自治体クラウドとは?導入のメリットや実現に向けたアプローチを解説

 2021.01.20  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

自治体クラウドは、近年、様々な分野で活用されているクラウドサービスを自治体の情報基盤にも活用し、複数の自治体と共同でシステムを利用することで、システムの構築や管理にかかるコストの削減を図るものです。本記事では、自治体クラウドの概要や導入のメリットなどを解説します。

自治体クラウドとは?導入のメリットや実現に向けたアプローチを解説

自治体クラウドとは?

これまで自治体は、庁舎内に設置したコンピューターで個別にシステムを構築し、それぞれの自治体独自の方法で業務処理を行なってきました。自治体クラウドとは、これらの情報システムと住民基本台帳や福祉、税務といった行政に関するデータを外部のデータセンターで管理し、複数の自治体と共同利用する仕組みのことで、自治体クラウドを導入する自治体は年々増えてきています。

総務省が公表しているデータによれば、2019年時点で全国の約7割(1,182団体)が情報システムをクラウド化しており、そのうち自治体クラウドを利用しているのは約3割にあたる497団体です。

クラウドは市区町村が単独で導入することもでき、2019年の時点では複数の団体でシステムを共有する自治体クラウドよりも、単独クラウドを導入している団体のほうが200ほど多くなっています。

2018年に閣議決定された「世界最先端デジタル国家創造宣言」では、2023年に1,600団体でのクラウド導入を目標としており、そのうち自治体クラウドの利用を2019年の2倍以上である1,100団体に増やすことを目指しています。

自治体クラウドが注目される背景

自治体クラウドは、少子高齢化に伴う労働人口の減少など日本の社会問題を解決する手段として期待されています。総務省は生産年齢人口が減少して高齢者人口がピークを迎える2040年頃をめどに、テクノロジーを駆使して効率的な行政サービスを提供する「スマート自治体」を目指しています。スマート自治体を実現するために欠かせないのがクラウドサービスをはじめとするICTの力です。従来は各自治体が独自に開発・運用してきた情報システムを自治体クラウドで共同利用すれば、管理維持にかかる職員の負担やコストを削減できます。

自治体クラウド実現のメリット

自治体クラウドを導入すると、情報システムの運用コスト削減をはじめ、集中監視による情報セキュリティ水準の向上、庁舎が被災した際の業務停止リスクの低減、参加自治体間での業務共通化などが期待できます。

総務省が自治体クラウドを導入している56団体を対象に行った調査(2016年1月時点)によると、情報システムの運用コストの削減率についての回答結果は、40%以上が11団体、40〜30%が18団体、30〜20%が7団体、20%未満が9団体となり、およそ3割程度のコスト削減が見込まれることが明らかになりました。

また、東日本大震災をきっかけに、災害対策の観点から行政関連のデータはデータセンターで管理したほうがよいという考えが広がっています。自治体クラウドの導入と合わせ、グループ内で人・モノ・場所を相互に共有することで、グループの内のどの地域からでも罹災証明書を発行できる協定を締結する事例もあるようです。

実現に向けた政府の動き

政府は自治体クラウドを推進させるために様々な取り組みを行なっており、法務省のホームページでは以下のような資料が掲載されています。ここでは、各資料の中で重要なポイントを要約して紹介します。

「地方公共団体におけるクラウド導入の促進に向けての提言」(平成29年5月18日 自由民主党政務調査会)

  • 自治体におけるクラウドの活用が災害に極めて効果的。地方行政においても導入が不可欠
  • 都道府県によって自治体クラウドの導入状況にばらつきがあり、大規模団体での導入が進んでいない
  • クラウドの導入促進を図るよう強く求める
  • 国はコスト3割削減などの具体的な成果に結びつくよう明確な目標と期限を定めて対応すべき

「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月15日 閣議決定)

  • 自治体クラウドの推進に向け、各団体はクラウドの導入を計画し、国は進捗を管理する


「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(令和2年7月17日 閣議決定)

  • 感染症や災害といった危機に面しても柔軟な対応ができるよう、国と地方を通じた情報システムの標準化や共通化、クラウドの活用推進が求められる
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自治体クラウド導入の課題

自治体クラウドの導入にあたっては、参加するすべての自治体がコンセンサスを取りながら必要な決定を下していかなければなりません。まずはクラウド共同利用の意向を持つ自治体を探して推進組織を設立し、基本事項を検討していく必要があります。

決定項目はシステムを導入する範囲やクラウドのサービス形態、費用分担の方法、ベンダーとの契約方法、保守・運用範囲など多岐にわたります。それらをスムーズに進めていくためには、自治体クラウドを導入する目的意識を共有し、協力体制を構築することが重要です。

自治体クラウド実現に向けたアプローチ

政府の働きかけの影響もあり、自治体市場においてクラウド導入のトレンドは今後ますます拡大していくものと予想されます。ここでは、自治体クラウドの実現に向けた政府のアプローチをご紹介します。

公共クラウドの加速

公共分野におけるSI(システムインテグレーション)市場では、人口減少やニーズの多様化などの影響からクラウド化が加速しています。公共クラウド市場は2019年度の1,050億円から2024年度には5,205億円まで拡大するものと予測されており、公共分野におけるSI市場の41.3%がクラウド型で提供される見通しです。

SaaS化

政府は、クラウド導入に際して自治体が独自にシステムを調達する手間と維持管理のコストを削減するため、カスタマイズ不要を原則としたシステムの導入を促進しており、さらに共同・広域クラウドサービス化や、小規模自治体向けシステムの標準化を推進しています。

セキュリティ強化

自治体セキュリティクラウドは、総務省がマイナンバー制度の本格的な運用を前に、セキュリティ強化策の柱として打ち出したものです。市区町村と都道府県がWebサーバーを集約し、セキュリティ機能を共有することで監視やログの解析といった高度なセキュリティ対策が実現できます。

情報システムの向上

総務省はマイナンバー情報や4情報(氏名、性別、住所、生年月日)のセキュリティを確保するため、データを扱う領域を3分割し、業務端末やシステムの一部をインターネットに接続する方法を推進しています。

戸籍や住民記録、国民年金といった住民情報を中心とする機密性の高い情報は他の領域から切り離して情報流出を防止し、職員の給与や財務会計などを扱う領域、メールやホームページ管理など機密性の低い情報を扱う領域についてはインターネットを経由してテレワークに対応することも可能です。

まとめ

人口減少やテレワークの普及などを背景に、自治体クラウドは今後、公共分野におけるSI市場でシェアを伸ばしていくものとされています。現行システムの運用コストを少しでも抑えたいのであれば、自治体クラウドの導入は積極的に検討すべき選択肢の一つといえるでしょう。

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