デジタルピッキングとは?メリットや効果について解説

 2020.04.24  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

製造業や小売業において、規模が拡大するにつれて扱う商品や部品なども多くなり、ヒューマンエラーに悩まされるケースも少なくありません。そこで、ヒューマンエラーの防止に役立つデジタルピッキングシステムの概要とメリット、解決例などをご紹介します。

デジタルピッキングとは?メリットや効果について解説

デジタルピッキングシステムとは

デジタルピッキングシステム(Digital Picking System:DPS)とは、物流センターの倉庫や製造工場などを中心に採用されている在庫払出などの作業支援システムです。商品の棚にあらかじめ専用の表示器を設置しておき、表示器と棚、および棚と商品をそれぞれシステムで紐づけます。作業者が商品をピッキングする際に、該当商品が入った棚に設置された表示器が光るため、作業者はランプのついた棚から商品を取り出すだけでよくなります。

また、デジタルアソートシステム(Digital Assort System:DAS)などと組み合わせることで、まとめてピッキングした商品を発送先ごとに種まき式で仕分けしたり、誤ってピッキングした商品を検知したりすることも可能です。人がリストを使って手作業でピッキングするよりも、はるかに効率的で精度の高い作業を実現できるのが特徴です。

導入するメリットと効果

デジタルピッキングシステムの導入は作業指揮者だけではなく、作業者にも多くのメリットがあります。デジタルピッキングシステムを導入するメリットと効果は以下のとおりです。

ヒューマンエラの防止

まず、デジタルピッキングシステムでは、ほとんどの作業を機械化し、無線で信号を送り指示するため、ヒューマンエラーの防止に役立ちます。

例えば、通販事業で出荷する商品を倉庫に保管している場合、従来は注文のあった商品をピッキングリストとして紙に出力し、手作業で探し出していました。その作業工程では商品とリストが紐付けされていないので、「そもそもリストが正しく出力されているか?」「指定の棚から確実に商品を取り出したか?」「正しい規格の商品を取り出したか?」といったヒューマンエラーが発生するポイントが多数存在します。

一方、デジタルピッキングシステムでは、商品のある棚を機械的に指示するだけであるため、ヒューマンエラーの発生ポイントを極限まで減らすことができます。例えば、シリーズでパッケージが酷似している商品があっても、迷わずにピッキングできます。また、商品の棚の位置が変わっても、確認するのは商品の外見ではなく棚の表示器が光っているかどうかであるため、商品の特徴を覚える必要がありません。新商品の入荷にあたり棚の位置を変更しても、作業者の慣れを待つことなく、これまでと変わらない作業が可能です。

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ペーパーレス化によるコスト削減

デジタルピッキングシステムでは、ピッキングに関するすべてのデータをデジタルで管理します。今まで1つの注文ごとに紙に印刷していた場合、膨大な量の紙束が発生していたはずです。デジタル化すればこのような用紙代や印刷費、紙の処分費に至るまで一切不要になります。また、誤って作業途中に用紙ごと紛失するなどのミスも起こりません。作業の終わったピッキングリストを一定期間保存する場合も、物理的な場所を用意せずに済みます。

生産性の向上

デジタルピッキングでは、すべての商品の棚を登録し管理するため、従来の作業方式で生じていた作業のロスを大幅に削減・効率化できます。まず、常に作業者に対してピッキングの最短ルートを指示できるため、該当商品を探し出す時間を削減できます。棚から取り出す数や投入する間口が自動的に表示されるため、その都度リストと見比べる手間もありません。また、文字ではなく、表示器のランプが光る形になっているため、照らし合わせる作業が大幅に省略され、読み間違いなどのミスによるエラーを防止できるのもメリットです。全体的な作業時間が短縮された結果、リスト式に比べて作業効率が2倍になった事例もあります。

