society5.0とは? 実現につながる技術や期待される社会の変化

 2022.07.20  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

人類の歴史は、狩猟社会から農耕社会、工業社会、そして現代の情報社会へと発展してきました。その一方で、地球温暖化や食料問題などの課題が発生し、深刻化している現実があります。この記事では、さまざまな社会問題の解決と、持続可能な未来社会のビジョンを提示する「Society5.0」について解説します。

society5.0とは? 実現につながる技術や期待される社会の変化

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Society 5.0とは

「Society5.0(ソサエティー5.0)」は、日本政府が「第5期科学技術基本計画」において提唱した、未来社会のビジョンを示す概念です。内閣府によると「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義されています。
(引用URL:https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/

Society4.0と位置づけられる情報社会においては、人間がインターネットにアクセスしてデータのやり取りを行っていましたが、Society5.0では、現実世界にあるIoTのセンサーなどから得る情報がインターネットに集積され、AIによって解析が行われた後、社会の問題解決や次世代の社会のために構築に活用されます。

Society5.0が目標とする社会では、AIが解析したデータのフィードバックによってこれまでにない価値が創出されます。その段階へ至るためには仮想と現実をつなげる最新技術の活用が必要です。例えば、スマートスピーカーのような音声アシスタントによる案内などが該当します。また、Society5.0のビジョンではAIやロボットによって社会がより快適になる一方、それはテクノロジーによる支配や監視ではなく人間を中心とした社会の実現のためであり、国連が提唱する「SDGs(持続可能な開発目標)」とも関係します。

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Society 5.0の実現につながる技術

Society 5.0が目指す新しい社会の構築には、現実から仮想に送られる情報の集積が重要になります。そのためには、IoTやビッグデータ、AIなどの技術が欠かせません。

インターネット経由でモノをつなぐIoT

IoT(Internet of Things)は、モノがインターネットで通信する技術を指します。パソコンなどのIT機器以外に、テレビやスピーカーなどの家電、自動車、建物など、あらゆるものがインターネットにつながり、データの送受信が行われます。

IoT技術によって、人の手を介さずにあらゆるモノのデータ収集、分析・活用・連携が可能になります。それにより、離れたモノの動きを監視したり、スマートフォンと連携して遠隔操作したりできます。介護や育児の現場における活用のほか、機械の故障予測を行うことで事故などを防止する役割も期待されています。

その他にも、環境のモニタリングで工事現場や事務所の状況を知ることや、モノの動きを感知して衝撃や振動、落下などの状態を把握して、異常時などの対応に生かす使い方も可能です。遮蔽物の接近やドアの開閉状態などを検知できるため、身近なところでも活用されています。

多種多様で膨大なビッグデータ

ビッグデータ(Big Data)とは、文字通り巨大なデータ群のことです。主に、データ量(Volume)、データの種類(Variety)、データの発生速度・更新頻度(Velocity)を合わせた「3つのV」からなるデータ群という意味で用いられます。

ビッグデータを構成するデータは日々膨大に生成されており、リアルタイム性を帯びています。これまでの技術では膨大なデータがあっても管理しきれず無視されてきましたが、技術の発展により記録・保管・解析が可能となりました。その結果、ビジネスに有用な知見を得たり、新たな仕組みやシステムを生み出したりする役割が期待されています。

ビッグデータの解析を行うことで、事業に役立つ将来の予測や課題の特定など、さまざまなベネフィットが期待できます。また、業務フローの最適化やコスト削減の実現にもビッグデータが役立ちます。上手にデータ活用して売上を伸ばした企業も珍しくありません。

AI(人工知能)

学習機能を備えた、人間のような知覚・知性を人工的に再現しようとした技術がAI(Artificial Intelligence)です。AI研究の歴史には世代があり、専門家などの経験則などに基づいて知的作業をサポートする「第1世代」、統計・探索モデルをメインとした「第2世代」へと発展してきました。

現在の「第3世代」では、脳神経回路を参考にしたアルゴリズムであるディープラーニングなどの手法がメインになっており、コンピューターが自律的に学習する段階まで来ています。第3世代においてAIの精度が大きく向上したこともあり、注目が集まっています。

