オープンイノベーションとは?メリット、促進税制について徹底解説

 2022.01.31  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

オープンイノベーションとは何か、既存のリソースを有効に活用できるオープンイノベーションのメリットや可能性、3種類のオープンイノベーションタイプとその特徴、主な活用例を紹介します。また、経済産業省によるオープンイノベーション促進税制の概要も解説します。

オープンイノベーションとは?メリット、促進税制について徹底解説

オープンイノベーションとは

オープンイノベーションとは、2003年にアメリカのハーバード大学経営大学院教授ヘンリー・チェスブロウ氏が提唱した定義です。外部の技術やアイディア、知識といったリソースを活用し、組織内の改革を促進、市場拡大を目指す方法として知られています。それまでは、社内のクローズドイノベーションで自社の技術を外部流出から守りながら開発するのが一般的でした。

ところが、1990年代になると競合同士の技術競争が激化して研究内容が次々刷新され、さらには各社の技術力・アイディアに限界が生じる状態を迎えました。急速に発展するIT技術を始め、短期間で変動する市場のニーズに合う技術を開発するためには、社内リソースだけでは難しい状態でした。そこで、社内外で区別していたリソースの境界を取り払い、外部のリソースを取り入れる必要性が高まり、オープンイノベーションが多くの企業、研究機関で取り入れられるようになっています。

新しいアイデアやスキルの獲得

オープンイノベーションは、クローズドイノベーションでは新しいアイディアやスキルを獲得できないケースで有効に活用できます。オープンイノベーションでは、単に外部のアイディアをそのまま使うのではなく、社内と社外を区別せずに良いアイディアや知識、技術などを取り入れることが重要です。社内のリソースを活用するだけでは確立できなかった技術の革新に向けて、不足しているリソースを外部で探せる点は、開発部門の大きなメリットといえます。

逆に、自社で開発した知識や技術を社内で活用せず、外部への技術提供に用いることも可能です。開発担当者のアイディアや技術力、特許などの知的財産まで、もし社内で使われない結果になったとしても社外からそのリソースが必要とされる可能性が残ります。新しい技術やアイディアが無駄にならない仕組みにもつながるため、開発部門のモチベーション維持・向上も期待できます。

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オープンイノベーションの創出方法

オープンイノベーションの創出方法は多様化してきています。外部資源を内部に取り込む「インバウンド型」や社内の資源を社外に提供する「アウトバウンド型」、「インバウンド型」と「アウトバウンド型」両方の方法を統合した「連携型」の3種類の方法から、自社の新事業やリソースに合う方法を選んで取り入れることが大事です。

国立研究開発法人、新エネルギー・産業技術・総合開発機構(NEDO)は、オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)と共同で、日本企業のイノベーション実現の方法を提示する白書を発行しています。

インバウンド型

インバウンド型は、「外部の資源を社内に取り入れて活用する」方法です。インバウンド型では、外部の企業や研究機関などが保有している知的財産を取り込んだり、外部の研究開発サービスを利用したりして、これまでになかった新しい技術やアイディア、製品を生み出します。また、コンテストを開催して新しいアイディアなどを幅広く募集する方法、サプライヤーとの共同開発など、外部資源を社内に取り込むために金銭を払って実施するさまざまな方法があります。

費用をかけて行うインバウンド型には、企業が大学と連携して共同研究を行い、研究の成果を自社製品に取り入れる方法や、技術提携した他社から技術やノウハウ、アイディアなどのライセンス利用を行う方法などもあります。この場合、自社の技術と組み合わせて、社内で開発している技術や製品の開発に活用することが可能です。

近年では大企業とベンチャー企業が協業・連携して開発するケースが増加する傾向にあり、互いに不足している部分を補って新しいイノベーションを生み出しています。

さらに、顧客や消費者から挙げられたアイディアを活用する、研究開発に関係する集まり・団体を設立するなど、費用をかけずにインバウンド型を行う方法もあります。必要な技術や研究、利用できる予算を考慮して、適切な方法を選択することが大事です。

アウトバウンド型

アウトバウンド型はインバウンド型とは反対です。これは、既存の社内に存在する資源を外部に提供して新しい技術や製品開発に活かす方法です。自社で保有している技術が社内のビジネスモデルに活用できない場合に、その技術を社外へ発信、インバウンドを希望する相手に技術やノウハウ、アイディアを提供します。リソースの提供後には、相手企業とともに追加開発を行ったり、知的財産権の使用を有償で認めるライセンシングなどを実行したりするケースもあります。

アウトバインド型は、ライセンシングや他社商品にリソースを活用する際の共同開発だけではありません。組織内部で新規事業を立ち上げる際のビジネスインキュベーション、社内の一部門を切り離して新事業を設立するスピンオフなどにリソースを活用する場合もあります。これらのケースでは、リソースを提供する対価として金銭が支払われます。ほかにも、標準化団体に参加する場合や、非営利団体へ寄付を行う場合など、無償でリソースを提供するケースがあります。

アウトバウンドでは、自社の技術などリソースが市場に出たときのフィードバックが受けられるため、これまでのリソースをさらに改善、向上させられるといった技術的なメリットにつなげることも可能です。

連携型

連携型は、インバウンド型とアウトバウンド型を統合させたタイプです。上記どちらかのオープンイノベーションのようにリソースを取り入れたり提供したりする方法とは異なります。社内外で連携を取り合い、リソースを使って共同開発を行うケースが連携型で、その方法は多様化しています。

連携型では、リソースの提供にプラスしてさまざまな支援が行われます。エンジニアやクリエイターなど開発部門が共同で開発するイベントを開催する「アイデアソン・ハッカソンの開催」といった事例もあります。また、複数の企業が共同で出資を行い、新規事業を立ち上げる「ジョイントベンチャー設立」は、リソースだけでなく資金も出し合って共同で実施するタイプの連携型オープンイノベーションです。

「CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)」の方法では、事業会社がファンドを運営してCVCを創設、上場していない将来性のあるベンチャー企業に投資・支援を行います。

また、新しいビジネスの起業家やベンチャー企業などを支援するインキュベーション施設の設置や、新しく起業した会社と大手企業が連携して新規事業を行うアクセラレーターのケースもあります。アクセラレーターとは、知的財産や技術、設備などをスタートアップに提供して事業を支援する方法です。

オープンイノベーション促進税制とは

経済産業省は、令和2年度の税制改正でオープンイノベーションを促進するために「オープンイノベーション促進税制」を創設しました。

オープンイノベーション促進税制とは、国内の事業会社やCVCが、スタートアップ企業とのオープンイノベーションを行う際に、スタートアップ企業の新規発行株式取得にかかった金額の25%が所得控除の対象になる制度です。この税制は、令和2年4月から令和4年3月までの期間に新規発行株式を取得する場合に適用されます。

【税制の対象となる要件】

  • 青色申告対象法人、スタートアップ企業とのオープンイノベーションを目指す法人、株式会社等
    (・対象法人が主体のCVCが出資する場合も対象となる)
  • 出資されるスタートアップ企業が、設立10年未満で未上場企業
  • 取得する株式が「5年以上の株式保有を予定している1件1億円以上の大規模出資(中小企業への出資では1件1,000万円以上、海外企業へは一律1件5億円以上)」 オープンイノベーション要件を満たしている出資

まとめ

オープンイノベーションは、企業が既存のリソースを外部に提供したり、逆に外部からの提供を受けたりして事業改革に効率的に活用する方法です。共同開発を行うケースもあります。オープンイノベーションを活用すると、自社だけではできなかった新規事業の成功を目指せるでしょう。

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