MVP開発とは?新規事業立ち上げの参考手法について押さえたい基本を解説

 2022.01.31  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

複雑で将来の予測が困難な状況と言われる昨今では、どのようなプロダクトが受け入れられるかという予測は困難です。最近の例では、一方的にSNSの会員が語る音声を聞くだけのアプリのリリースが話題になりました。本記事では、このような意外性ある新規プロダクトの開発に有効な、MVP開発という手法について紹介します。

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MVP開発とは

MVP開発とは、Minimum Viable Productと呼ばれる、必要最小限の価値を提供するプロダクト(製品)を仮説に基づいて作成・提供し、ユーザーからのフィードバックを元に価値を検証しながらプロダクトの改善を繰り返していく開発手法です。

小さなプロダクトに改善を加えながら、何度も繰り返し提供していくことでユーザーが求めている価値に近づけていくことが可能です。このため、新規事業などで低コストにプロダクトを開発するリーンスタートアップを実現する手法としても、MVP開発は重要視されています。

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MVP開発を取り入れるメリット

MVP開発で得られるメリットはいくつかありますが、ムダなく短期間でユーザーが得られる価値を明確にしながら開発を進められることが主な特徴となります。

コストを抑制できる

まず、機能を最小限に限定したプロダクトを開発するため、コストの削減が期待できます。

MVPとして開発する機能は極めて最小限にする必要があります。例えば、外国人向けの自動翻訳機能を備えた宿泊予約スマートフォンアプリのMVP開発を例として考えてみましょう。このプロダクトでは宿泊施設の紹介を自動翻訳して紹介し、予約を完了させる機能が主要な機能とします。しかし、MVPとして予約の変更やキャンセルの機能までは必要でしょうか。必要なのは外国人ユーザーがこのような宿泊予約アプリを求めているかをまず検証することであり、変更やキャンセルはコールセンターで受け付けることで目的を達成できます。

このようにMVP開発では必要最小限のプロダクトを開発することで開発コストを抑制しながら、ユーザーが求めている価値を提供できているか検証可能です。このため、プロダクトの方向性を見誤っていたとしても、大きなコストをかける前に方向修正でできるのです。

開発・提供スピードを向上できる

必要最小限のプロダクトを開発するため、新しい価値を持つプロダクトをスピーディにユーザーに届けられます。これまで市場では見かけることがなかった新しい価値を提供するプロダクトは、最初から完璧に設計、開発して提供することは極めて困難です。不完全であっても最小限の機能をできるだけ早くユーザーに提供し、ユーザーの反応を踏まえて改善されたプロダクトの提供を繰り返すことでユーザーを囲い込めるため、市場での優位性を確保していくことも可能です。

ユーザーの考えを把握できる

先程の外国人向け宿泊予約スマートフォンアプリの例では、宿泊施設の紹介を自動翻訳して提供する機能が仮説したユーザー価値となります。この機能がユーザー価値として本当に求められているかMVPを提供し検証できます。場合によっては自動翻訳された宿泊施設の紹介文よりも、ユーザーが本当に求めている価値は宿泊施設の雰囲気を伝えられる写真だという可能性もあります。

MVP開発であればこのような場合も自動翻訳機能の提供を止め、より多くの写真を掲載する機能に方向修正して再び提供できます。必要最小限の機能を提供し、検証と改善を繰り返すことでユーザーの考え方や必要としている価値を把握可能です。

MVP開発の種類例

MVP開発は実際にユーザーが利用可能なプロダクトを用いなくても、より簡素化された手法を用いて進めることもできます。ここでは、MVP開発の種類を紹介します。

プロトタイプ

いわゆる試作品や実験機に相当する、実際に動作するプロダクトを用いて検証を行います。使用するデータは検証のために限定されたものを用いて、アウトプットも特定のユースケース(利用シーン)に限定されたものを出力します。このため、複数のユースケースについて検証を行う場合は、それぞれのケースごとにデータや機能を用意する必要があります。

最近ではノーコード、ローコードでの開発を用いて手軽にプロトタイプを作成でき、実際にプロダクトが提供された場合と近い姿で検証を行うことが可能ですが、その反面他の手法と比べると開発コストは大きくなることが想定されます。

