サプライチェーン マネジメントとは?メリットや事例も解説

 2021.10.27  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

過剰在庫や欠品などのリスクを削減し、顧客にいつでも迅速に商品を届けられる体制を整えることは、サプライチェーンの大きな課題です。そこで本記事では、サプライチェーンを効率的に管理する手法「サプライチェーンマネジメント」について解説します。メリットや具体的な導入事例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

サプライチェーン マネジメントとは?メリットや事例も解説

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サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?

「サプライチェーンマネジメント」とは、サプライチェーンの効率的な管理を目指す概念、またはそのシステムのことです。英語で“Supply Chain Management”と表記することから、頭文字を取って「SCM」と呼ばれる場合もあります。

そもそもサプライチェーンとは、原料・部品の調達から始まり、製造・包装・出荷を経て、消費者に届けられるまでのすべてのプロセスを意味します。サプライチェーンは通常、複数の企業が介在しているため、その工程は往々にして複雑で、無駄やムラが生じがちです。たとえば、東日本大震災や新型コロナウイルスのパンデミックにおいて顕在化したように、どこか一箇所の工場が操業停止するなどの寸断が生じたら、その影響がサプライチェーン全体の停滞を招くリスクもあります。

そこでサプライチェーンを一元的に管理し、モノやお金、情報の流れをスピーディーかつ効率的に制御するSCMが注目を集めるようになりました。SCMの概念は、アメリカのコンサルティング会社「Booz Allen Hamilton」が最初に提唱したとされています。

SCMは、「計画」「ソーシング(原材料の調達)」「製造」「配送」「返品」の5つの基本要素から成立します。「計画」とは、サプライチェーンの全体的な戦略策定のことで、ほかの4つの要素は、その計画における個別的な構成要素を意味します。企業が効率的なサプライチェーンを構築し、ボトルネックをなくすためには、上記の5要素すべてについて一貫した対策を練ることが必要です。

それゆえSCMを実現するために、企業は上記の諸要素を構成する全サプライヤーの情報をシームレスに統合するシステムを構築しなければなりません。たとえばソフトウェア会社「Blue Yonder」では、IoTセンサーによる故障予測やAIの機械学習による需要予測などを活用して、サプライチェーン全体を可視化し、SCMのDXを実現するソリューションを提供しています。人ではなく、AIによって全体の統御がされたサプライチェーンは「自律型サプライチェーン」と呼ばれ、最先端のSCMとして注目を集めています。

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サプライチェーンマネジメントのメリット

SCMを導入することで、企業は次のようなメリットを得られます。

過剰在庫を防ぐことができる

SCMを実施する主目的のひとつが、需要と供給のバランスを調整し、必要なときに必要なだけの商品を用意して、消費者に届けることです。SCMによって売上データや需要データを分析し、出荷手順を管理することで、企業は発注の目安をつけやすくなります。これにより過剰在庫や欠品のリスクを低減し、顧客サービスを向上させることが可能です。

人材不足解消につながる

人材不足の解消や人件費の削減が可能なことも、SCMのメリットのひとつです。上述したように、SCMによって管理体制を最適化し、過剰在庫の廃棄・処理などの業務を削減することで、従来よりも少ない人数で業務が回せるようになります。少子高齢化が進行し、労働人口が不足することが懸念される中、こうしたSCMのメリットはますます重要になっています。

業務生産性向上が可能

SCMは、業務生産性の向上も可能です。SCMによって、各工程でロスなく消費者に製品を届ける手法をデータ分析することで、企業はモノ・人・お金など流通に要するリソースの最適配置が可能になります。これにより無駄なコストが削減され、より重要な業務にリソースを投入できるようになり、サプライチェーン全体の生産性向上が期待できます。

コスト削減が可能

SCMには、さまざまなコストの削減効果も見込めます。SCMによって物流を最適化できれば、工場や倉庫、輸送車両などの管理・運用コストや、そこに割く人件費などを減らすことが可能です。また、在庫ロスを減らすことは経済的効果だけでなく、自然環境への配慮などの点でも重要です。

顧客満足度を高めることが可能

SCMは顧客満足度を高めるうえでも重要です。サプライチェーン間の連携をスマートにすることで、欠品リスクを抑制したり、顧客に製品が届くまでの時間を短縮したりできます。その結果、顧客が望んだタイミングでスピーディーに商品を供給することも可能になります。

サプライチェーンマネジメントとロジスティクスの違い

SCMと混同しやすい概念として「ロジスティクス」が挙げられます。両者とも流通の最適化を目指した概念ですが、その違いはどこにあるのでしょうか。

まずSCMは、他企業を巻き込んだ流通プロセス全般の最適制御を目指す包括的な概念です。他方、ロジスティクスは自社内部における物品の移動・保管に焦点を当てた、自社物流の管理システムです。このようにSCMとロジスティクスでは、管理する流通システムに大きな違いがあります。

サプライチェーンマネジメントの事例

続いては、SCMを導入して実際に成果を上げている企業実例をご紹介します。

株式会社トーハン【出版業界の事例】

出版物の流通販売を手掛ける株式会社トーハンは、書店と読者を最適なタイミングでつなげるSCMシステムを開発しました。それが、書店向けのシステム「TONETS V」と、出版社向けのシステム「TONETS i」です。

TONETS Vは全国の市場動向をもとに、書店ごとに必要な商品あるいは回転率の悪い商品を可視化し、最適な仕入れを可能にします。一方、TONETS iは書店の販売実績や在庫データを集約・分析して出版社に提供し、出版社の商品戦略に寄与します。トーハンは、これらのシステムを「TONETS NETWORK」を核に構成し、同社の仕入部門・営業部門・物流部門の蓄積データと連携することで、市場の可視化を実現しました。

トーハンはこのように、広範な出版情報ネットワークを形成することで、「市場ロスの防止」や「市場チャンスの拡大」を推進し、商品供給の迅速化や在庫管理の品質向上、読者の需要喚起、需要開拓を可能にしています。トーハンの構築したTONETS NETWORKは、流動的に変化する読者ニーズを的確に捉え、書籍の最適な流通を構成した出版SCMの模範例といえるでしょう。

花王株式会社【小売業界の事例】

化粧品や衛生用品を扱う大手メーカーの花王も、SCMに取り組む企業のひとつです。花王は、在庫管理を徹底して革新的なSCMを実現するために、専門のロジスティクス部門を設置し、サプライチェーンに役立つ需要予測や運用技術の開発に取り組んでいます。

具体的には、全国8工場で製造された60ブランド1500アイテムを超える商品を、全国8万店の届け先まで、卸店を経由することなく直接配送する仕組みを構築しました。これらの膨大な商品は、国内に21ある物流拠点に集約され、受注から24時間以内に納品できるよう管理されています。

ロジスティクス部門は、需要分析によって各拠点の在庫数をコントロールすることで、サプライチェーン全体の在庫管理を最適化し、滞りなく商品を店頭に届けられるように輸送計画の策定および指示を行っています。花王はSDGsやESGといった、持続可能な社会を構築するための取り組みにも積極的な姿勢を示しています。その点、SCMを最適化し、在庫ロスを減らしたり、輸送効率を最適化してCO2排出量を減らしたりすることは、自然環境保護にも通じる施策として高く評価されています。

まとめ

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、サプライチェーン全体を一元的に管理し、モノやお金、情報の流れをスピーディーかつ効率的に制御する手法およびシステムを意味します。SCMを導入することで、企業は過剰在庫や欠品などを削減し、在庫管理や輸送の流れを最適化できます。本記事を参考に、ぜひSCMの導入をご検討ください。

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