製造業

スマートメーターとは?電力のデジタル化で広がる未来

国内の各地域を管轄する大手電力会社は、今までの旧式の電力メーターから、新しい「スマートメーター」への交換を急いでいます。この記事では、スマートメーターの基礎知識として、新しい機能の特徴や、スマートメーターがもたらすメリットなどについて詳しく解説します。

スマートメーターとは?電力のデジタル化で広がる未来

Factory of the Future

スマートメーターとは

「スマートメーター」とは、各住戸の電気使用料金を正しく請求するために電力会社が設置している、電力量を計測するメーターのことです。従来は、アナログのメーターが玄関ドア付近に設置されていましたが、電力小売の全面自由化を機に、無線通信機能を搭載したデジタルのスマートメーターへと交換を進めています。

スマートメーターは、地域に電気を供給する大手電力会社が、無料で各住戸に設置するものです。2024年度までに国内すべての設置を目指してプロジェクトが進められているため、すでに交換作業が終わったエリアもあるでしょう。

では、今までのメーターをスマートメーターへ交換することで、何がどう変わるのでしょうか。以下では、スマートメーターの主な特徴についてご説明します。

スマートメーターの特徴

従来の旧式メーターと大きく変わる特徴として、スマートメーターは情報通信技術を搭載し、さらに便利に活用できるよう改良された点が挙げられます。これにより、インフラを管理運用する電力会社も電気利用者も、多くのメリットを享受できるようになりました。

スマートメーターは電気の使用量を計測し、30分ごとに電力会社に自動でデータを送信します。データをグラフで可視化することで、時間帯別や日別、月別あるいは季節ごとの電気使用量を細かく分析できるようになります。そのため、従来よりも精度の高い変圧器の運用が可能になり、電気の供給が無駄なくスムーズに運用可能となるのです。

アンペアブレーカー機能が内蔵されたスマートメーターなら、契約容量以上の電気を使用した場合、自動的に電気の供給をストップさせる機能を持っています。その後10秒ほどで復旧し、自動で電気が供給されるため、分電盤のブレーカーを手動で上げる必要がありません。そのため、無闇に暗闇を動き回る必要もなく、懐中電灯片手にブレーカーを元に戻す作業も必要なくなります。

知っておきたいスマートメーターの基礎知識

希望の有無にかかわらず、メーターが交換されることに対して、不安を抱く方もおられるでしょう。ここでは、さらに詳しくスマートメーターについて解説します。

無料で設置できる

通信機能を持つ高性能の機器が設置されることで、機器の費用や工事代金が気になる方も多いのではないでしょうか。しかし、そのような心配はご無用です。

スマートメーターは、各地域に電力を供給する一般送配電事業者が、電気の供給を行う一般家庭や会社、工場などに無料で設置するものです。つまり、東京電力や関西電力などの大手電力会社が、すべて無料で交換作業を行ってくれます。機器の費用や取り換え工事などの費用は一切発生しません。というのも、スマートメーターは電力会社の所有物であるため、電気を利用する側が購入する必要はないからです。

ただし、「今なら安く設置できる」「前金を払えば優先的に設置できる」などと謳った悪質な詐欺もないわけではありません。引っかからないように気をつけましょう。

優先導入されるタイミング

電力会社は、順次スマートメーターへの交換作業を進めていますが、基本的に「いつまでに交換してほしい」という個人の希望は出せません。しかし、条件次第では優先的に設置してもらえるケースもあります。

たとえば、現在契約中の電力会社を切り替えて、ほかの電力会社と契約するケースです。電力の自由化により、個人が自由に電力の小売会社を選べる時代となり、ガスやスマホなどとセットでお得になるプランなど、各自で選んで契約することが可能になりました。この場合は、アナログのメーターからスマートメーターへの交換が必須になります。新しい契約先の電力会社で手続きを行えば、約2週間で設置されます。

また、現在のアナログの電力メーターが古い場合も同様です。電力メーターは、計量法が適用される特定計量器です。有効期限があらかじめ5~10年に設定されていて、有効期限が過ぎた機器の計量は精度が劣り、数値の信頼を損なうため使用が禁止されています。電力メーターに貼付された検定ラベルシールを確認してみましょう。有効期限が近いなら、それまでには交換作業が終わると推測できます。