スモークテスト

スモークテストはユーザーがプロダクトやサービスに興味を持つか検証するために行います。紹介ビデオをユーザーが視聴して興味を持つか、あるいはプロダクト提供前にサイトを作成しユーザーが利用登録を行うかといったように、ユーザーの反応を検証するテスト方法です。オンラインストレージサービスのDropboxはサービスを紹介する動画を用いてスモークテストを行いました。プロダクトの開発をする必要がなく、ユーザーが興味を持っているかすぐに検証できます。

コンシェルジュ

ユーザー価値を検証するために、サイトやプロダクトさえも用意することなくユーザーの意見を収集する方法です。先程の外国人向け宿泊予約アプリを例にすると、空港で外国人を探し紙に印刷された自動翻訳の宿泊施設紹介文を見せ、本当に予約する気になるか、不足している点は無いかなど対面で確認し改善していく方法です。

人力・手動で直接ユーザーの意見を集めるため、間違いの少ない検証結果が得られます。

オズの魔法使い

オズの魔法使いでは、検証のためにプロダクトのフロントエンド(スマートフォンなどの画面側)のみを準備し、バックエンド(画面の入出力処理)を人間が対応して検証する方法です。これも外国人向け宿泊予約アプリを例にしてみましょう。アプリにチャットボットによるQ&A機能が有効かの検証が必要だったとします。この場合アプリからQ&Aの入力は可能ですが、実際にその質問に対応するのはアプリの向こう側で待機している人間です。

人間がシステムの一部を模倣することで、わざわざチャットボットの機能を開発することなく検証を行えるなど、時間をかけずに検証できます。

ランディングページ

ランディングページではプロダクトやサービスの説明と、それを利用することでどのような価値や利点があるかを説明したサイトを構築します。そのサイトでは興味のあるユーザーがボタンを押すことで詳細を確認したり、ユーザー登録や商品の購入ができたりするなど、価値に共感するユーザーとの接点を確保できます。

この価値に共感するユーザーにインタビューしたり、フィードバックを受けたりすることで、よりプロダクトの価値を明確できます。

MVP開発におけるポイント

ここからは、MVP開発を有益にするためのポイントを紹介します。

フィードバックを得る工夫をする

MVP開発はユーザーが求める価値を明確にするための開発手法であり、ユーザーからのフィードバックは必須となります。有益なフィードバックを得るためにユーザーと良好な信頼関係を築くことは有効です。プロダクトの改善された点、改悪してしまった点を本音でコメントしてもらえるユーザーが、プロダクトのファンであり続けてくれるような工夫が必要になります。

また、フィードバックを受ける際の質問も漠然と使用感を尋ねるのではなく、プロダクトが必要となった場面でどのような気持ちで利用したか、改善された機能はその時に有益だったのかなど、より具体的な質問を用意することが大切です。

完璧にこだわらない

MVP開発は不明確なユーザー価値を提供するためのプロダクトを、完成を目指して軌道修正しながら進めていくための開発手法です。このため、最初から完璧なプロダクトを提供しようとしても時間を要するばかりで、ユーザー価値の提供に到達できません。場合によってはほとんど利用されない余計な機能を含んでしまう可能性もあります。

たとえプロダクトの機能が不完全な状態であっても、電話や書類の郵送といった目新しくない手段を用いることで機能を補うことが可能であれば、まずはユーザーに提供してみて価値が誤っていないかを見定めることが大切です。

向き不向きに注意する

MVP開発はどのようなプロダクトの開発にも有効というわけではありません。既存のプロダクトで明確なユーザー価値を提供できているサービスの再構築や、ユーザーに提供する価値がすでに明確になっているプロダクトでは、MVP開発ではなく従来のウォーターフォール型の開発手法が向いています。

まとめ

MVP開発では、様々な方法でプロダクトの方向性を明確にしていくことが可能です。昨今ではローコードでプロトタイプ作成が可能なMicrosoftのPower AppsやShare Point AzureなどDXに活用できる製品が多数提供されています。ぜひこのようなツールの利用もご検討ください。

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