PHR(パーソナルヘルスレコード)とは?必要性やメリット・デメリットを解説!

 2021.07.26  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

PHRという名前は聞いたことがあるものの、その内容について詳しく知らない医療関係者も多いでしょう。本記事では、PHRの導入を検討している医療関係者に向けて、マイクロソフトが取り組むPHRについてのメリットやデメリットを解説するほか、TISがもつPHR POCテンプレートについての紹介などを行います。 

PHR(パーソナルヘルスレコード)とは?必要性やメリット・デメリットを解説!

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PHR(パーソナルヘルスレコード)とは?

PHRは「Personal Health Record」を略したもので、日本語ではパーソナルヘルスレコードと呼ばれています。デジタルを活用して健康・医療・介護に関する患者の情報を統合的に収集し、一元的に保存したデータです。「生涯型電子カルテ」といわれることもあり、生涯にわたる個々人の健康増進や生活習慣の改善を実現するために活用が進められています。

子供を妊娠したときに受け取る母子健康手帳も、手帳に赤ちゃんの情報などを記載して日々の記録をつけて管理するという側面からPHRの一つともいえますが、現在では一般的にデジタルを活用して行われる健康データ管理がPHRと位置付けられているのです。

PHRでは具体的に、個人の医療機関での診療や治療履歴、現状の健康状態や検診データなど、あらゆる医療に関する情報が統合的に管理されています。ちなみに、デジタル先進国であるアメリカではいち早くPHRの取り組みが実施されていて、管理されたデータを個人が閲覧し、健康増進に役立てる仕組みが整えられています。PHRが日本よりも進んでいる理由としては、アメリカをはじめとする他国では、自由に受診する病院を選ぶことができない点が挙げられるでしょう。そのため、限られた病院での受診や処方箋などは一元的に管理されており、医療提供者側はそれらの情報から適切な処置を施すことが可能です。結果としてPHRの促進が日本よりも活発といえます。

なお、PHRと似た言葉にEHRがあるため、混同してしまう方もいるかもしれません。EHRは「Electronic Health Record」を略した言葉で、電子健康記録と呼ばれるものです。両者の違いについては、前者は個人が日々行う健康記録的要素が強いのに対し、後者は医療機関で受けた検査や治療などの医療情報を記録したものであるという点が挙げられます。後者では患者さんの症状や治療の記録を保存し、複数の医療機関で情報を共有する仕組みとなっているため、転院などの際もスムーズな受け入れや治療の開始ができるというメリットがあるでしょう。

PHRの必要性

PHRを活用して個々人が自分の検診結果や生活習慣に関する情報などを把握することで、日々の生活改善が容易になり、行動変容や健康増進に良い効果が期待できます。一方、それだけでなく、スマートフォンをはじめとしたデジタル技術の進歩や、DX実現の観点からもPHRが必要であるといわれているのです。

容易に情報収集や管理ができるようになったことも、その推進が後押しされる理由でしょう。従来のような保管方法では、病院においては患者へ薬の二重投与の恐れがあったほか、転院する度に同じような診察や検査を受けなくてはなりませんでした。しかし、このシステムを取り入れることで情報を一元管理でき、患者に対する医療最適化や、現場の業務効率化も実現可能になったのです。

さらなる健康寿命の延伸に向け、この取り組みを厚生労働省も推進しています。すでにマイナンバーを活用したマイナポータルというウェブサービスで、特定健診や薬剤情報などが提供される取り組みが進められていますが、より効果的な使用を推し進めるため、検討会の立ち上げや基本方針の整理などが行われているのです。

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PHRを導入するメリット・デメリット

ここからはPHRを導入するメリットとデメリットを紹介します。

PHR導入のメリット

主なメリットとしては、セカンドオピニオンへの対応、自己管理の促進、コミュニケーションの向上などが挙げられます。セカンドオピニオンへの対応については、患者さんが納得してより良い治療方法を選択するためにセカンドオピニオンが推奨されていますが、重複する作業により医療従事者の負担が増え、患者に最適な治療を施せていないという現状があるのです。

