医療・製薬

製薬業界とは?現状・動向や課題・今後について

世界の医薬品市場は年間130兆円超の巨大産業ですが、日本でも10兆円規模の年間売上高があり国内の産業としてはかなりの大規模です。その製薬業界にも現在変化の波が押し寄せています。業界の現状と業界に訪れた変化の内容、今後の見通しや動向について検証します。

製薬業界とは?現状・動向や課題・今後について 

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製薬業界のビジネスモデル

製薬業界の主な事業は薬の開発や販売で、各製薬会社は新薬開発によるシェア拡大に常にしのぎを削っています。新薬の開発に成功した場合に得られる利益は莫大なものになりますが、開発には10年単位の期間を要し、開発費用が1000億円を超える額になることもしばしばあります。

最近は3~4年の比較的短い開発期間に数億円程度の費用で市場に投入できるジェネリック医薬品(後発医薬品)の需要が増えていますが、ジェネリック医薬品は価格が抑えられているため、市場全体に占める割合は新薬の約90%に対し、ジェネリック医薬品は約10%にとどまっています。

医薬品には2種類の販売形態があります。一つは医療機関で処方される「医療用医薬品」で、もう一つは一般向けに店頭で販売されるOTC医薬品(一般用医薬品)です。日本での売上高の約90%は医療用医薬品によるものです。

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製薬業界の企業例

製薬業界関連のニュースサイト「AnswersNews」によると、2020年3月期までの1年間で日本国内の製薬会社売上高トップ3社は、武田薬品工業、大塚ホールディングス、アステラス製薬となっています。1位の武田薬品工業は年間売上高が3兆円を超えており、2位の大塚HD、3位アステラス製薬も1兆3000億円を超えています。一方の営業利益では、アステラス製薬が1位で、前年から大きく売り上げを伸ばした中外製薬が2位となっています。

主力商品の特許が切れて大幅な減収となったり、新薬開発に成功し大幅な増収を達成したりすることもあり、製薬業界は非常に動きの激しい産業です。売上高を伸ばすためには主力製品の販売を促進する一方で新薬の開発と販売を軌道に乗せることが重要で、各製薬会社とも得意分野で主力製品をいかに育てるかが大きな課題となっています。

製薬業界の現状と動向

同じく「AnswersNews」の世界ランキングでは、2019年12月期の決算での売上高世界一は、抗インフルエンザウイルス薬のタミフルで知られるスイスのロシュで、年間売上高は約618.69ドル(約6兆6200億円、1ドル=107円で換算)です。2位は米国のファイザー、3位はスイスのノバルティスです。海外の巨大製薬会社にはシェアが大きい主力商品が複数あり、潤沢な資金を投入して開発した製品層の厚さも大きな特徴です。

日本企業では武田薬品工業が前年16位から9位にランクインしていますが、これは2019年1月にアイルランド製薬大手のシャイアー社を買収したことが影響しており、日本の製薬会社が世界市場に与える影響はさほど大きくないといえます。一方、日本では継続的な薬価引き下げの施策が影響して、各製薬会社は収益維持に苦戦しています。そのため、日本の製薬業界全体が海外販売にシフトしており、上位メーカーのほとんどは全体の売上高の半分以上を海外に依存しています。

製薬業界の課題と今後

日本の製薬業界は、国内の医療費抑制政策に対応するのと同時に、加速するグローバル化やIT化にも対応しなければならないという難題を抱えた状態にあります。今後の製薬業界が進む方向と将来性の予測、今後の製薬業界の展望について詳しく見ていきましょう。

日本の製薬業界が抱える課題

高齢化社会の進展とともに、国民全体の医療負担も年々増加しており、将来を見据えて今のうちに可能な限り医療費を抑えておくことが望まれています。国は医療費抑制の手段の一つとして、継続的な薬価引き下げを実施しており、日本の社会が抱えている課題はそのまま製薬業界にとって非常に重い課題になっています。

しかし、薬価が下げられると、新薬の開発に成功して認可が下りたとしても、研究開発費の回収ができず採算がとれない恐れがあります。ジェネリック医薬品ではさらに薬価が低い水準に抑えられるため、利益につながりにくい傾向があります。必然的に日本の製薬会社は、海外市場に目を向けたり、診断や予防、デジタル機器との連携など製薬以外の分野への参入と両立を視野に入れざるを得なくなるでしょう。

世界での競争

製薬会社は吸収や合併を繰り返してきました。ロシュやファイザーなど、世界の製薬業界をリードする企業も他社を吸収・合併して世界的な競争力を獲得しています。特に利益幅の大きい新薬販売では自社で研究と開発を行うよりも、シェアの高い薬の特許を持つ企業を買収したほうが、経営効率が上がる場合も多いといえます。武田薬品工業はスイスやアイルランドの大手企業を買収していますが、今後はよりグローバルな視点で、製薬業界内での吸収や合併が進むと考えられます。

バイオ医薬品

これまでの製薬は「低分子化合物」によるものが中心でした。低分子化合物は分子量が小さく構造が比較的簡単で、主に化学合成により作られています。

しかし近年、全く新しい製薬技術として「バイオ医薬品」が登場しています。これは遺伝子工学を利用して、微生物や動物細胞を介することで複雑な分子構造を持つ薬を作る技術です。がんやC型肝炎の治療に使われるタンパク質のインターフェロンや、糖尿病治療に使われるホルモンのインスリンはバイオ技術で造られています。今後、世界の製薬会社はこの分野での研究・開発に活路を見いだすことになるでしょう。

デジタル技術の活用

今後の製薬業界に課されたもう一つのテーマは、最先端のICT技術との融合です。AI技術などを導入することで、薬の研究や開発に必要な期間を大幅に短縮できることがすでに実証されています。

製薬分野に関する最先端技術で世界にやや後れをとっている日本にとって、AI技術の応用で製薬業界に新たな潮流を生み出すことで、日本の産業全体や社会全体の活性化にもつなげられる可能性があります。今後の発展に大きな期待が寄せられています。

まとめ

医療先進国である日本において、製薬業界は大きな市場に支えられた安定した産業とみられています。しかし国の医療費削減方針のもと、海外企業との競争もあり、製薬業界も変革を余儀なくされています。今後は最先端技術も活用して世界で通用する競争力を身につけることが製薬業界に課せられた最大のテーマになるでしょう。

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