小売業

従業員体験(EX)とは!? 小売業に求められる背景やポイントを解説

近年、小売企業において「従業員体験(EX)」という言葉が注目されていますが、具体的にどのような意味をもつのかわからないという方も多いことでしょう。そこで本記事では、従業員体験(EX)の概要や求められている背景、従業員体験(EX)を高めるための方法について詳しく解説していきます。

従業員体験(EX)とは!? 小売業に求められる背景やポイントを解説

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従業員体験(EX)とは

「従業員体験」とは、所属企業や組織において従業員が得られる体験のことを意味します。従業員体験は英語で「Employee Experience」と表記され、「EX」の略語で示されることもあります。従業員体験(EX)の中には、日常的な業務はもちろん人事評価や研修など、仕事に関係する体験全般が含まれます。

近年の日本では、従来の物質的な欲求を充足させる「モノ売り」に加え、質の高い体験を提供する「コト売り」へのニーズが高まっています。これは就職市場においても同様で、今では若い方を中心に、賃金以外にも「働きやすさ」や「働きがい」などの付加価値を職場に求める傾向が強まっています。

従業員体験(EX)は、まさにこうした観点から重要となってくる概念です。従業員のやりがいを喚起する施策や、ワーク・ライフ・バランスを向上させる施策などを通して、その質を高めることが可能になります。とりわけ顧客と直に接する小売業においては、従業員のモチベーションを喚起する優れた従業員体験(EX)が、サービスの質に直結するともいわれています。                               

従業員体験(EX)が求められる背景

従業員体験(EX)が注目を集めている理由としては、主に3つの要因が挙げられます。

第一の理由は、社会全体で以前よりも人材の流動性が高まっていることです。終身雇用制度がもはや過去のものとなりつつある今、労働者の転職は一般的になっています。このような状況の中、企業は優秀な人材を企業につなぎとめるために、魅力ある従業員体験(EX)を通して従業員エンゲージメントを高める必要があります。これは同時に、優秀な人材を自社に呼び込むための大事なファクターにもなります。

第二の理由は、少子高齢化などの影響で、日本における労働人口の減少が進んでいることです。人手不足の穴を埋めるためには、人員を増やすことはもちろん、従業員一人ひとりに高いパフォーマンスを発揮することも求められます。質の高い従業員体験(EX)の提供は、個々のパフォーマンスアップにつながるため、人手不足を補い得るとして期待されています。

第三の理由は、インターネットの普及によって、社会的に情報共有がしやすくなっていることです。それに伴い、企業内における従業員体験(EX)も、ネットで簡単に調べられるようになっています。つまり、従業員体験(EX)の質が「優良企業/ブラック企業」といったブランドイメージに影響を与えやすくなっているのです。

従業員体験(EX)を高めるメリット

従業員体験(EX)を高めることで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下では、3つのポイントに分けて解説していきます。

従業員の職場への定着

従業員体験(EX)を高めるメリットとして、まずは従業員の職場への定着が見込めます。従業員体験(EX)の質は、公平で透明性のある人事評価や、働きやすい職場環境の構築などを通して向上します。

そして、こうした取り組みは「自社から大切にされている」という実感を従業員に与え、自社への忠誠心や愛着など、いわゆる従業員エンゲージメントの向上につながります。その結果、従業員が職場に定着しやすくなり、離職を抑制する効果が期待できるでしょう。

離職率の低下は、働きがいや優れた労務環境を期待できる職場として認知され、優秀な人材を引き込みやすくする効果もあります。このように、従業員体験(EX)は企業人事全般にポジティブな効果をもたらします。

従業員のモチベーション向上

従業員体験(EX)によって従業員エンゲージメントを高めることは、そのままモチベーションの向上にも直結します。質の高い従業員体験(EX)が得られる職場では、従業員はモチベーションを高めやすく、怠けることなく自発的に職務に当たることが期待できます。従業員の高いモチベーションを保つためには、企業側も質の高い従業員体験(EX)の提供を維持することが必要です。

生産性の向上

従業員のモチベーションや離職率が、企業の労働生産性に深く関係することは、もはやいうまでもないでしょう。従業員体験(EX)の向上を通して、従業員がやりがいを持って安心して働ける職場環境を構築することで、企業全体の生産性の向上が期待できます。

従業員体験(EX)を高めるポイント

では、従業員体験(EX)を高めるために、企業は一体どのようなことに取り組めばよいのでしょうか。続いては、従業員体験(EX)を向上させるために役立つポイントを解説していきます。

従業員向けのジャーニーマップの整備

従業員体験(EX)を高めるためには、従業員向けの「ジャーニーマップ(エンプロイー・ジャーニーマップ)」を整備することが重要です。

エンプロイー・ジャーニーマップとは、従業員が入社してから定着し、活躍するまでの流れを時系列で書いたものです。いわば、従業員体験(EX)の流れを図解にして「見える化」したものです。マーケティングにおいては、顧客が自社の製品やサービスを知ってから購入し、体験するまでの流れを書いた「カスタマー・ジャーニーマップ」が顧客向けに活用されますが、これはその従業員版といえるでしょう。

エンプロイー・ジャーニーマップの作成を通して、ストーリー的に従業員の置かれた状況や心理を追うことで、その時々で企業が従業員に対して提供すべきサポートなどが明確になります。

エンプロイー・ジャーニーマップの作成にあたっては、企業が従業員に辿ってほしい成長曲線を軸にして作るほか、新卒社員用と中途社員用に別個に用意するなど、複数のシナリオを想定することが大切です。あるいは、企業が業務改革などをする際もエンプロイー・ジャーニーマップを作成することで、大きな環境変化に戸惑う従業員のサポートがしやすくなります。

従業員の働きやすい環境の整備

従業員体験(EX)を向上させるためには、従業員が働きやすいと思えるよう、環境の整備を行うことが大切です。そのために重要となるのが、福利厚生の充実や業務改善に向けた取り組みです。

まず福利厚生に関してですが、給与面はもちろんのこと、フレックスタイム制やテレワークの導入などによって、従業員の多様な働き方を可能にするような取り組みが重要です。こうした施策は従業員のワーク・ライフ・バランスを整え、従来なら就労が難しかった人材の活用も可能にします。これらの取り組みは、行政が推奨している「働き方改革の理念」とも合致したものです。

次いで業務改善に関しては、業務プロセスの見直し(見える化)を通して、職場における「ムリ・ムダ・ムラ」をなくすことが重要になります。たとえば、「業務を回すにあたって、特定の従業員に過重な負担を与えていないか」「効率の悪い余計な作業をさせていないか」などを明らかにし、それらの課題を解決していくのです。その際には、業務上必要な機材やITツール、オフィス環境などを充実させる必要もあるでしょう。こうした取り組みによって、従業員は職場でより働きやすくなり、企業側にとっても労働生産性の向上というメリットが得られます。

このように、従業員体験(EX)を向上させるためには、従業員の職場満足度と業務の効率性を両立させるような施策が重要です。

まとめ

本記事では、現代において求められる従業員体験(EX)の重要性について解説しました。個人のライフスタイルの変化や、価値観の多様化に伴い、企業における従業員の体験も重要視されるようになってきています。企業は今後、従業員体験(EX)を最適化できるように、会社の仕組みや整備を進める必要があるでしょう。

また、富士通株式会社(FUJITSU)では現在顧客体験(CX)とあわせて従業員体験(EX)を計測、管理できるツールである「Qualtrics EmployeeXM」を採用しています。従業員体験についてさらに分析し、管理したいとお考えの方はぜひ「Qualtrics EmployeeXM」の導入を肝絵等されてみてはいかがでしょうか。

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