日本の製造業のDXとは?

 2021.04.23  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

日本の製造業は、グローバル化に伴う競争の激化に加えて、少子高齢化による生産年齢人口の減少など、様々な環境変化への対応が求められています。そうした製造業が抱えている課題の解決策として注目されているのがDXです。本記事では、日本の製造業の現状やDXの必要性などについて詳しく解説します。

日本の製造業のDXとは?

製造業における現状と課題

昨今、ITの発展や消費者の行動・ニーズの変化、人口の減少および少子高齢化など、様々な問題が製造業にも影響を及ぼしています。各製造業者が直面している課題を解決するためには、まずこれらの現状を把握することが大事です。そのうえで、どのように解決していくのか、具体的な手法を検討しましょう。
以下では、製造業が置かれている現状について解説していきます。

少子高齢化による人材不足

日本全体で少子高齢化が進んでいます。政府などが推し進めている対策が効果をあげないかぎり、働き世代の人口は減少し続けていくでしょう。製造業においても少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が問題視されており、すでに人手不足で悩んでいる現場も多く存在しています。現在人手に困っていないという企業でも、今後同じ運用形態をとり続けたのでは、いつか人手不足に陥る可能性は高いでしょう。それほどまでに、人口減少は喫緊の課題なのです。

これからは、より人材の奪い合いが激化していくと見られており、その奪い合いは製造業界に限らず、日本の市場全体で争うことになります。そのため各企業は、より従業員が働きたいと思うような環境を構築しなければ、衰退してしまうでしょう。たとえ現状で売り上げが好調であったとしても、一定以上の人材を前提としている場合には、人材確保のための取り組みも欠かせません。
製造業に古くからある「きつい」「汚い」「危険」という「3K」のイメージのままでは人材の確保は難しく、若い世代に応募してもらうことは叶いません。このような先入観をなくし、同時に良い点を上手くアピールできるようにしておかなくてはならないでしょう。

技術継承の停滞

日本の製造業が抱える他の課題としては、技術の継承が難しいということが挙げられます。下の世代に技術を継承することがスムーズに行われておらず、停滞してしまっている現場も少なくありません。そうすると技術者の高齢化が進み、いつかその技術やノウハウは失われてしまうでしょう。現状、技術者が現役で活動できているとしても、いつか引退するときに備えて継承しておく、あるいはいつでも継承できる状況を作り出しておかなくてはなりません。引退してから引継ぎをしたのでは、業務自体が継続できず、ストップしてしまうおそれもあります。
なお、継承が停滞している原因としては、単純に継承する相手となる若手人材がいないことや、ITの活用不足などが挙げられます。
人材の問題である場合には環境を改善して優秀な人材を呼び込めるように体制を整えなければなりませんし、継承にかかる技術的なことが問題なのであれば、ITツールを使うなどして対応できないか検討すべきでしょう。ノウハウを引き継がせるのに直接的に役立つものがなくても、それをサポートする形で利用できるものも少なくありません。
従来のように技術者個人の感覚や勘に頼るのではなく、熟練者の判断力・スキルなどをデータ化し、属人化を防ぐということも大事です。これが実現できれば、技術者の練度が低くても素早く同等レベルの生産ができるようになりますし、人の流動があっても問題なく対応していけます。

IT活用不足

前項でも少し触れましたが、ITはあらゆる業界に活用でき、非常に大きな役割を担います。そして現代においては自社で開発しなくても、自社業務に有用なツールが使えるようになっています。それも、従来ほど大きなコストをかける必要もなくなっており、低コストで大きな効果が期待できるでしょう。
しかしながら多くの製造業者でITの活用ができておらず、他の先進国と比べてもその導入状況は芳しくありません。
これには従来のやり方への固執、IT導入にかかるコストへの懸念などが関係しています。
そもそもITを活用という発想自体ができていないという例も多く、日本の製造業界全体で今後取り組むべき大きな課題と言えるでしょう。

製造業におけるDXとは

現状、製造業には以上のような課題があります。そこで近年注目を集めているのがDXです。デジタルトランスフォーメーションの略称で、デジタル化を前提とし、データの有効活用等による改革を目指します。
例えば、人の感覚に頼って行なっている作業も、製造業にはいまだ多く残っていますが、DXの考え方を取り入れて改革していくことで、より生産性を向上させられると期待されています。製造プロセスの属人化を防ぎ、代わりにデータ化、業務の自動化を目指すからです。

