屋内位置測位技術、どれが良い?重視ポイント別で見る選び方

 2020.05.28  デジタルトランスフォーメーションチャンネル

モノから得られるデータ、人の位置や流れのデータ、工場や商業施設など特定の屋内においてこれらのデータをリアルタイムに収集することで、様々な付加価値を生み出すことが可能となります。例えば人の流れを分析して、人が集中しやすい時間帯と場所に設置されているデジタルサイネージと連動することで、広告表示を最適化して集客効果を高めるなどの活用方法があります。

そして、これらには屋内位置測位技術が必要となります。屋内位置測位技術とは、屋内や地下街など、「GPS」(全地球測位システム)の電波が届かない場所でも現在位置を測位できる技術のことです。実は、この屋内位置測位技術には複数の技術が存在し、どれを採用するかによって展開できる施策も異なります。本記事では、屋内位置測位技術を採用する際に重視すべきポイントをご紹介します。

屋内位置測位技術、どれが良い?重視ポイント別で見る選び方

各種屋内位置測位技術の特徴

ビーコンによる屋内位置測位

ビーコン(Beacon)とはBLE(Bluetooth Low Energy/近距離無線技術)を利用した位置特定技術のことです。身近なところではイオンモールなどの大型ショッピングモールなどに設置されています。

Bluetoothを利用した屋内位置測位技術なので、Bluetooth接続をオンにしているスマートフォンに対して信号を発信し、端末の所有者や位置に応じたプッシュ通知が可能になっています。信号の有効半径や10~100メートルほどで、誤差は1~5メートルとなります。

電波の反射や干渉によって精度が落ちることが多いため、機器の設置場所が重要になります。さらに、ビーコンのメッシュネットワークを形成することで電池残量や状態を管理することも可能です。

RFIDによる屋内位置測位

RFID(Radio Frequency IDentifier)による無線通信タグを設置し、専用リーダーでタグを読み取ることによって位置を特定できる屋内位置測位技術です。タグ自体が電波を発信するアクティブ型と、電波を発さずにリーダーの電波を返すパッシブ型の2種類のRFIDがあります。

通信可能範囲は数センチメートル~数十メートルと幅広く、段ボールなどを通しても読み取りが可能になっています。さらに、タグは極めて小さいものも存在し、パッシブ型のタグは安価なので屋内の特定エリアまたはそのエリアを出入りする大量のものを管理する用途で使うことができます。

超音波による屋内位置測位

専用のスピーカーからデータをのせた超音波を発信することで、対象となるアプリをインストールしているスマートフォンなどのマイクでその超音波を受信し測位することができます。どのスマートフォンにもマイクが搭載されているため、受信端末の確保が用意なのが大きなメリットです。

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しかしながら、超音波発信用のスピーカーを動かすためには電源が必要であり、壁などの障害物があると超音波が受信機まで届かないことから、設置場所の制約が強くなります。さらに、周辺環境の影響を受けやすいため、他の超音波が飛び交う空間では正確な屋内位置測位が難しくなるのが難点です。

地磁気による屋内位置測位

建造物の鋼材や鉄剤が発する磁気をスマートフォンなどの端末で受信し、屋内位置測位する方法です。建造物の鋼材の配置は頻繁には変化しないため、一度地磁気を測定してデータ化すれば効率よく屋内での位置情報を取得できます。さらに、屋内位置測位の精度が高く誤差は2メートル以下となります。

ただし、測定する場所において電車や大型車両が頻繁に通行する環境ですと、地磁気の状況が変化するため屋内位置測位が難しくなる傾向があります。

UWBによる屋内位置測位

UWB(Ultra Wide Band/ウルトラ・ワイド・バンド)である8.5GHz~9.5GHz程度の広帯域無線を使用し、30メートル程度の間隔で設置したセンサーのうち、最低2台のセンサーから発信されたUWB信号の到達時差と入射角度を利用して屋内位置測位を行います。

UWB受信専用タグでしか受信できないためコストはかかりますが、屋内位置測位の精度は極めて高く、誤差15センチメートルでタグの位置を測位できます。さらに、UWBは短いパルス信号を用いるので、消費電力を低く抑えられることがメリットの一つです。

Quuppaによる屋内位置測位

Quuppa(Quuppa Intelligent Locating System)とはフィンランドのQuuppa社の製品であり、Bluetoothがベースになった技術です。ロケーターと呼ばれる受信機を天井に設置し、専用タグまたはスマートフォンからの電波の入射角から独自のアルゴリズムで位置を特定する手法となります。

通信範囲はロケーターを設置する天井の高さと同等の半径距離となり、精度は10センチメートル~1メートル程度の誤差なので、屋内位置測位の中では非常に高い精度を保っています。

ポイント別で見る屋内位置測位技術の選び方

それでは、上記にご紹介した屋内位置測位技術の中で、施策ごとに最適な技術を選択するにはどうすば良いのか?ここではポイント別で屋内位置測位技術の選び方をご紹介します。

ポイント1. 屋内位置測位の精度

倉庫における経路最適化やオフィス内での着席場所特定など、屋内位置測位の精度の高さ(誤差の少なさ)が求められる場面においてはUWBやQuuppaが有力です。ただし、UWBは専用タグを用いた屋内位置測位に限定されるため導入柔軟性に関しては後者の方が高いと言えます。

ポイント2. 個体の識別方法

屋内位置情報を取得したいモノや人それぞれを個別に識別する場合、超音波や地磁気以外の技術を選択することが基本となります。作業員の入出場や物品持ち出しなどの管理では、屋内位置の特定と個体識別に加えステータスなどの付加情報を必要とする際はRFIDが有効です。より広範囲に物体や人の移動を動線として可視化したい場合は、ビーコンやQuuppaが推奨されます。

ポイント3. 機器(モジュール)の設置し易さ

機器の設置し易さとしてはビーコンまたは地磁気が最適です。それぞれ電源を引く必要がなく、遮蔽物が多い場合にも対応できる可能性が高いのが特徴です。ビーコンは電源が必要なものの電池で賄え、電力消費量もわずかです。さらに、遮蔽物がある場合では多数のビーコンを設置してカバーできます。地磁気に関しては電源や発信機器を必要としないため、地磁気データを揃える必要はありますが物理的な機器設置は不要です。

ポイント4. 導入コスト

導入コストは専用機器が不要な地磁気と、機器が安価なビーコンが有効です。ただし、ビーコンは広範囲にわたって測位する場合にゲートウェイが必要になることから、場合によってはコストが上がることもあります。タグ当たりの費用が安いのはRFIDですが、場合によって大量のタグを要するためトータルでの導入コストは高くなる可能性もあります。

ポイント5. 保守運用性

屋内位置測位では継続的にデータを収集する必要があるため、電源や電池を持続させることが重要です。また、機器の故障時には修理取り替えなども必要になります。この点で電源と電池が不要な地磁気は優位であり、次いでRFID、超音波、UWB、Quuppaが運用しやすくなっています。

まとめ

いかがでしょうか?

屋内位置測位技術は日々進歩している技術の一つです。それぞれ特徴があるため目的に応じて現段階での最適な技術を選択することが重要になります。ぜひ、今回ご紹介しました技術を参考にし検討いただければ幸いです。

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