建設業界におけるDXとは?

 2021.04.23  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

近年耳にすることが多くなってきたDX(デジタルトランスフォーメーション)は、業種を問わず各企業の課題となっており、建設業界もその例外ではありません。建設DXについて理解を深め、必要な対策を行っていなければ、時代に取り残される可能性もあります。この記事では、建設業界の現状やDXについて詳しく解説します。

建設業界におけるDXとは?

建設業界の現状

オリンピック関連事業や都心各地で行われている再開発事業など、建築業界の需要は高まっています。一方で、建設業界では新しい人材が確保できないことにより、深刻な人手不足や技能継承の停滞などが大きな問題となっています。

建設業の就業者数は、1997年の685万人をピークに大きく減少傾向にあり、2020年には492万人となっています。(総務省統計局「労働力調査」主な産業別就労者数より)休暇・賃金など労働環境の整備不足などにより、入職者が少なかったり入職しても定着しづらかったりしているのが原因のひとつです。また、建設業に限りませんが、少子化による労働人口の減少にも、大きく影響を受けているといえるでしょう。

そのような中、建設業界でも高齢化が進んでいます。次世代の人口が増加せず、ノウハウを十分に伝えられないまま現役を退くベテランが、今後も増えることが懸念されています。

建設業界のDXとは

現在、さまざまな業界で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が注目を集めており、建築業界でも取り入れる企業が増えています。オフィスワーク中心の企業に限らず、あらゆる職種・形態の企業がDXを取り入れ、業務の効率化や利益の向上につなげているのです。ここでは、DXの概要と、建設業界でDXが注目されている理由を解説します。

DXとは

DXとは、スウェーデンの大学教授であるエリック・ストルターマン氏が2004年に提唱した概念です。その内容は、「IT技術の浸透は、人々の生活をあらゆる面でよりよいものへと変える」というものです。

この考えを前提に、現在日本で推し進められているDXは、経済産業省の呼びかけによるものです。2018年、経済産業省は「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver.1.0」を取りまとめました。その中で、DXは以下のように定義付けられています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」。まとめると、「ITを活用して製品やサービスの質を向上させたり業務の効率化を図ったりすることによって、消費者と自社の利益に繋げよう」ということになります。

IT化との明確な違いは、その目的です。IT化は、製品やサービスの質の向上や業務の効率化のために、人力で行われていた作業をデジタル化するというのが主な流れでした。一方DXでは、IT化を経て得られる、消費者の利益やと自社の組織風土・ビジネスモデルの革新などが目的になっています。

建設業界のDXが注目される背景

2019年末から世界中へ拡大した新型コロナウイルスの影響で、あらゆる業界において、ビジネスのオンライン化が急速に進行しました。オンライン会議やテレワークなどが多くの企業に浸透し、これまでは必要なかった企業でも、IT環境を整備せざるをえなくなりました。つまり、今多くの企業でビジネスモデルが変革されつつあるということです。

また、「2025年の壁」も大きな問題となっています。これは、2018年に経済産業所がまとめた「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」で提示された問題です。このレポートでは、多くの企業のシステムで老朽化が進んでいるだけでなく、カスタマイズしたことによりシステムがブラックボックス化(全貌がよくわからない状態)していると指摘しています。そして、この状態を改善できなければ、2025年以降、日本経済は年間最大12兆円の損失が生まれる可能性があると警告しています。

これらに加え、建設業界では、人手不足やノウハウ継承の問題があります。少子高齢化が進み、今後、人員の大幅な増加が見込めないなかでは、いかに人員を割かずに事業を維持・成長できるかが重要になるでしょう。こういったことから、DXを取り入れること、つまり、IT活用によってビジネスモデルを抜本的に改革する運動が注目を集めているのです。

DXで解決できる建設業界の課題

DXを取り入れることにより、業務の効率化やノウハウの継承、省人化などが叶えられ、建築業界の課題を解決できます。ここでは、それぞれどのようにIT技術を活用するのかを、具体的に解説します。

業務の効率化

業務の効率化につながるIT技術でひとつ挙げられるのは、BIM/CIMの導入です。従来は2次元の図面を利用していた建設生産プロセスにITを導入し、コンピューター上の3次元モデルを使用します。

最新のICT(情報通信技術)を活用し、計画・調査・設計・施工・維持管理の各段階で3次元モデルに書き加えていくことで、情報共有が容易になります。2次元の図面を使用する場合に比べて関係者全員が図面を理解しやすくなり、合意形成の早期成立や、作業の確実性・効率性の向上が期待できるとされています。

また、工務店などではCRM(顧客管理)やSFA(営業自動化)などのシステムが導入しやすいでしょう。SFAには顧客管理に加え、案件や商談、プロセス、売上などを管理するツールも備わっているため、業務の効率化や人手不足の解消が期待できます。

次世代へのノウハウ継承

建築業界の高齢化が進んで熟練技術者が減少していますが、建設現場業務の新しい担い手は十分に確保できていません。一部の企業では現状の生産性の維持すら厳しい状況であり、これまでと同等の人員や若手の熟成を期待している猶予はありません。したがって、これまでとは異なる現場作業の進め方・ノウハウの引き継ぎ方を検討する必要があります。

たとえば、先述したBIM/CIMを用いると、熟練技術者が何の情報をどのように判断したのかがわかります。そのときには理解しきれなかったり、その案件に関わっておらず直接見聞きしていなかったりした場合でも、あとからモデルを参照することで技術を学ぶことができます。

また、AI技術などを活用すると、作業の質が高水準で安定します。これまでは熟練技術者にしかできなかったような作業も、AIを使うことにより誰にでもできるようになるのです。

省人化の推進

省人化を推し進めると、作業の効率化や危険な作業の回避ができ、残業時間の削減や作業員の安心感などの働き方改革にもつながります。また、建設現場や休憩場所、事務所などでは、勤務や休憩の時間をずらしたとしても3密が発生する可能性は高まりますが、省人化はその回避にも貢献します。

たとえば、5G回線などの基幹テクノロジーや情報通信機器を活用することで、高性能な通信ができます。従来は建設現場で行っていた施工状況や指定材料の確認作業、監督業務などを、遠隔地にある事務所や自宅から行えます。現場の作業を少人数で進めるためには、事務所とのスムーズなコミュニケーションに不可欠な、クラウドやコミュニケーションツールなどを整備することも大切でしょう。

すでに施工段階では、重機の遠隔操作による破砕・掘削・運搬・設置などを取り入れている企業もあります。今後、テクノロジーが進化すれば、遠隔操作または自動で行われる作業の範囲はさらに広がるでしょう。

まとめ

ニューノーマル時代を迎え、2025年の壁も差し迫っている今、人手不足などの問題もある建設業界では、DXを取り入れるのは必須課題です。決して手軽な投資とは言えませんが、今投資をしなければ、デジタル化が進む市場では淘汰される可能性もあります。自社に取り入れやすいものを見極め、今から準備を進めることが大切です。


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