役立てるべく、AI (Artificial Intelligence:人工知能)などの解析技術も進化しています。つまり、デジタル技術の発達により、ビッグデータやAIを用いて新しいビジネスを創造する動きが高まってきたのです。

しかし、ビッグデータの分析・活用にあたっては、一定水準の専門的なスキルが必要です。そこで企業はデータ活用を推進するための人材として、データサイエンティストといった職種を求めるようになったのです。

データサイエンティストの仕事内容

データサイエンティストの役割は、社内外に分散しているさまざまなデータの中から必要なものを収集・整理し、データベース上に格納することからスタートします。データは基本的に数字の羅列であるため、それらが何を意味しているのかを分析しなければ意味がありません。

そこで、データサイエンティストが「分析」によりデータがもつ意味を明らかにし、誰でも理解できるようにBIツールなどを用いて「可視化」するのです。データのもつ意味をビジュアル化できるようになれば、業務へ反映し、ビジネスの改善につなげていきます。

ただ、これら一連の作業をスムーズに回すためには、データサイエンティストなど専門的なスキルをもった人材が欠かせません。そして、どの企業もそうした人材をなかなか確保できずにいるのが現状です。

データサイエンティストはどうやって採用する?

現在、データサイエンティストは売り手市場となっており、容易に希望通りの人材を確保できるとは限りません。しかし、組織内でデータ活用を担う人材がいなければ、DXも滞ってしまいます。では、希望の人材を確保するために、企業はどのような取り組みをすればよいのでしょうか。

育てる前提で新卒採用する

企業が人材を採用する方法には、大きく分けて新卒採用と中途採用があります。新卒の学生を採用する場合、すでに即戦力を備えたデータサイエンティストはそもそも母数として少ないため、他社との取り合いになり、あまり現実的ではありません。中には、能力の高いデータサイエンティストには数千万円規模の年収を提示する企業もあり、なかなかスムーズにはいかないでしょう。

そのため、多くの場合はデータサイエンティストとして育成する前提で新卒採用します。その際、畑違いの専攻分野を学んだ学生よりも、ある程度素質のある人材を採用して育成したほうが、早く即戦力となってもらえるため効果的です。たとえば、データサイエンス専攻の大学院生や、IT関係の学部生などを中心に採用活動を行うとよいでしょう。

質の高いデータサイエンティストを中途採用する

一方、中途でデータサイエンティストを採用する方法もあります。前述したように、採用市場におけるデータサイエンティストの人材価値は非常に高く、他社よりも高い年収条件を提示できるかどうかがひとつの壁となります。思い切った条件を出せなければ、単純に人材募集のみでの採用は難しいと考えられるでしょう。

そのため、さまざまなチャネルを通じて募集することが不可欠です。具体例としては、昨今注目を集めている「リファラル採用」が挙げられます。これは、自社の社員を通じて推薦してもらう採用方法ですが、スキルや能力を見極めたうえで最終的に採用の可否が決まるのが特徴です。

また、フリーランスのデータサイエンティストを採用する方法も、コストや契約方法の柔軟性といった面で有効でしょう。

データサイエンティストを活用するために必要なこと

データサイエンティストの採用にあたっては、自社でどのように人材を活用したいのか、企業としてのビジョンを明確化する必要があります。優秀な人材を自社で効果的に活用するため、企業にはどのようなことが求められるのでしょうか。

データ収集体制を整える

社内の各部署に独立したデータが散在している事例は少なくありません。データがきちんと整理されていなければ、それらを活かし、ビジネスにつなげるのはハードルが高いでしょう。企業がデータサイエンスを行う際は、分散したデータの中から必要なものをピックアップし、一元的に整理することが必要です。

そこで、自社にデータサイエンティストを迎え入れる前には、部門横断的なデータ収集・整理が可能になる環境づくりを、ハード面・ソフト面からそれぞれ検討しましょう。たとえば、データプラットフォームを構築したり、分析に便利なBIツールを整備したり、社内の連携体制を見直したりすることなどが挙げられます。そうしたビッグデータを的確に扱える環境があってこそ、データサイエンティストの能力は最大化できるのです。

組織の柔軟性を確保する

組織でデータ活用を推進する際に有効なフレームワークとして、以下の5要素で構成される「PPDACサイクル」があります。

  • Problem(課題設定)
  • Plan(計画)
  • Data(データ収集)
  • Analysis(分析)
  • Conclusion(結論)

つまり、客観的に課題を特定し計画を立てたあと、データ収集や分析を行い、一旦結論を出すという流れです。このサイクルを回すことで、組織間での連携を強化でき、全社的なデータ活用を進められるでしょう。また、一度きりで終わりではなく何度もサイクルを回すことで、よりよい結論を導き、最適な課題解決を図れるようになります。こうした点から、PPDACサイクルはデータサイエンスと親和性が高いと考えられます。

データドリブンの経営に転換する

経験や勘といった主観だけでなく、客観的なデータに基づき意思決定する経営手法を「データドリブン経営」と呼び、近年ではさまざまな企業が採り入れています。その本質は、データ活用による経営を進め、市場における優位性を獲得・維持することにあります。

企業がデータドリブン経営を行うためには、データサイエンティストがもたらした知見が不可欠です。しかし、データによって意思決定が行われ、迅速にビジネスへ反映し改善へとつなげられる社内体制が構築できていなければ、知見は活かせないでしょう。逆に、こうした社内体制が整っている企業は、優秀なデータサイエンティストにとって魅力的であり、企業は高い評価を得られるのです。このように、データドリブン経営の推進は採用活動の面でも有利に働くため、企業側とデータサイエンティストの双方に利する取り組みといえます。

まとめ

昨今、企業を取り巻く環境は大きく変化し、ビッグデータやAIを扱えるデータサイエンティストが求められています。しかし、母数自体がまだ少なく、優秀なデータサイエンティストを確保するのは容易ではありません。まず経営者が先導を切り、データドリブン経営を進めて社内の環境を整えることで、全社的なDX化を進められます。同時に、データサイエンティストを採用しやすくなり、データ活用におけるビジネスも実現できるようになるでしょう。

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