医療分野におけるAR・VRの活用とは?「HoloLens」についても解説

 2020.06.19  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

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医療分野におけるテクノロジー活用が進む中、AR、VRの技術は、今や様々なシーンで実用化が進んでいます。本記事ではAR、VRが医療の世界でどのように活用されるか紹介します。また、近年注目度が高いMRの活用についても取り上げます。

医療分野におけるAR・VRの活用とは?「HoloLens」についても解説

そもそもAR・VRとは何か

まずはARとVRとは何か、基本的な解説から始めます。AR、VR、MRなどは全て、現実の世界と仮想の世界を部分的または全体的に融合したものです。これら技術を総称して「xR」という表現がされることもあります。

ARの意味

ARとはAugmented Reality(拡張現実)の略です。現実世界の風景に仮想(バーチャル)の情報を加えたもので、人気を博したスマホゲームの「Pokémon GO」が代表例です。基本的な仕組みは、スマートフォンのカメラなどを通して現実の風景を映すときに、事前に用意された3D画像やテキスト情報なども同時に表示します。

表示する位置の指定には2種類あります。位置情報型(ロケーションベース)と呼ばれる、スマホが取得した位置情報などを元に位置を指定するタイプと、画像認識型(ビジョンベース)と呼ばれる、基準となる画像を元に位置を指定するタイプに分かれます。画像認識型はさらにQRコードのようなマーカーを読み込む「マーカー型」と、指定した画像や実際に存在する対象物を認識する「マーカーレス型」とに分かれます。

VRの意味

VRとはVirtual Reality(仮想現実)の略で、仮想の世界で現実のような体感をすることです。表示するコンテンツは、アニメのキャラクターや非現実の空間のような3DCGや360度カメラで撮影してVR表示用に加工した写真などです。3DCGはほとんどの場合、Unityという開発環境で制作されます。

VRゴーグルには、映像の表示方法によって単眼(一眼)ゴーグルと複眼(二眼)ゴーグルに分かれます。より現実のような立体視を体験できるのは複眼ですが、13歳以下の子供は成長に悪影響を及ぼす可能性があるため視聴制限があります。単眼ゴーグルは子供でも問題なく視聴可能です。

医療分野で利用されるのは複眼ゴーグルです。利用するVRゴーグルは、 Oculus RiftやHTC Viveなどの製品で、めがねのレンズ部分がディスプレイになっており、右目と左目に区切って映像を表示することで立体的に見えます。医療分野以外ではエンターテインメント分野のほか、最近ではプロモーション分野でも利用が増えてきています。VRゴーグルも10万円程度の高性能なものだけでなく、スマホをレンズの代わりとして使うものや、紙製でできた安価な製品なども登場しています。

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医療分野におけるAR・VRの活用とは

医療分野は、ゲームなどのエンターテインメント分野に次いでAR・VRの活用が進んでいる分野です。医療分野でAR・VRを活用するメリットとしては、今までモニターや紙で確認しなくてはいけなかった情報を患者に重ねて表示することで、医師の負担を軽減できることが挙げられます。また骨や臓器は身体から取り出して実際に動いている状態を見ることはできないため、リアルな3D映像をAR・VRコンテンツとして教材に使用することで医療を学ぶ人の理解促進に役立ちます。また自分のCT画像を患者に見せることで、自分の体内の状況をイメージしてもらいやすくなるといったメリットもあります。

最近では地方の医師不足が深刻な問題になっていることから、遠隔治療の分野でも活用が期待されています。

医療分野におけるAR・VRの活用例

それでは、実際にどのような分野でAR・VRが活用されているのか、具体例を紹介します。

手術での活用

AR・VRは手術を行う医師をサポートするための手段として、手術のシミュレーションなどに利用されています。例えば患者のCTデータを3Dポリゴン画像化してゴーグル越しに確認できるようにすることで、2次元画像ではわかりにくかった臓器の位置関係がイメージしやすくなったり、複数の医師で情報共有がしやすくなったりします。

診察での活用

患者と治療によってどのようになるかのイメージ共有にもARが利用されています。スマホやタブレットで患部を撮影し、そこに治療後のイメージを実際の患部と重ねて表示します。口頭だと伝わりにくい情報もビジュアルで伝えると簡単に伝わります。

治療での活用

医師がARグラスを装着し、患者の情報をグラス越しにに投影しながら診察するという活用もあります。医師が診察途中にカルテを見たりPC操作を行うことで患者の気が散ることを防ぎます。

学習での活用

人体について理解するための学習用教材としてもAR・VRが使われています。骨や筋肉など通常は見ることができない映像を実際の人間の表面に重ね合わせて表示することで、より具体的にイメージできるようになります。教育教材はAR・VRと相性が良く、医療用途以外でも多様な教材に利用されています。

「HoloLens」のようなMRも注目

MRとは、Mixed Reality(複合現実)の略です。仮想世界の中に現実の情報を重ね合わせて表示する技術で、ARがさらに発展して生まれたものです。ARでは指定した位置に合わせて情報を表示する仕組みのため、現実の位置関係は計算していません。そのため場合によっては重ねた情報が現実の風景とずれてしまうこともあります。MRであれば、現実の位置関係を計算して立体的に表示するため、より現実と一体化して感じることができます。

代表的なMRゴーグルが、マイクロソフトが開発したHoloLens(ホロレンズ)です。これは3D表示ができる専用コンピューターとヘッドマウントディスプレイを組み合わせた装置です。3Dのホログラム映像を表示するだけでなく実際にジェスチャーで操作ができるようになっています。

このHoloLensは医療の分野でも活用されています。例えば治療のために何百枚も撮影されたCT画像から立体的な臓器を再現し、医師が手術前にシミュレーションすることで成功率を高める取り組みがあります。心臓や脳といった臓器の手術は失敗が許されず、また実際にテストすることも難しいため、このようなシミュレーション技術は非常に期待されています。

なおVRやMRで遠隔治療を行う場合には、5G(第5世代移動通信システム)のような遅延がない通信の存在がカギになります。医療現場で使われる高精細な画像を送受信するためには、大容量で高速な通信環境が不可欠です。2020年に国内で5Gの商用サービスが開始され、広く普及することで遠隔治療が一層増えていくと予測されています。

まとめ

AR・VR・MRは、医療分野でも様々な用途に活用されています。新しいテクノロジーを活用することで、より高度な治療が可能になったり、情報を共有しやすくなったりという効果があります。今後は通信環境の整備に伴い、今以上に活用が進むと予測されています。

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