スマートロジスティクスとは?AIやIoT活用で物流はどう変わるのか

 2021.01.15  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

物流の分野で注目されているスマートロジスティクスという言葉をご存じでしょうか。この記事では、スマートロジスティクスの意味と導入による効果、また実際に導入して成功した事例を紹介します。物流で課題を抱えている方、スマートロジティクスの導入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

スマートロジスティクスとは?AIやIoT活用で物流はどう変わるのか

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スマートロジスティクスとは

スマートロジスティクスは、近年物流業界において重要視されるようになってきた考え方のひとつです。しかし、どのような意味なのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。まず、スマートロジスティクスの基本的な意味合いについて確認してみましょう。

物流管理を統合・一元化して効率化することを「ロジスティクス」といいます。物流が盛んになり、業務を効率化して顧客満足度を高めるために必要とされるようになりました。

「スマートロジスティクス」は、この物流管理の効率化(ロジスティクス)を、IoT(Internet of things)やAIなどの最新技術を用いておこなうものです。近年のAI技術の発達や、管理システムの自動化・高度化などにより実現可能となりました。スマートロジスティクスは、すでに多くの企業で導入され、物流業務の効率化に役立っています。

物流業界の現状と課題

現在、スマートロジスティクスは、物流業界の課題を解決するための新しい手段のひとつとして考えられています。では、そもそも物流業界が抱える課題にはどのようなものがあるのでしょうか。そこで、物流業界の現状と課題を解説します。

小口発送増加に伴う積載率減少

近年、スマートフォンやタブレットの普及により、ネットショッピングがよく利用されるようになりました。単純なBtoCのネットショッピングだけでなく、ユーザー同士で売買を行うCtoCのネットショッピングも利用が増えています。これらのネットショッピングは、新型コロナウイルスの影響を受け、さらに利用数が増加しています。

これによって起こるのが、少量・小額の配送である小口配送の増加です。小口配送が増加すると、1台のトラックに乗せる荷物の重量が減少します。その結果、トラックの最大積載重量に対する貨物の重量である積載率が減少します。

積載率は、高ければ高いほど、効率よく荷物が運べていることを表します。つまり、小口配送が増加すると、輸送効率が悪くなってしまうのです。実際に国土交通省による発表を見てみると、2015年の1回の運送で運ばれる貨物の重量が1.27tだったのに対して、2015年では、0.98tと小口化していることがわかります。

慢性的な人手不足

物流業界における課題のひとつに、慢性的な人手不足が挙げられます。人手不足の原因は、近年の小口配送の増加も考えられますが、少子高齢化による労働力不足の影響が大きいとされています。

具体的な数値を見てみましょう。国土交通省・厚生労働省による発表では、トラックドライバーの有効求人倍率は2.79倍とされています。全職業の有効求人倍率は1.49倍ですので、ほかの職業と比べて、トラックドライバーの求人が多く募集されていることが分かります。

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また、厚生労働省による「労働経済動向調査」によると、「運輸業、郵便業」での未充足求人が47%に上るという結果が出ています。これは、「医療、福祉」「サービス業」の次に高い数値です。

スマートロジスティクス導入による課題の解決

上記のような物流業界の課題を解決する手立てのひとつが、スマートロジスティクスです。スマートロジスティクスの導入によって、どのように課題を解決するのでしょうか。具体的な解決策を紹介します。

配送の効率化

スマートロジスティクスは、配送の効率化に大いに役立ちます。効率化の例としては、以下の3つが挙げられます。

1.在庫管理

倉庫管理システムの利用によって、在庫管理や在庫補充、履歴管理などの自動化ができます。管理業務を自動化することで、ほかの業務に時間を割くことができます。

2. 配車・運行計画を自動作成

配送管理システムの利用によって、配車・運行計画の作成を自動化できます。積載率の向上やドライバーの負担減少につながるでしょう。

3.ルートの選定

IoTデバイスを搭載したトラックなら、積載した荷物の情報や配送場所、配送時刻などのデータ管理ができます。配送管理システムと連携して、リアルタイムの交通状況に合った最適な配送ルートを提示してくれます。

