ユーザーエクスペリエンスとは?小売業におけるUXの重要性

 2020.04.09  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

近年、小売業界において「UX世代」なる用語が生まれるほど、「ユーザーエクスペリエンス(UX)」が注目を集めています。この記事では、ユーザーエクスペリエンスとはどのような意味か、またUX世代を顧客に取り込む方法や、ユーザーエクスペリエンスを高めるための取り組みの事例などをご紹介します。

ユーザーエクスペリエンスとは?小売業におけるUXの重要性

ユーザーエクスペリエンス(UX)とは

「ユーザーエクスペリエンス(User Experience)」とは、ユーザーが製品やサービスを通じて得られる体験の総称です。製品やサービスが単に使いやすいだけでなく、ユーザーがやりたいことを心地よく実現できたか・感動を与えられたか・どのような印象を受けたかといった、気持ちや印象も含めた体験を指します。

ユーザーエクスペリエンスを向上するための施策では、最終的にユーザーが楽しく・心地よく・感動する体験をするところまで、ユーザーの行動を導くことが目標になります。

ユーザーエクスペリエンスとしばしば混同されがちなのが「ユーザーインターフェース(UI/User Interface)」ですが、UIはユーザーにとって使いやすい画面やWebデザイン、バナーのデザインなどを指します。

また、「ユーザビリティ」も製品やサービスに対する使いやすさを表す用語です。

ユーザーエクスペリエンスはさらに踏み込んで、使いやすさを実現することにより、ユーザーが体験できる心地よさを追求します。

すなわちユーザーエクスペリエンスとは、ユーザーインターフェースやユーザビリティをも含んだ、より広義的な概念といえます。

小売業におけるUXの重要性

近年、小売業界において「UX世代」という言葉をよく耳にします。

これは、何かを購入する際に「モノ」よりも「コト」、すなわち「体験」を重視する世代のことで、主にミレニアル世代(1980年~2005年に生まれた世代)の若年層を中心に構成されています。

UX世代の人々は実に合理主義的な思考をしていて、ただ単に「モノ」を買うだけなら店舗へ出向く必要はないと捉えている節があります。

というのも、彼らは子供の頃からインターネットに馴染みがあるため、オンラインショップでの買い物に慣れているからです。

また情報収集力に長けており、購入者のレビューやSNSなどから情報を集め、購入の是非を検討するのも、この世代の特徴です。

こうした合理主義的な思想・行動をとるからこそ、リアル店舗を訪れた際は「モノ」に優る「体験」を求めようとするのです。

今やUX世代的思考は、日本だけでなく世界中に広まりつつあります。こうした動きの影響は、真っ先に小売業界に波及します。

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ただ「モノ」を売るだけでは買ってくれない人が増えているため、小売業はUX世代のニーズを満たせる何らかの策を講じる必要があります。

極端な話、UX世代は小売業のテーマパーク化を求めています。例えば、売り物のコスメで試しにメイクさせてもらえる化粧品店や、実際に使用して使い心地を確かめられる家具店などは、ただ「モノ」を買うだけに留まらない貴重な体験ができます。

UX世代はこうした体験を付加価値と捉え、リアル店舗を訪ねる一つの理由としているのです。

UX世代を顧客にするには

UX世代が買い物をする際、急いで買わなくてもよいものはネットで購入し、リアル店舗に対してはネットショップで経験できない「特別な体験」を求めます。先述の通り、こうした傾向は日本だけでなく全世界、幅広い世代で共通した動きとなりつつあります。

では、そのUX世代を顧客にするために、各企業はどのような施策を打ち出せばよいのでしょうか。UX世代に支持されるリアル・オンラインそれぞれの店舗に着目し、分析していきましょう。

リアル店舗

UX世代に支持されるリアル店舗にはおおむね、以下のような特徴があります。

  • 顧客が商品を欲してから入手するまでの手間暇を極限まで排除できる店舗
  • 店舗に足を運ぶこと自体が、一つのレジャーとなる店舗

どれだけ配送時間を省いたとしても、ネットショップでは購入して即商品を入手することは不可能です。

それが可能なリアル店舗では、購入までの時間を圧縮し、「すぐに使いたい」「今すぐ欲しい」という即時的なニーズに応えることが、大きな付加価値となります。

また昨今では、店舗に赴くこと自体に付加価値を見出す傾向もあります。その店舗限定のイベントを開催したり、有名人を招いたりするなど、ネットショップではできない体験を提供できるリアル店舗は、UX世代からの支持も得やすいです。