DXの必要性

DXの必要性は、上記課題の解決に効果的であることからも説明できます。最適な形でDXを進めることができれば大幅に業務効率は向上し、従来に比べて少ない人員で同等以上の成果を出せるようになるでしょう。
それにより人手不足の問題に対処しやすくなりますし、人の負担が減ることで、より働きやすい職場になります。そうすることで優秀な人材も確保しやすくなるでしょう。多くのプロセスが属人的でなくなり、技術継承に関しても問題となる例が少なくなります。
また、他社との競争という観点でもDX推進は必要です。現在は市場の変化が激しく、世界のマーケットで競争力を維持するためには、新たな製品・サービスの生産にスピーディに対応していかなくてはなりません。
また消費者のニーズも絶えず変化していくため、これに追随していけるよう体制を整えておかなくては、安定的な企業活動の実現は難しいでしょう。このように、DXはもはや目新しいものではなく、製造業者がこれからも活動を続けていくために、欠かすことのできない前提となっているのです。

製造業におけるDXの課題

製造業でもDXを進めることが非常に重要であることを説明しました。しかしそれは簡単なことではありません。積極的に取り組もうと考えていても、なかなか上手くいかないと困っている担当者も多いことでしょう。よくある課題としては以下のようなものが挙げられます。

データ活用が進まない

DXにおいてはあらゆる情報をデジタル化して収集、分析等に活用していくことが基礎となります。そのためまずはデータが集められる環境を構築しなければなりません。
しかしながら国内の製造業では、多くの企業が適切にデータ収集をできていません。
経済産業省の「ものづくり白書(経済基盤白書)2020年版」では、生産プロセスに関する設備稼働状況のデータ収集ができているのは半数程度であると発表されています。

つまり半分ほどはDXを実現するスタート地点にも立てていない状況なのです。環境構築にはコストがかかるためすぐに進められることではないでしょうが、具体的な検討に入る前段階からすでに、システムの導入等に対し消極的であるケースも少なくありません。
このように、様々な事情によってデータ活用が進んでいない中、製造業がこれからDXを進めていくためには、まずその必要性を理解し、データを集められるようにすること、そしてそのデータをどのように活用すべきか考える姿勢を持たなくてはならないでしょう。

DXに必要な人材の不足

ここでいう人材とは、上述した生産作業にあたる一般従業員のことではなく、DXを進めていくために必要となる専門の人材のことです。
企業全体の方針として積極的に取り組もうと考えている場合でも、専門知識を持っている人が内部にいなければその進め方がわからずいつまでも成果が得られません。
そこで、当該企業に係る専門性のみならず、最新のIT動向にも精通した人材を確保することも重要になってきます。ただしDX専用の人材を確保することは中小企業などでは特に難しいでしょう。こういった企業の場合にはDXを支援するサービスを活用するのがおすすめです。当然コストはかかってしまいますが、効率的に進められますし、内部の人員は本来の業務に集中することができます。

ツール選定が難しい

自社ですべてのシステムを構築するのはあまりおすすめできません。現代においては有用なクラウドサービスも多数展開されていますし、これを利用することでメンテナンスやアップグレードにかかる運用作業もベンダーに任せられます。導入した企業はランニングコストの支出だけですぐにその機能を活用できます。データの収集から分析、その結果から現場での最適な意思決定や行動に繋げられるでしょう。
しかしながら問題はそのツール選びにあります。前項の話とも関連しますが、専門知識を持った人材がいなければツールの選定も難しくなってしまいます。自社の課題を解決するために必要な機能とは何か、その機能を備えたツールはどれか、内部の人間でそのツールを適切に扱うことができるのか、といった判断ができなければなりません。
ツールの選定を誤るとかえって業務効率を下げてしまいますし、自社に合ったものが見つかるまで無駄なコストが生じてしまいます。
導入期間、本来の業務がストップしてしまうおそれもありますし、取引先や消費者に迷惑をかけてしまうリスクも抱えてしまいます。そのためツール選びには慎重に取り組まなくてはなりません。

まとめ

日本の製造業は、人材不足や技術継承などの問題を抱えていますが、これらを解決するためにはDXの推進が欠かせません。DXを進めていく上では、自社に最適なツールを導入すること、収集したデータを有効に活用していくことが大切です。コストなどはかかってしまいますが、今後の競争に負けないためにもぜひ進めていきましょう。

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