このように、スマートロジスティクスを導入すれば、配送業務の自動化が実現し、配送の効率化や人手不足の解消が期待できます。今後IoTが発展すれば、さらなる物流業務の効率化も望めます。

ピッキング業務の効率化

物流において欠かせないピッキング業務も、スマートロジスティクスの導入で効率化できます。たとえば、ピッキング作業を全てAIやロボットに任せたり、ピッキング業務の一部にIoTを用いて効率化させたりする方法があります。主流なのは、業務の一部をIoTで効率化させる方法です。以下に具体例を紹介します。

1.次世代バーコード

電波を使用するバーコード「RFID」に代表される次世代バーコードは、一度に何十枚ものバーコードをスキャンできます。1枚1枚手動でスキャンする必要がないため、大幅な時間短縮が可能です。

2.ハンディターミナル・タブレット

ミスを減らし、データの共有に役立つのが、ハンディターミナルとタブレットです。ハンディターミナルがあれば、よく起こりがちなサイズやカラーなどのピッキングミスを減らすことができ、業務の効率化に役立ちます。また、タブレットと管理システム本体をつないでおけば、タブレットを確認しながら、ピッキング状況が逐一共有できます。

これらのIoTを活用して、的確な量を的確なタイミングでピッキングすることにより、業務効率化が期待できます。IoTが発展すれば、ピッキング業務自体をロボットに任せることもできるでしょう。

スマートロジスティクス導入による成功事例

スマートロジスティクスは、物流業務の課題解決に大いに役立ちます。実際にスマートロジスティクスを導入して、物流業務の効率化に成功した企業の事例を紹介します。

事例1: ヤマトホールディングス

宅配便の大手である「ヤマトホールディングス」。2019年に創業100周年を迎え、今後100年を見据えた経営構造改革のひとつとして、スマートロジスティクスの導入を行いました。

スマートロジスティクスの導入前にヤマトホールディングスが課題に感じていたのは、データ基盤の運用管理に手間がかかることです。具体的には、システムのメンテナンスやリソースの拡張に時間がかかっていました。

それを解決するために導入したのが、Microsoft Azureの「Azure Synapse Analytics」です。「Azure Synapse Analytics」はデータ分析に特化したクラウドサービスで、大規模データを超高速で分析し、情報を提供します。ヤマトホールディングスによると、メガクラウドベンダー数社のデータ分析基盤を比較検討したうえで、最終的にコスパのよさから「Azure Synapse Analytics」の導入を決定したそうです。

導入によって、データ分析のリクエストから完了までの時間を大幅に短縮できたほか、メンテナンスの簡易化も実現しました。またAIの刷新により貨物量の予測の誤差を縮小でき、大きなコスト削減を達成しています。

事例2: Combi Terminal Twente

「Combi Terminal Twente」は、主に西ヨーロッパでコンテナ輸送を行う、オランダの海運会社です。これまで、紙ベースでコンテナの出荷や追跡管理が行われており、効率の悪さが課題でした。

そこで「Combi Terminal Twente」が導入したのが、「AtBot」「Microsoft Teams」「Azure Cognitive Service」「Power Platform」など、複数のMicrosoft サービスです。たとえば、「AtBot」は会話型のUIが作成できるツール、「Azure Cognitive Service」はAIを作るためのツールです。これらの導入によって、紙ベースでの管理を廃止し、出荷のスケジューリングや追跡をデジタル化しました。とくに出荷スケジューリングは、Azure機械学習モデルを利用しており、自動化はもちろん継続的な改善も行っています。

その結果「Combi Terminal Twente」は、国際貨物受取証(CMR)のプロセスを自動化しただけで、フルタイム換算で2.5人分の節約ができたと発表しています。また、「AtBot」の導入により、商品の追跡がいつでもどこでもできるようになりました。

まとめ

現在物流業界では、配送の小口化(積載率の低下)や深刻な人手不足が課題として挙げられています。これを解決するには、物流業務の効率化が欠かせません。

スマートロジスティクスは、物流業務の効率化を叶えるひとつの方法です。今後、さらなる小口化や人手不足に対応するためにも、ぜひスマートロジスティクスの導入をご検討ください。

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