ファシリティマネジメントとは?導入の目的や事例を紹介

 2021.01.26  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

情報システムやビジネスのBCPを考慮する場合、施設の管理は非常に重要です。近年では、ファシリティマネジメントの考え方が注目を集めており、多くの企業に導入されています。本記事では、ファシリティマネジメントの意義やメリット、またファシリティマネジメントの導入事例も合わせて紹介します。

ファシリティマネジメントとは?導入の目的や事例を紹介

ファシリティマネジメントとは

ファシリティマネジメントとは、企業が利用する全施設を用途や目的に応じて、総合的かつ統括的に管理・活用する経営手法を指します。わかりやすく言い換えると、「土地や建物などの収益性や利便性を最大化して事業戦略に活用すること」です。

「ファシリティ(Facility)」とは、「施設」や「設備」といった建造物を指すほかに、「便利」や「容易」といった意味をもつ言葉です。ビジネスシーンで用いられる場合はオフィスや生産施設、各種設備など、事業活動において利用する環境のすべてを含みます。こうした性質をもつことから、「ヒト・モノ・カネ・情報」に次ぐ第5の経営資源と呼ばれています。

施設管理とファシリティマネジメントの違い

従来の施設管理では、その業務内容は施設の維持と保守に留まっていました。つまり、設備が損傷した場合などには修繕・交換によって、「施設を元の状態に戻す」ことが目的です。
対してファシリティマネジメントは、同じように設備が損傷した場合であれば、修繕や交換を行う前に、その設備が本当に必要かどうかをまず検討します。不要であれば廃止、必要であればほかの製品と性能や、省エネ性能を比較したうえで自社に最適な設備を状況に合わせて都度選択します。施設管理という枠組みを超えた、会社全体のマネジメントと言えるでしょう。

ファシリティマネジメント導入のメリット

ファシリティマネジメントを導入する大きなメリットは、企業がもつ施設を最適化できる点です。例えば、定期的な施設のメンテナンス、省エネルギータイプの機器導入、災害対策や防犯対策の充実などを実施することで、建物の費用対効果や効率性、快適性の向上を実現します。こうした取り組みは建物の寿命を延ばすだけでなく、物件としての資産価値も高められるでしょう。

建物の費用対効果を評価するには、ライフサイクルコストをいかに最適化していくかが重要です。一般的なオフィスビルでは建築費用よりも、維持にかかるランニングコストが大部分を占めており、維持費用は建築費用のおよそ4倍も必要になるという試算もあります。そのため、施設を総合的に管理するファシリティマネジメントを導入することでランニングコストを抑え、建物のライフサイクルコストの低減につながります。

全館フリーアドレス管理とオフィス集約の実現へ向けたスマートオフィスソリューション wecrew
ビル側が提供するテナント共通ITサービス スマートビルディングソリューション wecrew

ファシリティマネジメントの目的

ファシリティマネジメントにおいて「施設の最適化」は手段であって「目的」ではありません。ファシリティマネジメント導入の目的は、コスト削減や生産性の最大化などを実現して企業価値を高めることにあります。具体的には「コスト最小化」「エフェクト最大化」「フレキシビリティの高さ」「社会・環境対応」の4つを実現することで企業価値の最大化を目指します。

コスト最小化

ファシリティマネジメントの中で経営コストを抑える方法は大きく分けて3つあります。「売上高の増加」・「変動費の削減」・「固定費の削減」です。この3つで外的要因に左右されず、最も早急に取り組めるものが、固定費の削減です。
設備面の効率化や省エネルギー対策、スペースの有効活用など、施設運営を最適化することによって固定費の削減を目指します。オフィスや生産施設などの運営は、導入費用や設備投資、賃借料や減価償却費、水道光熱費や清掃費など、莫大なコストが必要です。施設を長期的プランによって管理することで、建物のライフサイクルコストの低減にもつながるでしょう。

エフェクト最大化

オフィスプランニングによるエフェクトの最大化も重要なファクターです。例えば、オフィス全体がIoT機器とつながることで、得られたデータを基に業務効率を改善や、室内の温度や湿度を自動的に計測して快適な環境を創出することができます。