オンラインショップ

今でこそ便利なオンラインショップですが、かつては配送のために何日も待たされることが当然でした。送料も安くはないため、移動の負担と引き換えにリアル店舗より高い買い物となることも珍しくありませんでした。

そうした経緯もあり、今ではAmazonの即日配送やヨドバシカメラの無料配送など、配送にかかる時間や費用を極限まで圧縮したサービスがUX世代の注目を集めています。

また彼らは、情報の精度と正確性にも目を光らせており、価格はもちろん到着日やユーザーレビューといった情報にも高精度を期待しています。

UX世代のみならず、オンラインショップのユーザーは不正確な情報を見つけると、たちまちそのオンラインショップに対し不信感を抱いてしまうという傾向があります。

オフラインとオンラインの融合

いくらUX世代がインターネットに慣れ親しんでいるとはいえ、彼らは別にネットショップに依存しているわけではなく、オフラインのリアル店舗とオンラインのネットショッピングを使い分けています。特に衣服や雑貨類などは、リアル店舗に足を運んでサイズ感や質感を直に確認したいと考えるユーザーが多いでしょう。

UX世代は、オンラインで情報を収集し、オフラインで現物を確認するといったように、時間を無駄にすることなく、両者の得意なことを組み合わせながら買い物をします。

リアル店舗では衝動買いによる購入が期待できますが、近年ではInstagramなどのSNSから目を引く商品に出会うことも増え、オフラインの強みが薄まりつつあります。

それゆえリアル店舗では、ネットを介した情報発信を重視し、オフラインとオンラインの融合を図るケースが増えているのです。

実店舗での取り組み事例

ここからは、ユーザーエクスペリエンス向上のための取り組みを進めているリアル店舗・企業の事例を3つご紹介します。UX世代を顧客化する施策の参考にしてください。

阪急デパ地下が劇場型百貨店に

阪急うめだ本店のコンセプトは、「劇場型百貨店」です。顧客にワクワク感を届ける百貨店を目指して取り組んでいます。

例えば、開放的な吹き抜けの空間を配置したり、イベントスペースを随所に配置したりするなど、「モノ」を売るだけに留まらない、楽しい経験を提供する仕組みを取り入れています。

こうした取り組みは直接的には利益になりませんが、顧客の心をつかみ、「また来たい」と思わせることで客足の増加につながります。

リアル店舗情報をリアルタイムに配信するユニクロアプリ

リアル店舗とオンラインショップの両方を運営しているユニクロでは、顧客の買い物をアシスタントするユニクロアプリを公開しています。

ユニクロアプリの目的は、商品やコーディネートを見込み顧客に提案することですが、他の買い物アシスタントアプリに一歩秀でているのが、リアル店舗の商品在庫確認が可能な点です。全店舗で全商品に取り付けているRFIDタグにより、アプリにはわずか1時間前までの在庫状況がリアルタイムで反映されます。

「売らなくてもいい」店舗へ変化したマルイ

マルイでは、従来の「店で売る」という枠組みを外し、リアル店舗だからこそできる体験やコミュニケーションの場を提供する取り組みを実施しています。この取り組みにより、マルイは仕入れた商品を販売する百貨店から、定期借家契約で家賃を得るショッピングセンターへと変貌を遂げています。

例えば、町田マルイはアパレル店舗比率が7割の店舗でしたが、2階を飲食のフロアにするなどリニューアルし、ショッピングセンター化することによって、「モノ」から「体験」を売る店舗へと姿を変えました。

現在では、町田マルイのような取り組みが全店に広がりつつあります。

まとめ

小売業がユーザーエクスペリエンスの向上を図るには、近年増加傾向にあるUX世代の顧客化が鍵となります。UX世代を引きつけるためには、情報発信力はもちろん、ときには店舗そのものの方針を転換する経営判断も求められるでしょう。今回ご紹介した事例を参考に、自社ならではの取り組みを検討してみてください。

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