新人でも対応しやすい仕様

ピッキング作業に商品知識が必要なくなることから覚える内容が少なく、新人でも簡単に作業に従事できます。デジタルピッキングの普及に伴い、倉庫内でのアルバイトなど、過去に別の場所での作業経験があれば、同じ要領で作業しやすいのも作業者にとってメリットでしょう。リスト式のやり方に比べて、求人にも人が集まりやすくなると考えられます。あるいは、いくつもの荷主から荷を預かる物流倉庫で担当の変更があったとしても、システムが同じであればすぐに対応できます。たまたま作業者数が少ない日や、物量の多い時など、他の部署から応援を呼んですぐに作業に入ってもらえるでしょう。

導入の際の注意点

デジタルピッキングシステムは作業を効率化できる可能性がありますが、現場の状況によって導入の向き不向きがあります。導入効果を最大限に発揮させるためには、以下の注意点について検討してから判断しましょう。

コストがかかる

デメリットのひとつにコストが挙げられます。内部のシステム構築はもちろん、各棚に表示器を設置するため、規模に応じた初期投資が必要です。導入に向いているのは物流倉庫や各種メーカーなど、ある程度規模が大きい現場で、商品数や出荷先の少ない個人経営の商店では導入してもコストに見合った効果が得られにくいでしょう。また、ランニングコストもかかるため、作業の効率化にコストが見合うかを判断する必要があります。

保管場所の変更が難しい

商品の場所がデジタル管理されているため、気軽に商品の位置を変更・追加することが難しくなります。従来のようにあらかじめ決めた場所に商品を置くだけではなく、商品の在庫管理を徹底しなければなりません。商品の入れ代わりが激しい場合や、商品ごとのサイズ差が大きく一律で管理しにくい場合は、一部の商品を手作業でピッキングするなど工夫が必要になるケースもあります。

トラブル発生時に復旧対応が必要

デジタルピッキングシステムは、システムトラブルや停電などの理由から利用できなくなるケースがあります。復旧するまで全体の作業がストップしてしまい、ピッキング作業従事者を手持ち無沙汰にさせるリスクも考えられます。知識のある人間が復旧対応に当たらなくてはならず、使用できない緊急時のマニュアルも必要です。

デジタルピッキングシステムの活用事例

最後に、実際にデジタルピッキングシステムの導入・活用事例をいくつかご紹介します。

ライン作業の履歴管理

ピッキング作業はデジタルで指示されるだけではなく管理もされるため、作業の履歴管理が容易になります。ある製造業の工場では、作業工程で商品に合わない大きさの工具を使ってしまうヒューマンエラーが課題でした。そこで、デジタルピッキングシステムを用いて、部品を検知すると表示器に正しい工具が示されるシステムを構築したところ、ヒューマンエラーが減り、正しい順番で作業されていることも履歴に残るようになりました。作業工程やミスの多い部分をデータ化して後から見直すこともでき、作業環境の改善と品質保証業務にも貢献した事例です。

ヒューマンエラーの防止

ある倉庫ではリスト式でのピッキングを実施していましたが、類似した部品が多数あることから商品の取り違えが多数発生していました。そこで、デジタルピッキングシステムを導入したところ、目視や重さで判断する必要がなくなり、0.1mmの差しかない小さな部品も取り違えることがなくなりました。部品をそれぞれまったく別のところに配置しても迷わず取りにいけるという特徴を活かして作業効率を大きく向上させた事例です。

教育期間の短縮

ある組立工場では作業する工程が多く、新人が入った場合に1から覚えてもらわなければなりませんでした。その結果、教育に時間をとられ、教育担当が新人教育に割いた時間だけ作業に遅れが出てしまう点が課題でした。しかし、デジタルピッキングシステムを導入したところ、教育期間が1週間からわずか2日に短縮されたため、人件費など教育コストの削減にも繋がりました。

まとめ

デジタルピッキングシステムは、現場エラー防止や作業効率の向上に大きく貢献するシステムですが、導入の際の注意点もあります。しかし、デジタルピッキングシステムは現場によって様々な活用が期待できるため、ピッキング作業に課題を多く抱えている場合は検討してみてはいかがでしょうか。

Factory of the Future製造現場が抱える課題。解決の鍵は「デジタル化」です。

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