AIは、生身の人間と違って大量のデータを正確に処理することを得意とします。Society5.0社会の実現にあたり、高度な情報処理能力を生かして、必要な時に必要な情報を提供できるシステムとしての活躍に大きな期待が寄せられています。

Society 5.0で期待される社会の変化

Society 5.0では、人手不足や食品ロス、地球温暖化、地域格差など、現代社会が直面しているさまざま課題を解消するための取り組みが行われています。これにより、経済や地域格差などが緩和され、社会で暮らす人々が快適に暮らせる社会の到来が期待されています。

人手不足の解消

少子高齢化の進行によって労働力人口は減少の一途をたどっています。これまでの社会では、農業による生活基盤の構築や工業化による大量生産が行われてきました。そして情報化社会である現代のSociety4.0では、情報化が進歩したことでどこにいてもあらゆる情報が入手できることが実現した一方で、人的リソースの不足が懸念されており、経済発展の限界が見えています。このまま進むと、製造業や医療業界をはじめさまざまな分野における人手不足が深刻化するでしょう。

このような背景の中で、Society5.0ではIoTなどの技術を活用することで課題の克服を目指します。Society4.0では分野を横断する連携に不十分な点があり、必要な情報を発見するための分析をするにあたって負荷が高いという問題がありました。Society5.0の実現によって、情報伝達のリアルタイム化や監視体制の自動化、非常事態の即時検知など、あらゆる分野における作業が効率化されることで、労働力減少の問題を解決することを目指しています。

食品のロスと食料の増産

農林水産省の調べによると、日本の食品ロスは1年間に約612万トン(2017年度推計値)発生しており、それらは廃棄処分されているのです。これは国民1人あたりに換算すると、毎日お茶碗1杯分の食料を捨てているのと同じ量です。世界規模では食料生産料の3分の1にあたる約13億トンの食料が毎年廃棄されています。このように食料ロスが発生している国もある一方で、世界には貧困や栄養失調で亡くなる人もいるという現実があります。

Society5.0では食料増産と食品ロス削減を目標にしており、最先端技術とデータ利用による計画的な生産で食料問題を解決していくことを目指しています。例えば、新たな農業の形であるスマート農業の導入によって農作業の自動化や労力の軽減を実現したり、AIの解析によって食料の生産・在庫を最適化したりすることで、食料の計画的生産やロスを削減する効果が期待されています。

温室効果ガスの削減

温室効果ガスの排出は地球温暖化の大きな原因であり、人類が解決すべき課題です。Society5.0が目指すスマートシティーの取り組みによって、温室効果ガスを削減する効果が期待されています。スマートシティー化が進むことで、温室効果ガス排出の多くを占めている都市部エネルギーの利用が効率的になるからです。

2021年に日本政府が閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」では、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を掲げています。その途中である2030年の段階では、2013年時点から46%の削減を目指しており、目標達成に向けてさまざまな取り組みが求められています。

日本は世界でも温室効果ガスの排出量が上位に位置しているため、削減に向けた積極的な対策が必要です。その一環としてスマートシティーの整備や再生可能エネルギーの主力電源化といった、脱炭素社会の実現に向けた歩みを進めています。

少子高齢化による地域格差の問題解決

今後、少子高齢化によって人口や財政力の地域格差がますます広がっていくことが予想されます。特に財政力が低下することによって公的サービスの維持が困難になり、その地域ではますます人離れが加速していくでしょう。

Society5.0の取り組みには地域格差の解消も解決するべき課題に含まれています。解決に向けた具体的な施策としては、地方の交通手段として自動運転バスの運行が挙げられます。また、地域の医療格差を原因とする医療の質が低下する課題に対しては、遠隔操作技術を導入することで、場所を選ばずどこでも最新の医療を受けられるようになります。医療費の削減にもつながるほか、経済力による医療格差の解消も期待できます。

まとめ

Society5.0では、従来の社会において解決できなかった人手不足や食品ロス、温室効果ガス排出削減といった課題の解消と、経済発展との両立を目指しています。実現するためには、AIやIoT、ビッグデータなどといった技術の活用が必要です。さまざまな社会問題を解消し、誰もが快適に生活できる持続可能な社会を実現するために、Society5.0の考え方が重要です。

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