快適な作業環境を構築することで、社員のモチベーションも高まり、労働生産性の向上も期待できるでしょう。こうしたテクノロジーを取り入れて、利用者の満足度と生産性の最大化を図るのもファシリティマネジメントの目的です。

フレキシビリティの高さ

ファシリティマネジメントは、事業戦略に対してフレキシブルに応用できる経営手法です。例えば、施設の改革によって経営効率を高めると同時に、利用者に快適性の高い施設を提供することで業務の生産性向上が期待されます。

省エネによって環境問題に対して貢献可能な点も企業イメージにとっては大きなポイントです。また、ただ単に建物と設備の維持管理をするだけでなく、施設管理業務を標準化することで、将来的な経営環境の変化にも対応できます。
このようにファシリティマネジメントは、施設の快適性や利便性の向上・業務の生産性効率化・省エネ対策や低コスト化など、多くの恩恵をもたらします。あらゆる経営戦略に組み込める、非常に柔軟性のあるマネジメント手法と言えるでしょう。

社会・環境対応

施設の最適化を実現するには、定期的なメンテナンスや修繕作業が欠かせません。また、一歩先の未来を見据えた長期的な運営プランも求められます。省エネに対応した空調や照明機器などを導入すれば、低コスト化を実現するだけでなく環境問題への貢献も期待できるでしょう。
環境への貢献はそれだけではありません。ライフサイクルコストの最適化を目指す過程において、定期的なメンテナンスや修繕を実施します。それにより、建物の外観を常に綺麗な状態に保つことが可能です。綺麗な建物は美しい街並みの調和を乱すことなく溶け込み、地域社会への貢献にもつながるでしょう。このように、企業の社会的責任(CSR)に関する諸活動や、環境問題への効果的な取り組みの実施も、目的の一つです。

ファシリティマネジメントの事例

ここからは実際にファシリティマネジメントを導入して、事業戦略に活用している企業の事例を紹介します。

キューピー社による事例

マヨネーズなどの調味料を主力とする日本の食品メーカー「キューピー株式会社」での事例を見ていきましょう。キューピーでは「社員一人ひとりが意識や行動を固定化させない活性化した組織をつくる」という目的をもってファシリティマネジメントを実施しています。
オフィスと研究施設を交互に配置して上下階の回遊性を高めており、さらにはコミュニケーションスペースを設けることで、社員同士が自然と交流を深めるようなオフィスに設計されています。施設設計を見直してオープンなオフィス環境を実現することで、新たな働き方改革と健康経営を実現している事例と言えるでしょう。
https://okan-media.jp/facility-management/
http://www.jfma.or.jp/award/12/pdf/paneldata03.pdf

富士ゼロックス社による事例

富士フイルムホールディングスの子会社である「富士ゼロックス株式会社」は、「第6回ファシリティマネジメント大賞」において「優秀ファシリティマネジメント(FM)賞」を受賞した企業です。事務所の賃借料や工事費用といったコストを見える化し、各拠点の再編・統合による効率化活動を実施。それによって事務所賃借料を約30%削減することに成功しています。
富士ゼロックスは、それまで各事業所で実施していた施設保全活動を「全社統括管理」へと変更。各事業所の膨大なデータを一元管理することで、問題や課題の可視化を実現しました。具体的かつ明瞭な改善策を立案して実施することで施設保全能力を向上させる狙いです。
https://www.fujixerox.co.jp/company/news/release/2012/000591
http://www.jfma.or.jp/award/12/pdf/paneldata09.pdf

まとめ

ファシリティマネジメントの目的は、企業が使用するオフィスや設備を最適化して収益性を高めると同時に、経費削減を実現することです。事業戦略において経費削減は重要です。人件費や広告費と共に、施設に関する固定費の削減も検討する必要があります。ぜひ、今回の記事を参考にしてファシリティマネジメントを自社の事業戦略に取り入れてください。


RELATED POST関連記事


RECENT POST「建設・ビル管理」の最新記事


ファシリティマネジメントとは?導入の目的や事例を紹介

RANKING人気資料ランキング

RECENT POST 最新記事

RANKING人気記事ランキング

Retail Tech JAPAN Online 2021
スマーター・リテイリング・フォーラム 2021