しかし、そのような中でもPHRがあれば、セカンドオピニオンの際に診療情報提供書がなくても、すぐに該当患者の医療情報を確認して、適切な対応が可能です。投薬情報の確認により、二重投与などの問題を防げるほか、医療従事者の作業負担の軽減にも効果的でしょう。

また、生活習慣を改善していくためには、患者さん自身が日々の生活に気を配る必要があります。体重や血圧などの測定値を含めた生活の記録を残し、それを簡単に閲覧できるようになれば、自分でモチベーションを高めながら行動変容を起こせるでしょう。運動量や食事内容も記録し、それを医療機関と共有できれば、その記録に基づいた運動や食事のアドバイスも可能になるため、自己管理の促進ができます。

他方、コミュニケーションの向上については、PHRサービスの中にはチャットで医療機関とメッセージのやり取りができる機能が備わっているものもあるため、そのような機能を活用することで気軽に双方との会話が可能です。また、応答の時間に制約もないため、負担なくコミュニケーションが取れる点がメリットといえます。

PHR導入のデメリット

主なデメリットとしては、セキュリティ対策や個人情報保護の問題、普及の難しさなどが挙げられます。PHRはインターネットを利用して情報のやり取りや管理を行うため、個人情報が外部に漏れてしまう恐れも考えられるのです。そのため、漏洩を防ぐ強固なセキュリティ対策が必要になるだけでなく、万が一漏洩してしまった際も迅速な対応ができるような体制を整える必要があります。

また、システムのセキュリティレベルを高めるだけでなく、利用者個人もシステムの仕組みを理解し、情報漏洩を起こさないように気を付けて取り扱うことが大切です。また、多くのPHRはアプリを介しての利用が求められるため、インストールして使うためには、スマートフォンやタブレット端末を所有していることが条件になります。

高齢者の場合、スマートフォンを持っていない、もしくは持ってはいるが使い方が分からない方が多く見受けられます。そのため、多くの国民がこのアプリを活用するためには、効果的かつ高齢者でも容易に使いやすい方法を考えることが課題です。デジタル機器の操作が苦手という人もいるでしょう。このようなシステムを導入しても活用できなければ意味がないため、上記のような課題を解決しながら利用の普及を進めていくことが重要です。

Microsoftが提供する「ヘルスケアリファレンスアーキテクチャー」

ヘルスケアリファレンスアーキテクチャーは、Microsoftが提供しているヘルスケア業界に特化したクラウドベースの技術基盤です。PHRで求められるセキュアで統一されたシステム構築が可能なほか、開発期間の短縮や運用コストの削減が期待できます。分かりやすいテンプレートに加えて、サンプルプログラムやトレーニング案も用意されているのが特筆すべき点でしょう。

TISが提供する「PHR POCテンプレート」

TISが提供するPHR POCテンプレートは、PHRサービスのシステムの準備を効率化するドキュメントおよびサンプルプログラムで、PHRの課題を解消し、利用を促進することを目的として開発されました。PHR POCテンプレートは、業務ファンクションマップ、アーキテクチャマップ、サンプルプログラムの三つで構成されています。

一つ目の業務ファンクションマップは、ヘルスケアデバイスから収集したデータや病院での診療データなど、PHRとHERの活用ケースをまとめたドキュメントで、二つ目のアーキテクチャマップはシステムの検証やデータ構造の標準化実装などが確認できるマップです。また、三つ目のサンプルプログラムでは糖尿病を例にしたPHRサービスが準備できる点が特徴といえるでしょう。 

まとめ

PHRを導入することで個々人による自己管理の促進以外に、医療従事者の作業負担軽減も期待できます。課題はあるものの、広く普及することで健康寿命の延伸になるため、積極的な導入が望ましいでしょう。サービスにはさまざまな種類がありますが、まずは本記事で紹介したサービスの利用を検討してみてください。 

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