そのほか、家を新築する際も、宅内への電線の引き込み工事を行うため設置されます。これらのタイミングを押さえておくと、スムーズに交換を終えられるかもしれません。

自宅がスマートメーターかを知る方法

基本的には、メーターの交換予定日の前には、チラシなどで交換日時のお知らせがあるはずです。しかし、工事の立ち会いの必要がなく、宅内への立ち入りもないため、日時を意識することなくチラシを捨ててしまうことがあるようです。そのうち、交換作業があったことすら忘れてしまうこともあるかもしれません。そのため、自宅が新しいメーターに切り替わっているかを認識していないケースもあるようです。

そこで、自宅のメーターがすでにスマートメーターに交換済みかどうか調べる方法をご紹介します。家に付いている電力メーターを見たことがある方は、新しいものに交換してあればすぐに気づけるでしょう。

アナログでは数字の文字盤の下に、円盤状の部品がくるくると回転しています。円盤のパーツが見当たらず、数字がデジタル表示されていればスマートメーターと判断できます。

ただし、もともとアナログではなく通信機能のないデジタル表示のメーターも使用されていれば、見分けがつかないかもしれません。その場合は、計器番号を確認してみましょう。番号が5~7桁の数字で表示されていれば、古いメーターです。新しいスマートメーターなら、アルファベットで始まる10桁の番号が表示されています。

また電力会社によっては、紙の「電気ご使用量のお知らせ」の様式が以前と変わったことで、アナログからスマートメーターへ変更されたと判断できる場合もあります。もっとも、紙によるお知らせを廃止し、Web確認に切り替わっている可能性もあるため、やはりメーターを確認するのが確実でしょう。

スマートメーターのメリット

メーターをスマート化することによって、電力会社や私たちにどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、スマートメーター導入の主なメリットについてご紹介します。

電気使用量の見える化

まず、電気使用の計量値がグラフとして可視化されるため、細かな電気の使用状況を把握できます。それにより、電気使用時間帯などに合わせた最適な料金プランが選べるようになります。

さらに、家庭内の電気製品をネットワーク化するシステムを導入すれば、どの電気製品がどの程度の電力を使用しているか、一目瞭然となります。消費電力の大きい古い家電を、消費電力の少ない新製品に買い替えるなどの検討材料にもなるでしょう。

省エネ効果

電気使用量の可視化により、部屋別の電力使用量はもちろん、家電ごと・コンセントごとなど詳細な把握が可能となるため、電気の使い過ぎや無駄遣いの発見にもつながります。その結果、エアコンの設定温度の調節や、電気の消し忘れの防止など、節電を意識した生活が行えるでしょう。省エネ効果も高まり、エネルギーを効率的に利用できるようになります。

アンペア数の変更が容易

一般家庭の電気の契約アンペア数は、10~60アンペアまで選択できます。しかし実際は、分電盤のアンペアブレーカーに設定してあるアンペア数のまま使い続ける方が多いでしょう。もし、一時的に電気の使用量が多くなり、何度もブレーカーが落ちて停電になってしまう場合は、契約アンペア数を増やせます。

アンペア数を変更する場合、今までは宅内の分電盤のブレーカー取り換え工事が必要でした。契約アンペア数をスマートメーターで設定していれば、遠隔操作で契約アンペア数の変更ができるため、ブレーカーの工事は不要です。

検針員による作業が不要に

これまでは電気使用量の確認のために、毎月検針員がそれぞれの電力メーターの数値を目視で確認しなければなりませんでした。スマートメーターであれば、その作業が不要となるため、電力会社にとって人的コストの大きな削減が可能です。データ入力や集計といった業務の負担軽減につながります。

まとめ

スマートメーターの導入は、電力会社の業務効率化につながるだけでなく、私たちの生活にも大きなメリットをもたらします。スマートメーターにより、我が家に合った少しでも安い電力会社と自由に契約することが可能です。また、今までの電気の使い方を見直して、節電や省エネ対策を検討するきっかけにもなるでしょう。

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