HACCP(ハサップ)とは?7つの原則やメリットをわかりやすく解説

 2021.02.24  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

食品を取り扱う企業や飲食店経営者なら、「HACCP(ハサップ)」をご存じなのではないでしょうか。HACCPとは「Hazard Analysis and Critical Control Point」の略で、衛生管理の手法を指します。本記事では、HACCPの概要や原則、導入により得られるメリットなどをわかりやすく解説します。

HACCP(ハサップ)とは?7つの原則やメリットをわかりやすく解説

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HACCP(ハサップ)とは

「HACCP」とは「Hazard Analysis and Critical Control Point」の略称で、「ハサップ」と呼ばれています。Hazardは危害、Analysisは分析、Criticalは重要、Controlは管理、Pointは点をそれぞれ意味します。HACCPは新たな衛生管理の方法であり、2021年6月から食品を取り扱う事業者への導入が義務付けられています。

HACCPが制度化・義務化された理由は、食品をより安全な状態で人々へ提供するためです。従来における、食品の安全性を確認する方法は、製造プロセスの最終段階での抜き取り検査が一般的でした。しかし、この方法ではすべての製品をチェックできず、人々の安全を脅かすリスクが少なからずあったのです。

HACCPでは、製造プロセスのすべてにおいて危険の予測や記録、管理を行います。これにより、未然に怪しい製品をスムーズに排除でき、どこで問題が生じたかも迅速に把握できるようになります。つまり、HACCPは人々の食における安全を守るだけでなく、食品を扱う企業を守る制度でもあるのです。

HACCPの種類

HACCPを導入している企業には、認証が与えられます。ただ、認証を行う機関はひとつではなく、複数存在しています。認証の種類は大きく4つあり、「地域HACCP」「業界団体認証」「総合衛生管理製造過程」「民間審査機関」の認証にわけられます。

  • 地域HACCP:地方自治体が行う認証です。独自の基準を設けており、中小企業でも取得しやすい認証です。
  • 業界団体認証:特定の業界にのみ適用される認証です。全国菓子工業組合連合会や日本惣菜協会、日本炊飯協会などが代表的です。
  • 総合衛生管理製造過程:通称「マル総」とも呼ばれる認証で、厚生労働省が管轄しています。対象となる食品の種類が限られているため、注意が必要です。
  • 民間審査機関:ISO22000やSQF2000などの認証がよく知られています。数多く存在しますが、審査基準や審査方法が機関により大きく異なるため、こちらも注意が必要です。

HACCPの7原則と12手順

HACCPは食品の安全性に直結するため、適切に実施しなければなりません。それゆえ、導入においては7原則12手順に沿って進めるのが基本です。全部で12の手順があり、手順6~12までが原則と定められています。各手順の詳細は以下の通りです。

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  • 手順1:チーム編成です。製造プロセスに関わる者だけでなく、HACCPに詳しい人物も必要です。
  • 手順2:製品説明書の作成です。原材料の種類や特性などを資料化します。
  • 手順3:意図する用途および対象となる消費者の確認です。製品の使用方法と、想定される購入者を再確認するプロセスです。
  • 手順4:製造工程一覧図の作成です。受入~提供までの流れを工程別に書き出します。
  • 手順5:製造工程一覧図の現場確認をします。実際に現場をチェックし、必要に応じて内容を修正しなければなりません。
  • 手順6(原則1):危害要因分析の実施です。想定されるリスクをピックアップし、管理の手法もまとめます。
  • 手順7(原則2):重要管理点の決定です。考えられるリスクを排除するための、特に重要なプロセスを決めます。
  • 手順8(原則3):管理基準の設定を行います。重要管理点の適切な管理に必要な基準を設けます。
  • 手順9(原則4):モニタリング方法の設定です。重要管理点が適切に管理できているかを確認・記録します。
  • 手順10(原則5):改善措置の決定です。モニタリングの結果、管理が適切でないと判断された際に講ずべき措置を定めます。
  • 手順11(原則6):検証方法の設定です。HACCPプランに即した管理が行われているか、修正の必要がないかなどを検討します。
  • 手順12(原則7):記録と保存方法の設定です。記録は「HACCPを実施した」という証左であり、また問題発生時に原因を探るための備えにもなります。

HACCPを導入するメリット

安全な食品を提供するためのHACCPですが、実は消費者側だけでなく、導入する企業側にもさまざまなメリットがあることをご存じでしょうか。主なメリットとしては、「生産性の向上」「クレーム・事故の減少」「企業ブランドの向上」の3つが挙げられます。

生産性の向上

HACCP導入により衛生管理を可視化し、製造に関わるすべての社員がチェックや分析を行えるようになります。

従来では、衛生管理の専門知識を有するスタッフが、専門的に作業を行うケースが少なくありませんでした。しかし、これでは業務の属人化を招き、万一その社員が急に休んでしまった際、適切な衛生管理ができなくなるおそれがあります。

衛生管理の可視化により属人化を防げるため、このような事態を回避できます。ムダなくスムーズな衛生管理も可能になるため、トータルでの生産性向上が期待できるでしょう。ただし、導入当初は作業の手間が増えてしまうため、一時的に生産効率が低下する可能性があります。あくまで一時的なものなので、長い目で見て継続的に運用することが大切です。

クレームや事故の減少

品質の安定化や危険の察知・対策ができるため、クレームや事故を減少する効果が期待できます。特に、食中毒や異物混入などの事故は、食品を扱う企業にとって致命的なダメージとなりかねず、社会的信頼の失墜や倒産につながるおそれもあります。

HACCPを導入することで、そうした事態を未然に回避できます。仮に事故が発生したとしても、一元的に管理できるため素早い対応が可能です。異物が混入したおそれのある製品を、出荷前に止めるといったことも可能でしょう。

企業ブランドの向上

HACCPは、世界的に広がりを見せている取り組みです。国連食糧農業機関や食品規格委員会なども推奨している衛生管理方法であることから、導入すれば企業ブランドの向上が期待できます。

時代は移り変わり、現代を生きる方の多くは食の安全を求めています。インターネットやスマホの普及により、食品偽装や異物混入といった事件・事故の情報が簡単に入手できるようになったのも、食の安全が求められるようになった理由といえるでしょう。

このような時代だからこそ、企業は適切な衛生管理方法を導入し、自社の製品が安全であることをアピールする必要があるのです。国際的な広がりを見せているHACCPを導入すれば、適切な衛生管理方法を採用していると広くアピールでき、イメージアップやブランド力の向上につながります。

また、企業ブランドが向上すれば、他社との差別化が容易となり、独自の戦略を組み立てやすくなるメリットもあります。多くの企業がHACCPの導入に積極的なのも、こうした理由があるからではないでしょうか。

まとめ

安全な食品を提供するための衛生管理方法が、HACCPです。これを導入することで、企業側にとっても生産性やブランド価値の向上、クレームや事故の減少などさまざまなメリットがあります。人々から愛され、選ばれる企業として生き抜いていくためにも、HACCPの導入は急務といえるでしょう。

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